気象集誌. 第2輯
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64 巻, 6 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • U. C. Mohanty, A. Kasahara, R. Errico
    1986 年 64 巻 6 号 p. 805-817
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    我々はECMWFのFGGEレベルIII解析データとNCARの共同気候モデルを用いて初期化と予報実験を行った。非断熱項を入れた非線形ノーマルモード初期化法(NNMI)を含むいくつかの初期化方式の性能が調べられた。全球の非断熱項が,1)FGGE解析を用いた熱力学エネルギーのバランスの残差("観測された熱"と呼ぶ)2)予報モデルの時間積分("モデルの作る熱"と呼ぶ)を用いて評価された。多数の24時間予報が,それぞれの初期値化法を適用した初期条件から実行された。"観測された熱"を入れたNNMIの性能が優れていたが,もし予報モデルが強制的にその"観測された熱"に充分似た熱を出すようにしていないと初期の大規模な発散場は維持されなかった。結論として適切な初期条件をつくるのには正しい熱分布が必要なだけではなくて予報モデルの物理過程のバラメタリゼーションが,適切な熱分布を作り出さなければならないと言える。このことが,準定常的な大規模熱帯循環を正しく予報するために必要である。
  • 時岡 達志, 野田 彰
    1986 年 64 巻 6 号 p. 819-840
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    気象研究所大気循環モデル(MRI•GCM-I)を用いて,1月の大気大循環に及ぼす大規模山岳の効果を調べた。モデルは,100mbを大気上端とする対流圏モデルで,水平の分解能は,緯度4°,経度5°である。数値実験は,一月の状態に固定して,行なった。チベット高原と,ロッキー山脈•グリーンランドの効果を分離出来る様に,4種類の実験を行なった。即ち,全球の山岳を保持した実験(M),全球の山岳を除去した実験(NM),アジア大陸の山岳のみを除去した実験(NAS),北米とグリーンランドの山岳のみを除去した実験(NRG)である。以下の議論は,主に,停滞場に及ぼす山岳の効果を扱う。
    山岳による強制においては,山を迂回する効果が卓越している。上昇(下降)流の中心は山の風上(風下)側で,極(赤道)側にずれている。東西波数1の成分について見ると,地表における上昇流は,線形論で用いられる地表境界条件から予想されるものと,非常に異なっている。中緯度の停滞波は,基本的に,チベット高原によって強制されたロスビー波列と,ロッキー山脈とグリーンランドによって強制されたものの,線形的重ね合せによって表わされる。チベット高原は,風上(北東)側のリッジ,風下(南東)側のトラフを強め,その他,日本の南東にある高気圧性循環,アリューシャン列島上の低気圧性循環も強めている。更に,チベット高原は,中国東縁から赤道インド洋に至る寒気吹き出しを強めている。ロッキー山脈とグリーンランドは,ロッキー山脈西側のリッジと,東側のトラフを強めている。この大気の応答は,ロッキー山脈の地理的東西スケールよりも,はるかに大きい。
    北半球において,東西波数1の停滞波は,主に,熱的強制によって生じているが,波数2以上では,山岳の強制が効いている。一方,南半球の亜熱帯では,波数2~4の停滞波が卓越している。南極大陸は,波数1を強制しているが,この波は,北半球高緯度帯における熱的強制を受けた波数1の波と,同じ構造をしている。南極大陸の高い地形での冷却が効いて,この波が出来ていると思われる。この冷却効果は,MとNMの問の雲の鉛直分布の差,及び,雪のアルベードのパラメタリゼーションに依ると考えられる。
    赤道を横切る効果について見ると,チベット高原の効果は,南半球の赤道地帯では,小さくはない。
    しかし,中高緯度地帯では,ロッキー山脈とグリーンランドの応答の方が,チベット高原より,大きくなっている。赤道大西洋上に間欠的に生じる西風ダクトを通って,ロッキーとグリーンランドの効果が,南半球に伝播している。
    北半球では,極向き熱輸送を担う東進波の強さが,山岳によって抑えられている。西進波は,逆に,強められているが,極向き熱輸送には,ほとんど効かない。全体として,山岳は,非停滞波による極向き熱輸送を抑えるが,非停滞波の運動エネルギーは,山岳の有無によつてほとんど変化しない。非停滞波による極向き熱輸送の減少分以上に,停滞波成分が増加している。その結果,北半球極域の,帯状平均温度は上昇している。山岳は,停滞波の運動エネルギーを増大させるが,その分,帯状平均流の運動エネルギーが減少している。南極大陸の山岳は,北半球の山岳と,異なる効果を持っており,南(夏)半球の極域では,冷源として,作用している。
