気象集誌. 第2輯
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70 巻, 2 号
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  • 岩崎 俊樹
    1992 年 70 巻 2 号 p. 673-687
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    大気大循環モデル(NCARCCM1)の解析を通じて、気圧-エントロピー混成鉛直座標系から見た平均子午面循環及び波動平均流相互作用について述べる。特に、季節変化と南北両半球の比較に焦点を当てる。
    対流圏には、2つのタイプの強い直接循環が見られる。1つはハドレー循環であり、もう1つは中高緯度のものである。後者は対流圏に閉じ込められ、冬半球で強く、南北両半球の冬では同程度の強さを示す。これらの特徴は中高緯度対流圏の循環が傾圧不安定波によるものであることを示唆している。
    成層圏の平均子午面循環はBrewer-Dobson型であるが、その季節進行は波の活動度の相違のために両半球で大きく異なる。冬期北半球中高緯度の下降流は冬期南半球より強く、その結果、地球全体の対流圏一成層圏の大気質量交換の効率は北半球の冬に極大となる。特に南半球の極渦内では下降流が極端に弱く低温化を招いている。また、中高緯度での下降流季節変化における南北両半球間の非対象は低緯度の上昇流を変化させ、熱帯成層圏の気温にも季節変化を生ずる。
  • 大河内 康正
    1992 年 70 巻 2 号 p. 689-701
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    海風モデルのパラメータ依存性が単純化した二次元数値モデルにより調べられた。海風を特徴づける量のパラメータ依存性を調べるため、種々のパラメータの組み合わせについて計算を行なった。変化させたパラメータは地表温位の日変化の振幅ΔTとその振動数ω、渦拡散係数κ、温位傾度Γ(プラントの振動数N)の4種である。計算は(A)線形/静水圧、(B)線形/非静水圧、(C)非線形/静水圧、(D)非線形/非静水圧の4種のモデルで行なった。
    新野(1987)のスケーリングによって支配方程式中に4個の無次元パラメータを残すことができる。本文では、『その中で主要な非線形パラメータε(=ΔT/Γ(κ/ω)1/2)と静水圧パラメータδ(=ω/N)の2個のみを変化させた。
    計算によると、(1)流れの様子はモデルが非線形か線形かにより大きく異なるが、通常の海風の条件下では静水圧近似の影響は小さい。(2)計算領域の大きさは海風のスケールを決めるのに重要である。(3)非線形モデルでは海風速はεの依存性が大きくε2に比例して強くなる。特にε>3になると線形モデルから大きく外れる。(4)また海風速はδ-1に比例して弱くなるが、非線形モデルのδ依存性ではεにも大きく依存する。(5)昼間において陸上での最大Rayleigh数はRa=0.1ε4δ-2と見積られるが、非線形モデルでの海風速の最大値はRl/2aに比例すると考えられる。
    またメッシュ間隔の依存性についても言及した。
  • 鈴木 力英
    1992 年 70 巻 2 号 p. 703-710
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    地上風は総観規模の気圧傾度によって大きく影響を受けるが、本研究では総観規模の気圧傾度を地衡風によって表現し、地上風との関係を中部日本において統計解析した。単一の地点の地表風には海陸風等の局地風成分が含まれるが、本研究ではAMeDASの多数の地点における地表風を面的にベクトル平均することによって局地風成分を相殺させ、より精度の高い地衡風と地上風との関係を明らかにした。前論文(Suzuki, 1991b)で両者の風速比をすでに扱ったので本研究では両者のなす角を主に取り上げた。
    地衡風向から地上風向を反時計回りに測ったなす角は平均76度であったが、なす角は地衡風向によって大きく変化し、地衡風向が西の時57度程度と小さくなった。さらに、おおよそ東北東付近になす角が大きく変化する点があり、これは関東の気流パターンが北西の季節風型となるか、北東気流型となるかを分離する地衡風向に対応していることがわかった.この大きな変化の原因として中部日本の山岳地域や奥羽山脈の地形の影響を考えた。
    本研究で得られた「なす角」を従来の研究結果と比較した結果、だいぶ大きな値であることがわかった。また、地表風と地衡風との風速比についても従来の研究と比較した結果、本研究で得られた値はだいぶ小さい値であることが判明した。これは、中部日本が他の研究の対象地域と比較して山がちであったためや、また、本研究が地表風から局地循環の成分を取り除いて計算しているためと考えられる。
  • 銭 公望, 石坂 隆, 皆巳 幸也, 倉橋 佳伸, Bernadia I. Tjandradewi, 竹中 千里
    1992 年 70 巻 2 号 p. 711-722
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    酸性霧の発生機構を解明するため、北アルプスの乗鞍岳で、霧水のバルク分析とともに、主に個々の粒子のレベルでエーロゾル粒子と霧粒の1個1個の性状の時間変化を観測した。エーロゾル粒子と霧粒は2段式インパクターを用いて電子顕微鏡メッシュ上に採集し、その形態を調べるとともに、試薬薄膜法を用いてその成分(SO2-4,NO-3,NH+4)も調べた。
    バルクで採集した霧水のpH値が常に霧水量によって大きく左右されていたのに対し、多段式インパクターで粒径別に採集した微小霧粒のpH値は霧水量によらず、時間の経過とともに低くなった。霧粒のpH値は粒径が小さいぼど低く、霧の消散の直前で、最も小さい粒径では1.6程度にも達することが見いだされた。一方、エーロゾル粒子と霧粒の形態と成分も霧の消長とともに特徴的な変化が見いだされた。霧発生前に主にSO2-4とNH+4しか含んでいなかったが、霧の中ではNO-3も新たに含むようになった。そして霧が消滅する直前では、新たに生成された硫酸粒子も見いだされた。
    粒子と霧粒の組成と形態の変化を手がかりとして、酸陛霧粒の成因を考察した結果について述べる。
  • Man Li C. Wu
    1992 年 70 巻 2 号 p. 723-731
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1979年1月から1981年5月までの期間について、雲放射強制力の全球十日平均を人工衛星データから 物理的手法を用いて求めた。雲場の詳細な構造に顕著な時空間変動が見られるにもかかわらず、得られた 雲放射強制力の日•季節•経年変化は2-3Wm-2と小さな値を示した。半球平均の変動の振幅は、全球の それと比較して大きな値を示した。振幅の最大値(20Wm-2)は南半球の陸域に現れ、振幅の最小値(6Wm-2)は北半球の海域に現れた。
  • 高藪 出
    1992 年 70 巻 2 号 p. 733-738
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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