NOAA/NESDIS編集の月平均積雪面積データを21年間(1967-'87)用いて、北半球における積雪の年々変動を調べた。
冬期について主成分分析を行うと、第一主成分(寄与率46.6%)ではユーラシア大陸と北米大陸での同時降雪パターンが見られ、その時系列は北半球全域の積雪時系列とほぼ一致している。第二主成分(寄与率23.6%)ではユーラシア大陸の東部と西部およびユーラシア大陸の東部と北米大陸とでの積雪変動の逆相関パターンが出現する。これは大陸より小さな規模の積雪変動の重要性を示唆する。
主成分分析で得られたパターンの変動を詳しく見るためにパターンに従って大陸をボックスに分けて時系列を調べた。一般に積雪の季節進行は10月に降雪開始、1~2月に積雪ピークとなり、3~4月にはその大部分が融解する。従って、その年の積雪の多寡を特徴づけるのは12~2月の積雪量である。ピーク期において例年より積雪面積の広い多雪年では、ユーラシア大陸における積雪の中低緯度への張り出しは東部半乾燥地域で大きい。また多雪年のユーラシア東部において2月から3月にかけての積雪面積の後退が特に顕著である。
以上のような時系列解析を経て、北半球の2大陸の積雪変動を代表する領域としてユーラシア大陸の東部と北米全域を選定した。この2領域の時系列を比較すると2大陸における多雪年の1年ラグが明瞭に見える。即ち、ユーラシア大陸が多雪であると翌冬には北米大陸で多雪となる。
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