  • 永田 雅, 猪川 元興, 吉住 禎夫, 吉田 泰治
    1986 年 64 巻 6 号 p. 841-855
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は冬期北西季節風下において,朝鮮半島東岸沖の日本海西部上に現れる収束雲帯の形成機構を調べることである。
    いくつかの異なった地表の条件の下での数値実験によって,朝鮮半島と日本海の海陸の熱的な性質の対照が,この収束雲帯の形成に対して本質的な役割を果たしていることが示される。すなわち,冷たい陸地の上では気団変質がより弱く,その結果,対流圏下層で朝鮮半島南東端に中心を持つ中規模の高圧部が,そしてその東端に収束帯が形成される。この収束帯が積雲対流を活発化させ,帯状に組織化する。また,朝鮮半島北方の山地によるブロッキングの効果がこの収束帯を強めるように働く。
  • 木村 富士男
    1986 年 64 巻 6 号 p. 857-870
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/03/24
    ジャーナル フリー
    風の弱く良く晴れた夜に関東平野に低気圧性のうずがしばしば現われることはHarada (1981a) により報告されている。静力学平衡を仮定した Boussinesg 方程式から成る局地風モデルにより, このうずを再現し, Haradaにより指摘されている性質とよく一致することを示す。次に地形を単純化し, クレータのあるガウス型の山を仮定した数値実験により, うずの形成メカニズムを調べる。この結果,次のことが明らかとなった。(1)まず日中に山の上に発達する熱的低気圧に正のうず度が蓄積する。この熱的低気圧は後のうずの生成に重要な役割を持っている。(2)夜になると, 山の斜面に下降流が発達する。山の中央部は発散場になり, うず度は低下する。この結果, 山麓でうず度が最大となる。(3)もし, 山麓にクレータなどがあると, さらにうず度の集中がおこり, 1個の独立したうずが形成される。夜に,クレータなど小規模の地形によりうず度の集中がおこるメカニズムは完全には明確にできたとは言えないが,うず度方程式の各項を見積ると, クレータ状地形の周囲から吹き降す山風の収束によるうず度の増強が最も効いている。山麓付近での高うず度帯の力学不安定については, それだけではうず度の集中をおこさせることはできない。最後に, 北海道においてシミュレーションを実施し, 同様なうずが, 北海道周辺の海上に3個できることを示す。そのうちの一つ, 十勝沖にできるうずは, その陸上側の半分がアメダスによる観測データより, しばしば見い出せる。
  • 久保田 効, 今井 博子
    1986 年 64 巻 6 号 p. 871-879
    発行日: 1986年
    公開日: 2015/02/17
    ジャーナル フリー
     In order to make clear the difference between the earth’s radiation budget over land and over sea, three components of the budget measured by the wide field of view sensors aboard NIMBUS 7 were analyzed for the period during November 1978 to October 1979.
     In each of the absorbed solar radiation and the emitted terrestrial radiation, it is confirmed that the zonal average over sea is about 40 W/m2 larger than over land covering the latitudinal range of 40 degrees around the solar declination. It is interpreted because the clear sky albedo over sea is about half of that over land and also the cloud amount over sea is about 13% less than that over land in the equatorial zone.
