内観研究
Online ISSN : 2435-922X
Print ISSN : 2432-499X
28 巻, 1 号
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巻頭言
大会長講演
特集1 内観と森田の対話
特集2
特集3 病院における内観療法の実際
  • − 各施設の内観療法の流れ −
    河合 啓介, 塚崎 稔, 波夛 伴和, 竹元 隆洋
    2022 年 28 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー

     本研究は、集中内観を実施している4病院での内観療法の実施内容に関する調査結果を集約した研究である。それぞれの施設間で面接者の内観面接歴は20年から46年、2例からのべ121例と施設によって大きな違いがあった。対象としている疾患は、精神科では依存症、パーソナリティ障害、うつ病、不安症、心療内科では摂食障害、生活習慣病であった。しかしながら、集中内観のスケジュール(6泊7日 面接は1日6から7回)や集中内観の費用(1日8千円から1万円)などの集中内観の枠組みや、内観者を肯定的に受容し、気づきをじっと待つ面接者の姿勢は概ね一致していた。今後の内観療法に有効なこととして、専門医制度の確立、科学的理論の確立、健康保険制度の適応などが挙げられた。

論点
原著論文
  • - 日本内観研修所協会調査から −
    高橋 美保, 李 暁茹
    2022 年 28 巻 1 号 p. 67-80
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー

     本研究は内観面接者に必要な知識やスキルを体系化し、教育プログラムを開発するための研究の第3報となる。第1報では、第2世代の内観面接者が若手内観面接者として抱いた困難が明らかにされ(高橋・李, 2020)、第2報では、第2世代が学びを得た第1世代の内観面接の困難や対処が明らかにされた(高橋・李, 2021)。第3報となる本論は、第1報・第2報で明らかにされた知見を基に、複数の内観研修所における実態を把握することを目的に、日本内観研修所協会を対象に行われた調査について報告するものである。内観研修所から得た結果をもとに、集中内観の枠組みの設え方、内観面接者になる・内観面接者としてある、内観面接者としての対応、面接の流れや枠組みの作り方、内観面接中の対応について、内観の今後に向けてという視点から考察を加えた。

  • 渡邉 直樹, 渡邊 克雄, 豊永 市子, 他
    2022 年 28 巻 1 号 p. 81-90
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル 認証あり

     森田療法の第1期に行われる「臥褥」に代えて内観を行いその適否を検討した。精神科の患者を対象として、わたしたちは「メンタルホスピタルかまくら山」において令和元年4月から精神科病院という環境で十数名の患者に内観および森田療法を行ってきた。その結果森田療法の第1期に臥褥の代わりに内観を行うことで同じような効果が得られることが分かり、さらに内観のもつ付随的な利点が見られることもわかった。以下に内観と森田療法の類似性と相違について検討し、森田療法の第1期として内観を用いることにどのような意義があるのかについて考察し、さらにこの内観・森田療法を行った一例を報告する。

短報
  • 谷口 大輔, 塚﨑 稔
    2022 年 28 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル 認証あり

     新型コロナウィルス感染症(Covid-19)流行下のストレス軽減に対する内観療法の有効性を検証した。Covid-19が拡大するなかで、当院に通院している患者12名に対し内観療法を行ない、全般的精神健康度(GHQ12)を記入してもらい、Covid-19に対するアンケートも実施した。その結果、GHQ12総合得点の有意な改善が認められた。またアンケートの質問項目では、項目4を除く全ての項目において有意に改善が認められていた。内観療法はCovid-19に対するストレス軽減への有効性が示唆された。

  • − 一日内観という方法を通して −
    都甲 陽子, 土橋 義範, 真栄城 輝明
    2022 年 28 巻 1 号 p. 97-103
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー

     難しいといわれる日常内観の継続を促すために、その方策の一つとして真栄城(1999)は「一日内観」について述べたが、我々はそれを心理相談室における分散内観として試みた。私設心理相談室の一画にある和室を内観室として用い、集中内観体験者による「一日内観」を個別的かつ継続的に実施し、面接者と内観者という異なる視点から考察を行った。

     1年間に計5回の「一日内観」が行われ、内観者は「日常」と「非日常」を繰り返すことで、集中内観とは異なる気づきを得た。分散内観として心理相談室で行う「一日内観」は、集中内観の効果を深め、内観者を支援する方法の一つとして有用と考える。

  • 前田 起代栄, 李 晟, 真栄城 輝明
    2022 年 28 巻 1 号 p. 105-116
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー

     食事は内観者に影響を与える要因の一つである。本研究では集中内観体験者10名と食事の作り手に半構造化面接を行い、KJ法を用いて分析をし、内観者及び作り手の視点も併せて考察を行った。その結果、内観者に行った半構造化面接からは、食事が【被愛感を呼び起こすもの】【場や気持ちの切り替え】【想起・発想のきっかけ】となっていることが示唆された。作り手へのインタビューからは内観者に対する【食に対する方針】【工夫や配慮】等が生成された。食事は場や気持ちの切り替え、食事に関わる被愛感に支えられて内観への抵抗が和らぐ、想起や発想のきっかけなどがその意義として挙げられる。内観者は、作り手の工夫を十二分に感じているようである。これは、内観中の食事の構造も関係していると考える。

  • − 内観者の視点を中心に −
    鈴木 康広, 真栄城 輝明
    2022 年 28 巻 1 号 p. 117-121
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/30
    ジャーナル フリー

     集中内観において「抵抗」が生じることがあるので、内観の三項目に入る前に自分の人生を振り返るという意味で「生い立ちの記録」を導入した。内観者にとって「生い立ちの記録」はインテークのように感じられ、内観の三項目に対するウォーミングアップになり、「三項目に対する抵抗」が減じられた。没頭・集中できれば、「抵抗」全般への有効性もあると思われる。内観面接者は時代精神の変化を考慮して、質的に生じざるを得ない「抵抗」を踏まえたうえで、「内観への抵抗」を減ずる工夫をしていく必要があろう。

各地だより
追悼文
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