気象集誌. 第2輯
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57 巻, 5 号
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  • 岸保 勘三郎
    1979 年 57 巻 5 号 p. 373-385
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1974年12月~1975年2月の期間中における500-mb面の高度zのデータを用いて,超長波の振動数領域でのスペクトラム強度を求めた。このスペクトラム強度は中緯度では近似的に振動数の自乗に逆比例していることがわかった。また渦度方程式の各項,例えば渦度の移流項,β項などのスペクトラム強度も求めてみた。その結果うず度の時間変化に対しては,傾圧不安定波による非線型の相互作用が一番重要な役割をしていることがわかった。
    本文の最後には高度を定常ランダム過程として考え,zの統計予報を考えてみた。その場合には予報誤差は数日で気候平均値に近づくことが示される。
  • 村上 多喜雄
    1979 年 57 巻 5 号 p. 386-398
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    中国,東支那海,日本,南支那海,および西南太平洋の5地域における冬期(1970-71,120日間)の風と気温のデータを用いて経験直交函数解析を行った。第1函数は中国と東支那海上での強い吹出しと対応する。東支那海上では強い下降気流と下層加熱(海上での顕熱輸送)がみられる。第2函数は日本附近での吹出しに対応し,第1函数とともに中緯度地域での吹出しの東進(偏西風波動の一環)をあらわす。第3函数は南支那海上での下層吹出しをしめす。上層では強い南風(偏差)があらわれ,上昇気流にともなう加熱が対流圏全域におこっている。これは強い対流活動に対応していると思われる。第3函数は吹出しに伴う南北循環をあらわし,その上昇域は南支那海に,下降域は日本附近に存在する。
  • 二宮 洸三, 山崎 孝治
    1979 年 57 巻 5 号 p. 399-413
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    梅雨前線帯の低気圧によって1972年6月27日九州南西部に豪雨がもたらされた。この低気圧にともなう降水•対流雲•レーダーエコーおよび成層状況の変化の中規模的様相を解析した。温暖前線近傍の状況は極前線低気圧のそれと類似しているが,豪雨の発生した暖域の状況は極前線低気圧のそれと異なる。
    著しい不安定(殆ど飽和し,かつ-∂θe/∂P_??_-12°K/40mb)は暖域内の一部分に出現する。不安定の生成は-1.7(°K/10mb)/hourに達するdifferential advectionに起因する。豪雨の極大(_??10mm/hour)は著しい不安定の出現に2~3時間おくれて発生し,また豪雨域は不安定域に対し~30km北偏する。不安定成層は豪雨終止時には中立に変化する。レーダー観測は著しく発達したエコークラスターの周辺で弱いエコーが抑制されることを示した。積雲対流にともなうマスフラックス,雨量,雲頂高度,成層の変化をArakawa-Schubertのパラメタリゼーション方式を高層データーに適用して評価した。雲頂高度は250mbに達し,1mmの対流性降雨は~50kg/m2のマスフラックスと~0.1(°K/100mb)の成層の安定化をともなうことが計算された。これと面積平均雨量(実測)~15mm/hourと比較し,~800(kg/m2)/hourのマスフラックスと~1.5(°K/100mb)/hourの成層の安定化のあることを推定した。これは前記したdifferential advection による不安定の生成を解消するに足るものである。この梅雨前線豪雨の成層状況と,英国の夏期の低気圧の成層状況およびTexasの雷雨の成層状況とを対比させ,極東亜熱帯湿潤気候区の低気圧にともなう豪雨の特徴をのべた。
  • 山田 信夫
    1979 年 57 巻 5 号 p. 414-422
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    乱流の二次のモーメントに関する方程式とその長さのスケールに関する方程式とを使って乱流のモデルを作り,中立の接地気層における乱流統計諸量の漸近的振る舞いを解析的に研究した。ただし,その際,二次のモーメント方程式の中の乱流輸送項に対しては既存の観測結果に基づいて経験的な仮定をした。
