タワー観測により風速が2~3m/s以上の晴天時夜間の安定接地気層の厚さ,その気層中の熱量•運動量のフラックスなどの高度分布と時間変化,さらに,それらと気温,風速の関係について調べた。その結果,乱流安定接地気層の厚さの目安としては熱フラックスqのゼロとなる高さhqが適当であり,さらにhqとモーニン•オブコフの大気安定度長さの間に一義的な対応関係があることがわかった。また安定接地気層を全層的に考るためには,従来の地上付近に適用された,高さに対してフラックスが一定であるという仮定は不適当であり,フラックスの高度変化を考える必要があることが示された。
これらの観測事実に基づき,横山他(1977,1979)の提案した大気境界層の構造モデルを安定接地気層に適用して,検討を加えた。その結果,9,u
*(摩擦速度)は無次元化高さ(=1-Z/hq:ここではZ高さ)のベキ関数で近似され,そのベキはそれぞれ3/2,1/2程度であること,モーニン•オブコフの相似理論より導出される気温•風速傾度と熱•運動量フラックスの関係が9,u
*の高度変化を考慮することにより,安定接地気層全層に適用されることなどがわかった。
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