     In the absorbed solar radiation, it is found that in summer the zonal average over sea is about 15 W/m2 smaller than that over land covering the latitudinal range of 30 degrees centered 60N or 60S. It is estimated because in the latitude of summer the cloud amount over sea is so larger than over land as to cancel the clear sky albedo effect though clear sky albedo over sea is about half of that over land.
     In the emitted terrestrial radiation, it is also found that the minimum zone of it associated with ITCZ is lower over land than over sea, and the maximum zones of it associated with the subtropical high pressure zones are larger over land than over sea. This strangely means that the direct circulation over land looks like more active than over sea in the equatorial zone.
  • William H. Klein, Runhua Yang
    1986 年 64 巻 6 号 p. 881-893
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    ユーラシア大陸上の115地上観測点における月平均地上気温(MMATA)の総観気候学を2つの型のマップを使って評価した。最初の分布図は,ある点のMMATAと北半球134格子点の月平均700mb高度偏差(MMHA)の間の簡単な線形相関係数から作成される。冬季において,この場は,一般に2つの重要な中心,すなわち,基準観測点から約1300km離れた正極大相関中心とその北西約2800km離れた負の中心を持っている。夏季には,正の中心が基準点から平均して800kmのところにあり,MMATAを強く支配するが,負の中心は冬季程重要ではない。二番目の分布図は,各格子点の相関係数に同じ点のMMHA標準偏差を掛けてことによって作られる,特別なタイプの偏差合成である。この図は,ユーラシア域を幾つかの気候学的に類似の領域に分割し,その各々の冬季•夏季における異常に温暖(あるいは寒冷)な天候時の高度偏差最適分布を示している。
  • 新田 勅, 丸山 健人, 元木 敏博
    1986 年 64 巻 6 号 p. 895-911
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    静止気象衛星による6年間(1978年~1984年)の雲風データを用いて,西部太平洋域における大気循環場の長期変動を調べた。ゾンデによる高層観測風との比較の結果,衛星による月平均上層風は200mbの風に,また,下層風は850mbの風にほぼ対応することがわかった。各月ごとに6年平均した風の解析から,西太平洋域の風の場は,夏,冬のモンスーン循環の影響を大きく受けていることがわかる。北半球の夏期,上層の熱帯西部太平洋域は,優勢なチベット高気圧の南東にあたり,北東気流が卓越する。一方,冬期は,オーストラリア上空の高気圧からの南東流が卓越する。
    風の場の主成分解析を行った。第1主成分は,1982-83年のエルニーニョに伴う風の場を表わし,赤道東太平洋で上昇,西太平洋で下降の東西循環が顕著に現われる。また,中国大陸東部から西太平洋の亜熱帯域にかけて,低気圧活動の活発化に対応した低気圧性循環の強まりが見られる。
    主成分解析と合成図解析から,前論文(新田,1986)で見つけられた,雲量の西太平洋一日本間の振動に伴う風の場を求めた。西部太平洋亜熱帯域(~20°N)で対流活動が活発な時,そのやゝ北西側で低気圧性循環が,また,日本を含む中緯度域で高気圧性循環が強化される。これらの変動は,熱帯域の対流活動の活発化に伴う亜熱帯高気圧の北上に対応しており,東アジア域の夏の天候に多大の影響を与えているものと思われる。
