移動熱源によって励起される循環の水平構造を球面上の線形化された浅水方程式の固有モードを用いて調べてみた。Lambパラメータ(ε=4a
2Ω
2/gH, a:惑星の半径、ω:惑星の自転角速度、g:重力加速度、H:等価深さ)、熱源の移動速度、及びレーリー摩擦とニュートン冷却の減衰係数を幅広く変化させて、熱源に対する応答解を求めた。応答解として求まった循環は4種類に分類することができた。タイプ1は昼夜間の直接循環で、熱源の移動速度が遅く減衰係数が大きい場合に現われる。タイプ2はGill(1980)の解に類似した循環で、熱源の移動速度が遅く減衰係数が小さい場合に現われる。タイプ3は熱源の移動速度がかなり速くなった場合に現われる経度方向に一様な循環である。タイプ4は慣性重力波によって特徴付けられる循環で、慣性重力波と移動熱源とが共鳴を起こすことにより現われる。この共鳴は減衰係数が小さくなるほど顕著になる。熱源の移動速度と減衰係数をパラメータとした循環の分類図でみると、タイプ4の領域はタイプ2と3の領域の間にあることがわかる。(図9参照。)
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