気象庁電子計算室で,数値予報ルーチンに用いられるスペクトルモデルの,冬期の72時間予報における,系統的誤差を調べた。
帯状平均された温度場をみると,高緯度地方(60N以上)での,下層の満暖地と,低緯度地方での,冷却化が,顕著である。帯状平均された風では,高緯度,及び,低緯度で,西風が弱まり,亜熱帯ジェットは,強化され,北に少し拡がる傾向にある。
系統的誤差の空間的特徴は,(1)高緯度地方(東シベリアや,カナダ北部)での850hPaでのwarming,(2)45°N付近の大陸上での地上気圧の低下,(3)500mbにおける,西進する移動性の誤差(4)亜熱帯の大規模山岳付近の850hPaでのcoolingなどである。
高緯度地方と,亜熱帯地方の850hPaの温度の誤差を,擾乱に伴う顕熱輸送との関連で調べたところ,シベリア東部の温度の誤差は,主として,南北風を強く予想しすぎることに,カナダ北部の温度の誤差は,擾乱の位置や移動の予想が悪いことによるものと思われる。亜熱帯の誤差は,ヒマラヤ東端でのcold surgeを強く予想し過ぎていること,及び,ロッキー山脈の風下側での定常的なトラフが東へずれていることによるものと思われる。
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