  • 村松 照男
    1986 年 64 巻 6 号 p. 913-921
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    明瞭な多角形眼が台風8019のPPIエコー上で観測された。直径30kmの眼は4角形から6角形までその形を変え,台風眼中心に対して半時計回りに回転していた。回転周期は5-6角形で41-43分,4角形で47-50分と回転速度が速い(周期が短い)ほど多角形の角数が増加した。多角形眼は形状を変えながら約15時間観測され,5角形が最も頻度が高く,111分という長寿命であった。逆に,4角形は不安定で寿命は12分前後で,頻度も最もひくく,3角形や7角形は観測されなかった。
    多角化は眼の壁雲の最も内側の数km幅の狭い領域で起こっていた。眼の中の小エコーセルの追跡の結果,小エコーセル(眼の中の気塊)は等角速度運動をしており,多角形に変形した部分はそれよりやや速い速度で回転していた。多角形眼の現象は水平シヤーの大きい,眼の中の下降流と眼の壁雲の上昇流領域の境界で起こり,境界面の不安定を示唆する多角形の各辺の波打ち現象がしばしば見られた。この現象は発達した台風(ハリケーン)で明瞭な二重眼構造をもつ,中心気圧940mb前後,眼径が30-50kmの場合で多く見られた。
  • 石原 正仁, 柳沢 善次, 榊原 均, 松浦 和夫, 青柳 二郎
    1986 年 64 巻 6 号 p. 923-939
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    地上に設置された2台のドップラーレーダーを用いて,台風8305号の降雨帯周辺の風の場を測定し,その内部構造を調べた。この降雨帯は台風中心の北東300kmに位置し,広い層状性の降水域内にあった。降雨帯周辺の流れは,降雨帯に沿ってほぼ2次元的であった。台風中心から動径方向の合成断面図を作り,降雨帯に関連する2次循環を明らかにした。外側に大きく傾く収束域があり,それは降雨帯下層の内縁から中層の外縁に延びていた。地表摩擦によって流入した空気は,降雨帯内縁で上昇し,2ms-1のメソスケールの上昇流となっていた。上昇流の外側の反射強度の最大域には-1ms-1以下のメソスケールの下降流が存在した。この下降流は雨滴の落下と蒸発によって作られたと思われる。下降流にともなう相対的に冷たい空気と下層に流入した暖かい空気によって,上昇流が作られていた。降雨帯を維持するためには,この雲力学的な機構が主要な役割を果たしていると考えられる。
    降雨帯に相対的な流れを考えると,雲底下付近の大きなθeを持った空気は,台風の外域から中心に近づき,降雨帯の内縁を通ってその内部に入っていた。これは降雨帯が,25°という大きな交差角を持っていたためである。この暖かい空気は,隆雨帯内の強雨域を通過することなしに収束域に達し,上昇することができた。
    反射強度の分布は比較的一様であっても,流れの場を詳細に見ると,降雨帯内には約5km間隔で対流スケールの上昇流が並んでいた。興味ある事実は,降雨帯内の反射強度の最大域に,循環性の流れが存在したことである。ここの相対渦度は,3×10-3S-1を越していた。
    この降雨帯の内部構造を,これまでの観測や数値モデルの結果と比較検討した。降雨帯の伝播速度及び地上気圧の変化傾向からは,降雨帯と重力波との関連は見出せなかった。
  • 武田 喬男, 瀬古 勝基
    1986 年 64 巻 6 号 p. 941-955
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    中規模スケールの組織化された帯状積乱雲群をRHIレーダー(波長3.2cm)を用いて観測し,その三次元構造と形成維持過程の解析を行なった。このシステムは,主に長続きする組織化された多重セル型の積乱雲より構成され,新しいセルは,約20分の時間間隔で既存のセルの進行方向右側約5km付近に形成されていた。さらに,これらの積乱雲を1つの大きな"セル"と見なすと,帯状積乱雲群全体は,中規模スケールで"組織化された多重セル型"の構造を持っており,新しい積乱雲は,帯状積乱雲群の後端に約15kmの間隔で形成されていた。この二重に組織化された構造は,群の維持とその動きに密接に関連していた。
  • 武田 喬男, 伍 培明, 岡田 菊夫
    1986 年 64 巻 6 号 p. 957-966
