海風モデルのパラメータ依存性が単純化した二次元数値モデルにより調べられた。海風を特徴づける量のパラメータ依存性を調べるため、種々のパラメータの組み合わせについて計算を行なった。変化させたパラメータは地表温位の日変化の振幅
ΔTとその振動数ω、渦拡散係数κ、温位傾度Γ(プラントの振動数N)の4種である。計算は(A)線形/静水圧、(B)線形/非静水圧、(C)非線形/静水圧、(D)非線形/非静水圧の4種のモデルで行なった。
新野(1987)のスケーリングによって支配方程式中に4個の無次元パラメータを残すことができる。本文では、『その中で主要な非線形パラメータε(=ΔT/Γ(κ/ω)
1/2)と静水圧パラメータδ(=ω/N)の2個のみを変化させた。
計算によると、(1)流れの様子はモデルが非線形か線形かにより大きく異なるが、通常の海風の条件下では静水圧近似の影響は小さい。(2)計算領域の大きさは海風のスケールを決めるのに重要である。(3)非線形モデルでは海風速はεの依存性が大きくε2に比例して強くなる。特にε>3になると線形モデルから大きく外れる。(4)また海風速はδ-1に比例して弱くなるが、非線形モデルのδ依存性ではεにも大きく依存する。(5)昼間において陸上での最大Rayleigh数はRa=0.1ε
4δ
-2と見積られるが、非線形モデルでの海風速の最大値はR
l/2aに比例すると考えられる。
またメッシュ間隔の依存性についても言及した。
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