第I部で作成した二層•準地衡風近似の低次モデルを用いて,帯状流と地形による強制波および傾圧不安定波間の非線型相互作用を調べた。理想化された地形として,このモデルで許されるいちばん大きな波成分のみの地形を入れた。
帯状流が,地形と直接結びついた強制波よりも自由波に対してより不安定になるとき,次のような最終定常状態が出現する。すなわち,一定の振幅と位相速度をもつ自由波(傾圧波)が臨界安定な帯状流とつりあい,強制波は減衰してしまう。他方,帯状流が地形の影響をうける波に対してより不安定になるとき,両方の波が存在する。
この論文中で扱う最も自由度が大きい場合は,南北に2つのモード,東西に帯状成分とn,2n,3nの3つの波を許した28元のモデルである。このとき,すべての波成分は地形と相互作用して,流れは時間とともに変化してゆく。変化の様子は次の4つの型に分けられ,その選択は,外部加熱による強制,摩擦,静的安定度といった外部パラメータに依存している:(1)一定の強制波と移動波を含む定常流,(2)周期振動流,(3)準周期的振動流,(4)不規則変動流。
地球大気に対応する外部パラメータを与えると,大きな振幅の波成分を含む不規則変動が出現する。この不規則変動をする状態中での帯状流と波動の関係を,長期間にわたる統計として調べた。各時刻での流れを,帯状流の強さを基準にして3つのカテゴリーに分類した。カテゴリー毎に合成した流れの場は次のような特徴をもつ。帯状流の卓越する高示数状態および中間状態と,流れの蛇行する低示数状態である。この低示数状態では,帯状流の強さおよび鉛直シアーが小さく,他の状態よりも停滞波の振幅が大きくなり,移動波の振幅が減少する。
不規則変動しているなかで,ある期間の平均として定義された停滞波は,第I部で得られた平衡解の強制波と異った振幅•構造をしている。
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