日本海上の収束雲帯に関連した北陸地方の大雪の例について,微格子プリミティブモデルを用いて予報実験を行った。この論文では,特別高層観測を含む観測データとともに,予報実験の結果を用いて収束雲帯の構造を詳しく記述する。
収束雲帯のまわりの大気は次の特徴的な性質を持っている。すなわち,
- 対流活動の活発な線に沿う,強い正の渦度を伴った下層収束,中層発散の領域,
- 寒気中に位置する,対流活動の活発な線に沿う暖かくて風の弱い領域
- 対流活動の活発な線の北東側にある,二つの層の境界としての弱い安定層(二つの層とは,対流活動の活発な線に向かう北よりの寒気流の層と,すでにその中で加熱されてきた南よりの暖気流の層),
- 南西側にある,鉛直シアーが小さく,寒気の上面までほぼ中立の成層をした西北西流,
- 対流活動の活発な線の300-500km北東の発散レベル(700-600mb)にある強風域。
断面図とトラジェクトリーの解析によって,雲帯のまわりの大気の明確な像が描ける。また,熱•水蒸気収支解析によって,日本海南部上では,収束雲帯のまわりのメソスケールの熱的な構造は,主に,大規模寒気移流場の中の局在化された潜熱の解放によって維持されていることがわかる。
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