赤道付近の33地点のレーウィンゾンデのデータを用いて高度と温度の場の30-60日変動の特性および東西風のそれとの関係を調べた。まず7年間の時系列を調べ、次に変動が活発な7つの時期に対してずらし相関の手法を用いて解析を行った。主要な結果は以下のとおりである。
(i)対流圏全層の高度および上部対流圏の温度において、インドから日付変更線を越えて東太平洋までの広い領域で東西の位相のずれが小さい定常波のような構造が認められた。
(ii)対流圏下層の高度と東西風の変動は日付変更線付近では同位相であるが、インドネシア付近では東西風が高度より約120°進んでいる。上層では日付変更線付近で東西風が高度より約120°進んでいる。
(iii)高度の鉛直分布は年によって変化が大きいが、西および中部太平洋では上層は下層より約70°~120°進んでいる。
これらの高度場の特徴はよく知られている東西風の場の構造とは大きく異なっている。30-60日変動においては、単純に対流圏の上•下層で逆位相のケルビン•モードが卓越しているとは考えがたい。
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