    その結果,平均風速及び平均温位の対数的高度分布,及び,混合距離に比例する乱流の長さのスケールを上述の方程式系から演えき的に得ることができた。また,運動学的及び熱的な乱流の二次のモーメントに対する漸近解も得ることができた。
  • 山本 晋, 横山 長之, 蒲生 稔
    1979 年 57 巻 5 号 p. 423-431
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    タワー観測により風速が2~3m/s以上の晴天時夜間の安定接地気層の厚さ,その気層中の熱量•運動量のフラックスなどの高度分布と時間変化,さらに,それらと気温,風速の関係について調べた。その結果,乱流安定接地気層の厚さの目安としては熱フラックスqのゼロとなる高さhqが適当であり,さらにhqとモーニン•オブコフの大気安定度長さの間に一義的な対応関係があることがわかった。また安定接地気層を全層的に考るためには,従来の地上付近に適用された,高さに対してフラックスが一定であるという仮定は不適当であり,フラックスの高度変化を考える必要があることが示された。
    これらの観測事実に基づき,横山他(1977,1979)の提案した大気境界層の構造モデルを安定接地気層に適用して,検討を加えた。その結果,9,u*(摩擦速度)は無次元化高さ(=1-Z/hq:ここではZ高さ)のベキ関数で近似され,そのベキはそれぞれ3/2,1/2程度であること,モーニン•オブコフの相似理論より導出される気温•風速傾度と熱•運動量フラックスの関係が9,u*の高度変化を考慮することにより,安定接地気層全層に適用されることなどがわかった。
  • 佐藤 公喜
    1979 年 57 巻 5 号 p. 432-443
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/03/14
    ジャーナル フリー
    大気境界層内に浮遊している巨大粒子が拡散•沈降されつつ雨による洗浄を受ける時に,その粒径分布がどのように変化していくかを数値実験により調べた。粒子の発生源として無限平面の瞬間源と連続源を用い,粒径分布を時間と地面からの高さの関数として計算した。その際,雨量強度と渦拡散係数の高度分布は適当なものをあらかじめ仮定しておいた。計算結果の主要な点は次のとおりである。(1)粒径分布の変化の度合いは時間が経過する程また高さが増す程大きく,その結果粒径の大きい部分で濃度の減少が著しくなる。(2)拡散•沈降による粒径分布の形状の変化は粒径の大きい部分でのみ見られる。(3)発生源が瞬間源の場合には,粒径分布の形状は粒径が大きい部分程降雨の影響を受け易い。また,粒子の放出が長時間続いた後の粒径分布の形状は中位の粒径の部分で最も降雨の影響が顕著になる。
  • 仲野 〓
    1979 年 57 巻 5 号 p. 444-451
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1976-1977年及び1977-1978年の冬期,石川県宇の気町周辺で雷放電による静電界変化の多点観測を行った。観測結果のうち7日間の雷雨から得られた221個の雲放電を解析して,次のような雲放電特性を見出した。(1)雲放電の発生頻度は全放電の77%で,平均継続時間は330msである。これらの結果は夏雷の場合とほぼ同じである。(2)夏雷の雲放電は下向き正ストリーマーで始まるものが多いのに対して,冬雷では上向き負ストリーマーで始まるものが多い。(3)雲放電のストリーマー進展方向及び対地放電の極性によって,冬雷は3つの型に分類される。(4)1977年12月2日の雷雨について,雲放電の電荷中心の高さを推定した。その結果,正電荷の高さが6km,負電荷の高さが3kmで,それらの高さの気温は,輪島のデータによれば,それぞれ-30%と-10%である。これらの温度は,夏雷中での正負の電荷の高さにおける気温に等しい。
  • 仲野 〓
    1979 年 57 巻 5 号 p. 452-457
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    電界変化の多点同時観測のデータを用いて,雲放電の初期ストリーマーの出発点の高さ,進展方向,速度,電気量等を算出した。その際初期ストリーマーを定速度で移動する点電荷と仮定した。北陸における冬雷について,13個の雲放電の解析から,次のような初期ストリーマーの特徴を見出した。(1)雲放電は気温が-6°C~-10°Cの雲中で発生している。これらの気温は夏雷の場合とほぼ同じである。(2)初期ストリーマーによって運ばれる電気量は30~130クーロンで,平均値は63クーロンである。(3)ストリーマーの進展方向は上向きでほぼ垂直であり,その角度は垂直上向きから30°以内である。(4)ストリーマーの進展速度は104m/sのオーダーで,ストリーマーの発生する高さに依存している。