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    名古屋の大気におけるエアロゾル光散乱係数の湿度による変化の測定および光学的に重要な半径0.1~0.5μmの個々のエアロゾル粒子の電子顕微鏡による観察を1983年11月から1984年8月までの間にかけて行った。
    エアロゾル光散乱係数と湿度30%でのエアロゾル光散乱係数の値の比(光散乱係数比)の相対湿度による変化(humidogram)を毎日のエアロゾルについて測定した結果,その大部分はAタイプとBタイプに分けられた。Aタイプの humidogram は,光散乱係数比が湿度70%まではゆっくり増加するが,湿度75%付近で急増する。それは風の強い時に観測され,その時のエアロゾルとしては海塩粒子が多く存在していた。Bタイプの humidogram は,光散乱係数比が湿度の上昇に伴なって滑かに増加し,主に 4m/s以下の風の時に出現し,その時の個々のエアロゾル粒子としては,硫酸イオンを含んだ種々の物質が混合しているものと推察された。
    名古屋の大気でのエアロゾル光散乱係数は,大気の湿度が80%以下の時には乾燥状態でのエアロゾル粒子の量で大体決まる。しかし,より詳しく見るならば,大気の湿度が75%以下の時は,Bタイプのhu-midogram が観測された時の光散乱係数比はAタイプのものが観測された時の光散乱係数比に比べ高い。大気の湿度が80%以上の場合,Bタイプの humidogram しか観測されなかった。Bタイプの humidogramを持ったエアロゾルは名古屋で高湿大気中に高い光散乱係数を生じさせるものとして重要である。
  • 小林 隆久
    1986 年 64 巻 6 号 p. 967-977
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    大気中の個個の粒子は,形態や屈折率など各粒子固有の値を持っている。このような様々な特性を持つ粒子をその集合として,大気の中の一つの系として扱い,そのエーロゾルに対し平均的な屈折率(有効複素屈折率)を推定する方法を示し,その有効複素屈折率が正確に放射場を表現できることをモデル計算により示した。この方法は,反射率を航空機により測定し,計算値と比較することによりエーロゾルの屈折率虚数成分を推定するもので,反射率がエーロゾルの吸収特性に敏感に作用される性質を利用している。このような測定では,地表面アルビードなどエーロゾル以外の要素が推定値に影響を及ぼす可能性がある。そのために地表面アルビードの角度や波長特性,粒径により不均質なエーロゾルの成分などが推定に及ぼす影響を数値モデルにより調べこれらの影響は小さいことが分かった。
  • 小林 隆久
    1986 年 64 巻 6 号 p. 979-986
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    反射率を航空機により測定し,Part Iで示した方法を用いてエーロゾルの有効複素屈折率虚数成分を推定した。測定は快晴時に瀬戸内海播磨灘上空で5回行われ,その結果虚数部の値は,0から0.013の範囲にあることが分かった。5回のうち2回の観測では上層での虚数部が下層に比べて小さな値となり鉛直方向に不均質な結果を示したが,このような場合でも地球-大気系のアルビードは下層の濃度が大きいためその虚数部により決定されることが分かった。この推定ではエーロゾル粒子は球形と仮定しており,実際の粒子が非球形の場合誤差を生じる可能性がある。実際の大気において,この非球形の影響を見積るのは大変に困難だが.大まかにその効果を調べるために,同時に測定された放射収支量と推定値から計算した収支量とを比較したところ,良い一致を示すことが分かった。
  • 池田 弘, 青島 武, 三宅 行美
    1986 年 64 巻 6 号 p. 987-993
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    このたび開発した新型日照計について述べる。この日照計の光学系は反射鏡と光検出器から成るもので,光検出器は,地軸に平行な軸上を回転する反射鏡をとおして天空を見るようになっている。鏡面には,太陽の入射角に無関係な一様な感度を得るために,ある散乱特性を与えてある。なお天空散乱光の影響は,焦電素子を光検出器に用いることによって大幅に減少させることができた。
  • 廣田 勇, 二木 徹
    1986 年 64 巻 6 号 p. 995-999
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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