Journal of Neuroendovascular Therapy
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4 巻, 2 号
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原著
  • 國枝 武伸, 村尾 健一, 高畠 望, 笹森 寛生, 三宅 浩介, 中澤 和智, 金子 鋭, 日下 博文
    2010 年 4 巻 2 号 p. 69-77
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】超急性期脳梗塞におけるrtPA静注療法(IV-tPA)の治療成績および脳血管内治療併用(Combined therapy;ComT)の有用性と安全性を検証した.【方法】脳梗塞連続481例中IVtPAを施行した33例を対象とし,適応を満たした9例にComTを行った.再開通率(RR),3ヵ月後のmodified Rankin Scale(mRS),および症候性頭蓋内出血(sICH)の頻度を検討した.【結果】RRはIVtPA終了直後で39%(11/28例),ComTは44%(4/9例)であった.3ヵ月後のmRS 0-3は17例(52%)に認め,sICHは1例(3%)存在した.内頚動脈(ICA),中大脳動脈(MCA)近位部,遠位部,脳底動脈におけるRR(IVtPA直後/ComT)は,それぞれ0%/50%,43%/50%,78%/-,50%/0%であった.ICA,MCA近位部では転帰不良例が多く,良好例は再開通群にのみ存在した.【結論】ICA閉塞におけるIVtPAの有用性は低かった.一方,ComTは厳格な適応のもとであれば安全に施行され,ICA閉塞のRRと転帰を改善させる可能性がある.
  • 森田 健一, 反町 隆俊, 神保 康志, 伊藤 靖, 西野 和彦, 佐々木 修, 小池 哲雄, 藤井 幸彦
    2010 年 4 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】脳主幹動脈閉塞症例の予後を改善するため,rtPA静注療法と血管内治療併用による血行再建術の有効性と安全性を明らかにする.【方法】2008年1月から2010年3月までの間に,脳主幹動脈の急性閉塞に対してrtPA静注単独で治療した患者27例とrtPA静注と局所血栓溶解併用療法を行った患者9例の検討を行った.【結果】rtPA静注単独群では3ヵ月後の転帰良好modified Rankin Scale(mRS)0-2となったのは中大脳動脈閉塞の27例中4例(15%)であった.併用療法群ではmRS 0-2は9例中5例(55%)であった.併用療法群は静注単独群に比べ術翌日のNational Institute of Health Stroke Scale(NIHSS),3ヵ月後のmRSとも有意に低値であった(P<0.05).また手技による合併症は9例中2例(22%)であったが永続的な障害はみられなかった.【結論】rtPA静注と局所血栓溶解併用療法は主幹動脈閉塞症に対し有効であり,比較的安全に行える治療であると考えられた.
  • 松原 功明, 宮地 茂, 永野 佳孝, 大島 共貴, 細島 理, 泉 孝嗣, 鶴見 有史, 錦古里 武志, 若林 俊彦, 佐野 明人, 藤本 ...
    2010 年 4 巻 2 号 p. 84-90
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】脳動脈瘤モデルにおいてコイル挿入力の測定を行い,コイルやカテーテル先端の挙動との関係を検討することで,コイル挿入力の発生パターンを分析した.そして,よりストレスなくコイルが挿入できる挿入方法と挿入速度の条件について考察した.【方法】Yコネクター内のワイヤーの「たわみ」を光学的センサーで計測することでコイル挿入力を測定する装置が開発されている.本装置を用いて,術者が挿入した場合,一定の挿入速度で機械的に挿入した場合について,コイル挿入力を測定した.同時に,顕微鏡で塞栓中のコイルやカテーテルの動きを観察した.【結果】術者による挿入の場合,手の往復運動による影響がみられ,停止から再び動き出す際に静止摩擦が作用していた.機械による挿入の場合,挿入速度によってコイル挿入力の発生パターンに違いがみられ,瘤壁とコイルの間の摩擦状態(静止摩擦状態か動摩擦状態か)が影響していた.【結論】挿入操作と挿入速度によってコイルと瘤壁との摩擦状態が決まり,挿入力の発生パターンに影響することが判明した.コイルと瘤壁の間の動摩擦状態を維持できるような挿入条件が設定できれば,ストレスなくコイルが挿入できると考えられた.
