2022年台風14号は,9月18日19時頃に鹿児島市付近に上陸し,九州を北上した後,翌19日3時には柳川市付近に再上陸した。その後,進路を東寄りに変えながら福岡県・山口県を横断し,15時前には日本海に抜けた。九州山地の南東側を中心に18日昼前から19日未明にかけて非常に激しい雨が断続的に降り続き,宮崎県北部の小丸川水系の渡川ダムでは15~19日の積算降水量が1,235mmに達し,美郷町,椎葉村などでは土砂災害が発生した。県北部を流れる五ヶ瀬川支流の日之影川の見立でも1,097mmの積算降水量を観測し,五ヶ瀬川水系では水位の上昇により多くの地点で氾濫危険水位や計画高水位を超えた。筆者らが現地調査を実施した延岡市の富美山町・三須町・細見町・小川町,北方町の川水流地区,北川町の曽立地区では内水氾濫,北方町の曽木・八峡地区では外水氾濫により浸水被害が発生した。特に,延岡市の富美山地区では内水氾濫により200棟を超える住家の浸水被害が発生し,北方町の川水流地区では浸水深が最高で3 mを超える被害に見舞われた。
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