規準化した複数のデータの重み付き線形和により評価する総合指標では,重み係数を合理的に設定することが極めて重要になる。本研究では,専門家へのアンケート結果に階層分析法 (AHP)を適用することで重み係数を算出する手法を提案するとともに,自然災害に対するリスク指標 Gross National Safety for natural disasters(GNS)の評価体系に対して,指標を防災・減災投資の意思決定として利用する専門家へのアンケートを実施した。個々のアンケート結果の信頼性を整合度C.I. により判定した後,回答者集団ごとに自然災害や防災・減災対策の重み係数を求めた。その結果,回答者集団ごとの重み係数は自然災害の地域性を反映することが示唆された。一方,防災・減災対策の種類(代替案)ごとの重み係数は,回答者集団によらず質問の 仕方(評価基準)を反映したユニークな結果になり,適切な代替案のもとで合理的な重み係数が設定されたことが示された。