  • 須山 武裕, 永島 宗紀, 我妻 敬一, 乾 敏彦, 長谷川 洋, 富永 紳介
    2010 年 4 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】血管内治療を施行した後大脳動脈P2 segmentの動脈瘤の治療方法,結果について検討した.【対象】くも膜下出血で発症した脳動脈瘤3例と未破裂脳動脈瘤4例の7症例を対象とした.後者は,mass effectで発症1例,破裂脳動脈瘤に合併して発見された1例,頭痛の精査にて発見された2例であった.【結果】嚢状動脈瘤(破裂3例,未破裂2例)は瘤内塞栓術を,紡錘状動脈瘤(未破裂1例),血栓化動脈瘤(未破裂1例)はコイルによる脳動脈瘤を含めた母血管閉塞を施行した.術後明らかな合併症は認めず2年から最長5年5ヵ月(平均3.6年)経過観察し再治療は施行していない.【結語】血管内治療を施行した後大脳動脈P2 segment動脈瘤の治療成績は良好であった.瘤内塞栓術が施行できない場合には閉塞テストにて側副血行路や神経学的に虚血症状の有無を評価し,親動脈閉塞術を施行することが望ましいが,個々の症例で十分な検討を要する.
  • 山浦 生也, 浦元 智司, 木寺 摩美, 松本 強, 福島 康久, 新光 阿以子, 内田 和孝
    2010 年 4 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】13例の小型動脈瘤のコイル塞栓術の有効性と安全性について検討した.【対象・方法】2005年2月から2009年2月までのコイル塞栓術97症例のうち最大径が3mm以下の動脈瘤12例13動脈瘤(破裂8,未破裂5)を対象とした.各々の塞栓状態の経時的変化,合併症などを検討し,さらにGuglielmi detachable coil(GDC)と2007年以降に使用可能になった新しいコイルを用いた場合の体積塞栓率,手術時間を比較した.【結果】13動脈瘤全例でコイル塞栓術が可能だった.合併症は塞栓症1例,術中破裂1例を認めた.術後血管撮影で完全閉塞(CO)は5例,不完全閉塞(ICO)は8例だった.平均追跡期間は22.8ヵ月で経過中の再破裂はなかった.ICOであった8例中5例(破裂動脈瘤5例中4例)が追跡期間中の血管撮影でCOに移行した.GDC以外の新しいコイルを用いた症例では,体積塞栓率が改善され平均手術時間が短縮された.【結論】小型動脈瘤は術中破裂の危険性が高くなるが,カテーテルやコイル挿入に工夫することで安全な塞栓術が期待でき,ICOが経過とともにCOになるケースが多かった.治療技術や道具の進歩によって小型動脈瘤はさらに安全に治療できるようになると思われる.
症例報告
  • 藤中 俊之, 黒田 淳子, 有田 英之, 中村 元, 西田 武生, 梶川 隆一郎, 芝野 克彦, 吉峰 俊樹
    2010 年 4 巻 2 号 p. 106-112
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】巨大静脈瘤を伴うintracranial pial arteriovenous fistula(pial AVF)の1例を報告する.【症例】17歳男性.左不全麻痺とふらつきが主訴で,諸精査により,右中大脳動脈を流入動脈としたSylvian fissure内に巨大静脈瘤を伴ったpial AVFを認めた.経動脈的にfistulaを通過し静脈瘤に到達し,静脈瘤から中大脳動脈の正常分枝より末梢側までをコイルとNBCAを用いて合併症なく完全閉塞した.【結論】巨大静脈瘤を伴う外科的治療が困難と考えられるpial AVFに対しては血管内治療が有用である.治療に際しては流入動脈から分岐する正常分枝の把握と温存が重要である.
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