Journal of Neuroendovascular Therapy
Online ISSN : 2186-2494
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4 巻, 1 号
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原著
  • 内山 尚之, 濱田 潤一郎, 毛利 正直, 東 良, 廣田 雄一, 見崎 孝一, 林 裕, 高畠 靖志, 山崎 法明, 荒川 泰明, 江塚 ...
    2010 年 4 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(CSdAVF)に対するdouble micocatheter technique(DMT)による経静脈的塞栓術(TVE)の有用性について検討した.【対象と方法】CSdAVF 11例(男:女 1:10, 年齢56~81歳 平均66.9歳)に対して13回のTVEを行った.2本のマイクロカテーテルをCS内に留置後,それぞれのカテーテルを逆流静脈(RLVD)および上眼静脈(SOV)へ誘導し,RLVD,SOV,CSの順で塞栓した.【結果】13回のTVEのうち,11回(85%)で2本のマイクロカテーテルをCS内に誘導できた.すべてのRLVDにマイクロカテーテルを選択的に誘導でき,塞栓術中に新たに生じたRLVDに対しても,1本のマイクロカテーテルを移動させることですみやかに塞栓を行った.初回治療後の解剖学的および臨床的治癒率は,ともに82%であった.【結語】CSdAVFに対してDMTによるTVEを行った.RLVDへの選択的なマイクロカテーテルの誘導は困難ではなく,また術中の静脈流出路変化にも容易に対応できた.解剖学的および臨床的予後も良好であり,CSdAVFのTVEの有用な方法である.
テクニカルノート
  • 宮本 直子, 内藤 功, 高玉 真, 岩井 丈幸, 清水 立矢
    2010 年 4 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(CS dAVF)に対する血管内治療は,コイルを用いた経静脈的塞栓術が第一選択の治療法とされているが,coil packingで完全閉塞が得られないことがある.このような症例に,nbutyl cyanoacrylate(nBCA)を用いた経静脈的塞栓術を行った3例を報告し,手技上の工夫,留意点,有効性について検討した.【方法】全例,下錐体静脈洞経由で塞栓術を行った.1例はnBCA単独で,2例はコイル塞栓術後の再発や不完全閉塞に対しnBCAを注入した.【結果】3例中2例で完全閉塞が得られ,1例でシャントが残存したが頭蓋内静脈への逆流は消失した.手技に伴う合併症はなかった.【結論】コイルを用いた経静脈的塞栓術で根治しにくいCS dAVFや再発例に対し,nBCAを用いた経静脈的塞栓術は有用な治療法になりうる.
  • 鈴木 祥生, 倉田 彰, 岩本 和久, 中原 邦晶, 仁木 淳, 宮崎 朋子, 山田 勝, 岡 秀宏, 藤井 清孝, 菅 信一
    2010 年 4 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】前後拡張あるいは後拡張手技を行わないステント留置術(CAS)後の血管内腔の変化を検討した.【対象と方法】連続9例を対象とした.全例男性で平均年齢68.1歳,また全て症候性であった.6例でソフトプラークを,2例で石灰化を認めた.全例でdistal protectionを行った.前後拡張手技なしにCASを行えた症例は3例であった.他の症例では小さめのバルーンカテーテルで前拡張を行い後拡張は省略した.【結果】平均狭窄率は術前83.6%であり,術直後は40.3%,術後1ヵ月で20.3%と改善した.平均12.3ヵ月間の経過観察後の最終狭窄率は11.3%まで改善した.2症例で,術中に生じた低血圧や徐脈が1日以上遷延した.1例で術後一過性脳虚血症状を呈した.【結論】自己拡張型ステントを用いたCASにおいて,前後拡張あるいは後拡張を行わなくても必要十分な血管拡張が得られ,中期フォローアップでも満足できる血管内腔が確保された.本法の有効性や安全性についてはさらに多数例の検討が必要である.
症例報告
  • 呉島 誠, 鬼塚 正成, 堤 正則, 相川 博, 風川 清
    2010 年 4 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】頭蓋外内頚動脈解離は若年脳梗塞の原因として重要である.Transoral carotid ultrasonography(TOCU),Intravascular Ultrasound(IVUS)がその診断治療に有用であったので報告する.【症例】42歳女性.右眼の一過性黒内障で発症し,MRAにて右内頚動脈起始部に狭窄病変を認めた.脳血管撮影では分岐後の右内頚動脈に潰瘍形成をともなう狭窄病変を認めた.TOCUにてintimal flapを認め,dissecting aneurysmを形成していると考えられ,内頚動脈解離と診断した.保存的加療にて経過観察を行ったが,dissecting aneurysmが残存したため,術中IVUS施行してdissecting aneurysmの位置を確認し,ステント留置を行った.直後の血管撮影でdissecting aneurysmの消失を認めた.【結論】TOCUは頭蓋外内頚動脈解離の病態の正確な評価を可能にし,術中IVUSを併用することにより安全かつ適切なステント留置を施行し得た.
  • 竹内 昌孝, 石黒 朋子, 阿波根 朝光, 小西 善史, 松前 光紀
    2010 年 4 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】内科的治療に抵抗を示した特発性内頚動脈解離に対し,急性期ステント留置術を施行した1例を報告する.【症例】症例は66歳男性で,突然の左側の一過性黒内障,右上下肢の脱力発作を主訴に来院した.脳血管撮影では,左内頚動脈分岐部よりC5 portionまでの壁不整,造影剤停滞および頭蓋内血流の遅延が認められ,内頚動脈解離と診断した.入院後,内科的治療を開始した.第2病日,MRIにて脳梗塞巣の増加が認められ,脳血流SPECTにて病側の脳血流の低下が明らかなこと,また,血栓形成による塞栓源となりうることから積極的な治療の適応があると判断し,急性期ステント留置術を施行した.治療は局所麻酔下,distal balloon protectionを行い,遠位部よりDriver stent 2本,Wallstent RP 1本を留置することにより,内頚動脈解離部の良好な拡張が得られ,頭蓋内血流の改善を認めた.右下肢の感覚障害が残存したが,第11病日に独歩退院となった.【結論】内科的治療に抵抗を示す特発性内頚動脈解離に対して,低侵襲である経皮的内頚動脈ステント留置術は選択肢のひとつであり有用である.
  • 原口 健一, 松本 康史, 近藤 竜史, 鈴木 保宏, 宮地 茂, 加藤 恭三
    2010 年 4 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】硬膜動静脈瘻(dAVF)と静脈洞血栓症・狭窄症の合併例に対する経皮的静脈洞形成術の有用性を報告した.【症例】横-S状静脈洞血栓症とdAVFの治療歴を持つ34歳女性.dAVFの再発および対側横-S状静脈洞高度狭窄を認め,頭蓋内静脈還流は鬱滞していた.狭窄部に対して経皮的静脈洞形成術を施行し,順行性の静脈還流を得ることができた.術後経過は良好で,二次治療の追加によりdAVFの消退および静脈洞の開存が得られている.【結論】静脈洞血栓症・狭窄症に続発するまたは合併するdAVFに対し,経皮的静脈洞形成術は有用である.本例におけるdAVFと静脈洞血栓症・狭窄症との経時的関係についても考察した.
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