気象集誌. 第2輯
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61 巻, 5 号
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  • 川平 浩二
    1983 年 61 巻 5 号 p. 695-716
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    線型プリミティヴ方程式系に基づき,中層大気における定常惑星波の全球構造を北半球冬至及び春分時の帯状風モデルにおいて考察した。
    冬季の結果においては,全球プリミティヴモデルの波数1の振幅は観測値と比べ約1/2になっているのに対して,波数2は観測値と似た値となった。位相分布は両波数とも観測値と比べて大きな差異は認められなかった。又振幅の極大値は両波数共に,帯状風のジェットの約10度ほど北に位置しており,Simmons(1978)の結果と一致する。この要因を種々のモデル計算の比較から調べた結果,simmonsの云う非地衡風効果によるものではなく,赤道越え伝播によるものであることが判った。
    春分時の結果においては,半球間の波による相互作用がみられた。両半球共に下部境界に波源を与えた波数1の場合には,1半球より赤道越え伝播した波が他半球の波源の役割りを果し,そこにおける波の位相の鉛直傾度を東向きに変える。一方北半球のみに波源を与えた波数2の場合は,振幅は低緯度に近づくと共に小さくなり,赤道では極小となる。更に赤道越え伝播の後,しだいに振幅を回復し,下部境界に波源の無い南半球の中緯度における振幅は北半球のそれと同程度となった。また中緯度より赤道へ伝播した定常惑星波の振舞いは赤道ロスビー波と類似し小さな振幅と短い鉛直波長を有することが判った。
    平均風加速を半年振動と関連して調べた結果,位相が西風となる春分時に波数2は45km高度付近で-10cm/sec/day以上の東風加速を引き起こすことが得られた。これは観測値と同程度であることから,中緯度より赤道へ伝播した定常惑星波が東風の出現に重要な役割りを果し得ることが示唆された。
  • Pao-Shin Chu, Dhirendra N. Sikdar
    1983 年 61 巻 5 号 p. 717-726
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1978年12月のWMONEXで得られたFGGELevelII-bデータを用いて,30N-10S,100E-130Eで囲まれた領域の地上気圧および地上気温の変動の特徴を調べた。水平の相関係数の分布を調べてみると,南シナ海およびその周辺海域上では,気圧,気温ともに位相が約10度/日の速度で東進していることがわかった。これらの変動は,中緯度地方の移動性擾乱によるものと思われる。変動の南北方向の関係を調べてみると,中緯度の気圧変動は,インドシナ領域の変動と連続した3日間高い相関があるが,南シナ海の変動とは対応していないことがわかった。この違いは,空気塊が南下して行く際,陸地を通るか,海上を通るかでその変質の度合が異なっているためと推測される。気温変動の解析によっても,15N以南の領域では,海洋と大気の間の熱交換が大きな影響を与えていることが示唆される。
    気圧と気温のデータを用いて主成分解析を行った。第1成分は東アジア地域の南北循環に対応している。第2成分は南シナ海とその周辺領域を通過する高,低気圧を表わし,寒気の吹出しと関係している。以上の2つの主成分の変動の仕方を冬のモンスーン循環との関係で議論した。
  • 岡田 菊夫
    1983 年 61 巻 5 号 p. 727-736
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    名古屋及び四日市の都市大気中において低圧式インパクターを用い,エイトケン粒子領域を含む個々のエアロゾル粒子を炭素で補強したコロジオン膜上に採集した。その試料に水透析を適用し,個々の吸湿性粒子の性質に関する結果を得た。水透析前後におけるエアロゾル粒子の形態変化は電子顕微鏡を用いて調べた。その結果,半径0.03~0.35μmのエアロゾル粒子の約80%以上が吸湿性粒子であった。混合粒子が吸湿性粒子に占める個数割合は,平均として,エイトケン粒子領域(半径0.03~0.lμm)で34%,大粒子領域(半径0.10~0.35μm)で67%であった。また,個々の粒子における水溶性物質の占める体積割合εを推定した結果,εの値が0.95以上の吸湿性粒子が,半径0.03~0.35μmの吸湿性粒子において卓越して存在していることが見い出された。
  • サルフエイト粒子に注目して
    岡田 菊夫, 小林 愛樹智, 久芳 奈遠美, 岩坂 泰信, 武田 喬男
    1983 年 61 巻 5 号 p. 737-745
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    名古屋及び四日市における都市大気中のエアロゾル粒子の採集を夏期にelectrostatic aerosol samplerにより実施し,エイトケン粒子領域を含む粒子個数粒径分布を電子顕微鏡観察により21個得た。Bigg et al.(1974)の方法により個々の粒子に含まれるSO42-イオンの検出も併せて行なった。その結果,サルフェイト粒子は,半径0.016~0.28μmにおいて平均でエアロゾル粒子個数濃度の55~75%を占めていた。エイトケン粒子の個数粒径分布が,既存粒子の存在量の違いに影響されたガス-粒子変換過程により生成されたサルフェイト粒子の挙動と密接に関係していることが示唆された。
  • 岩井 邦中
    1983 年 61 巻 5 号 p. 746-755
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    板状の雪の結晶の側面およびステレオの顕微鏡写真撮影を行う簡単な方法を述べ,これらの写真から,その三次元的な構造と厚さを調べた。その結果,板状の雪の結晶の大部分は,2枚あるいは,それ以上の形や大きさの異なる結晶からなることがわかった。また,その厚さは,Ono(1969)やAuerとVeal(1970)による結果よりも平均的に小さかった。板状の雪の結晶の雲粒の付着の状態や,自然の状態で落下してきた雪の結晶のレプリカの観察から,二枚板結晶の落下の向きは,小さい結晶を下にして落下していると推定した。その他に,結晶表面の成長カイネティクスを考慮した補正項を導入することにより,Kobayashiダイアグラムの水飽和の線を検討した。
  • 近藤 豊, 高木 増美, 岩田 晃
    1983 年 61 巻 5 号 p. 756-762
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    清浄な対流圏大気中でのNOx(NO及びNO2)の航空機観測のために,高感度のケミルミネッセンス方式の測定器を開発した。NOはオゾンとのケミルミネッセンス反応を利用して測定され,NO2は硫酸鉄コンバーターにより,NOに変換された後,測定される。外気圧が変動しても測定器の感度を一定に保つため,反応槽の圧力が常に一定になるようサンプル流量が制御されている。測定感度は10ppb以下の領域で5%以内の直線性があり,地上から高度7kmの領域で250-300counts/s/PPbであった。ゼロレベルの変動と感度から決まるNOxの検出限界は10-15pptである。
  • 田中 浩
    1983 年 61 巻 5 号 p. 763-769
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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