  • 高橋 忠司
    1979 年 57 巻 5 号 p. 458-464
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    直径20~100μmの微水滴を-10~-26°Cの温度範囲で氷晶と衝突させ,自由落下中に凍結させた。凍結微水滴の結晶性は,微水滴が付着した結晶面によることが示された。プリズム面に付着凍結した微水滴は氷晶と同じ結晶方位の単結晶であった。基底面に付着凍結した微水滴は-13°C以上では氷晶と同じ結晶方位の単結晶であり,-19°C以下では多結晶であった。
    凍結微水滴の成長は二つの型に分けられた。単結晶凍結水滴が成長するときには,多くの場合,円形の結晶面が現れ,微水滴は中谷ダイアグラムに示される結晶習性をもった雪に成長した。多結晶凍結微水滴および-17°C以下で凍結した単結晶凍結微水滴のあるものが成長するときには,基底面に平行なステップが形成されるか,または微水滴の表面がでこぼこになった。ステップやでこぼこ状の表面の一部が成長し,板状結晶になった。このような板状成長は-24°C以下でもおこり,角柱角板集合の形成に関係するものと思われる。
  • L.M. Leslie
    1979 年 57 巻 5 号 p. 465-468
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    近年の数値予報におけるひとつの大きい成果はセミ•インプリシット時間差分技術の開発•導入で,その結果計算時間が従来のイクスプリシット法にくらべて約3分の1ですむことになった。
    しかし,セミ•インプリシット•スキームは大変複雑なので,いくつかの数式化についての注意が必要だが,特にヘルムホルツ方程式のラプラシアン•オペレーターの選択については適切な格子配置を採用せねばならない。これまでそのための注意深い研究がなされてきた(McGregor and Leslie(1977), McGregor et al.(1978))。
    最近,工藤(1978)もセミ•インプリシット•スキームを提案しているが,このスキームではヘルムホルツ方程式のラプラシアン•オペレーターの差分表示に関する重要な点を見落しているように思うのでここで議論した。
  • David Dietrich, Normand Brunet
    1979 年 57 巻 5 号 p. 469-473
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    大気中において大規模慣性重力波と大規模降水との間にかなりの相互作用が起りうる可能性が,観測および簡単化した理論モデルによって示唆される。
  • 新田 勍
    1979 年 57 巻 5 号 p. 474-478
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    GATEの高層データの:解析から得られた,雲の質量フラックスと静止気象衛星SMS-1のIRの輝度値,およびレーダー観測より見積られた降水量との対応を調べた。背の高い雲による質量フラックスの時間変動は,IRの輝度値と降水量の変動と非常によく対応している。また解析モデルを使って計算された降水量は,観測された降水量とよい対応を示す。雲による質量フラックス,IRの輝度値,および降水量と周期3.5日,波長2,500kmを持ち西進するアフリカ波動との関係についても調べた。
  • Samson Brand, Charles P. Guard
    1979 年 57 巻 5 号 p. 479-483
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1971年北太平洋西部で発生した16個の熱帯低気圧と台風について,温帯化した後の特性について調べた。その多くは転向して温帯化して後ほぼ5日間も強い破壊力をもち続けたことが示される。16個のうち6個は,北太平洋を横切ってアリューシャンや北米大陸西岸にまで影響を与えた。
  • 菊地 勝弘, 梶川 正弘
    1979 年 57 巻 5 号 p. 484-487
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 上田 博, 菊地 勝弘
    1979 年 57 巻 5 号 p. 488-492
    発行日: 1979年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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