Journal of Neuroendovascular Therapy
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5 巻, 1 号
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総説
  • 立嶋 智, 坂井 信幸
    2011 年 5 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
     脳主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中に対しては,最も高いエビデンスレベルを持つ組織プラスミノーゲンアクチベーター(recombinant tissue plasminogen activator:rtPA)の静脈投与(以下 iv rtPA)による血栓溶解療法が基本であることは変わりないが,その適応から外れた患者や,iv rtPA後早期に血流の回復が得られなかった患者に対し,血管内治療に期待が掛けられている.これまで行われてきた局所線溶療法(local fibrinolytic therapy)やバルーン血管形成術・ステント留置術を応用する治療に加え,新しい機器が開発され機械的血栓回収療法(mechanical thrombectomy)が治療戦略の中に組み入れられるようになった.米国ではMERCIリトリーバーが2004年に,Penumbraシステムが2008年に米国食品薬事局(Food and Drug Administration:FDA)の承認を取得したが,日本ではそれぞれ2010年,2011年に相次いで承認され,本格的なmechanical thrombectomyの時代の幕が開いた.
     この総説では,1)閉塞病変の遠位にデバイスを留置して血栓塞栓を捕捉回収するデバイス(Merci®が代表),2)閉塞病変の近位に留置する吸引デバイス(Penumbra®が代表),3)閉塞病変内に留置するステント型リトリーバー(SolitaireTM,TREVOが代表),4)閉塞病変を機械的に開くdirect PTAとstenting(WingspanTM,冠動脈用のバルーン拡張型ステントなど),5)Local intraarterial fibrinolysis(LIF)を紹介し,5つの異なるデバイス/治療法の利点と欠点を紹介した.速やかに再開通を得ることができなかった脳主幹動脈閉塞患者の予後は不良であり,適切な適応判断に基づいて選択した症例では,再開通の成功の有無が良好な転帰を得る最大の要素になることがわかっている.急性脳動脈閉塞の病型は多様であり,単一の機器や治療法ですべての病変・病態に適切な対処はできず,最新のデバイスが最適なデバイスとは限らない.それぞれのデバイスの作用機序がその病変に適切かどうかが最も大切な判断基準となる.
原著
  • Munetaka YAMAMOTO, Hidenori OISHI, Melake Mostafa Saleh, Kensaku YOSHI ...
    2011 年 5 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
    Objective: Treatment of very small cerebral aneurysms remains challenging. The aim of the present study was to assess the feasibility and safety of endovascular treatment for these aneurysms.
    Methods: Between 2003 and 2008, a total of 831 aneurysms were selectively occluded with coils. Of these aneurysms, 110 (13.2%) were very small (57 ruptured and 53 unruptured). We performed a retrospective analysis of these cases using the Glasgow outcome scale (GOS) for clinical followup and digital subtraction angiography (DSA) and/or MR angiography (MRA) for angiographic followup.
    Results: Mean duration of followup was approximately one year. Overall clinical outcome of patients showed 78 patients (76.5%) with good recovery, six (5.9%) with moderate disability, nine (8.8%) with severe disability, five (4.9%) with vegetative state, and four (3.9%) that had died. All asymptomatic unruptured aneurysms showed good recovery. No delayed rebleeding was observed. There were no procedural related complications. We encountered major recanalization in four aneurysms (10%) of the followedup ruptured aneurysms, requiring retreatment with coils; there were no major recanalizations in cases of unruptured aneurysms. Six out of nine (67%) unruptured aneurysms showing initial body filling had changed into complete occlusion at later follow up.
    Conclusions: Endovascular treatment may be a feasible and effective therapeutic alternative for very small aneurysms. Endovascular coil embolization of very small ruptured aneurysms was effective in controlling hemorrhage; however, this technique requires strict followup and may necessitate additional treatment. By contrast, outcome of very small unruptured aneurysms was excellent.
  • -我が国における初期周術期成績-
    坂井 信幸, 植田 敏浩, 早川 幹人, 長畑 守雄, 大田 慎三, 中原 一郎, 木村 和美, 吉村 紳一, 江面 正幸, 山崎 信吾, ...
    2011 年 5 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】MERCIリトリーバーを用いた機械的急性脳動脈再開通療法(mechanical thrombectomy)を我が国で安全に展開するため,本治療に導入初期から積極的に取り組んだ施設の周術期の治療結果を調査し報告した.【方法】2011年2月までに本治療を4例以上経験した19施設のうち15施設から報告を受けた119例の経験をまとめた.これはこの間の本邦における経験症例の42.0%,対象施設の経験数の88.1%に相当した.【結果】 平均年齢71.0歳,男性80(67.2%),閉塞血管は,内頚動脈40.3%,中大脳動脈49.5%,椎骨脳底動脈9.2%で,平均入院時NIHSSは18.1,rt-PA静注療法先行42.0%,発症から穿刺までの平均時間は340.3分,他の血管内治療手技の併用は56.7%である.再開通はTICI Grade 2A以上が74.6%,2B以上が48.3%,AOL 2以上が77.8%,3以上が38.4%,くも膜下出血は21.9%に生じたが症候性は3.5%に,脳内出血は31.6%に生じたが,症候性は2.6%に留まった.術後30日または退院時転帰(mRS)は,0~1が15.5%,0~2が28.2%,5~6が31.8%で,死亡率は10.9%であった.【結論】MERCIリトリーバー導入初期の国内主要施設の術後30日または退院時の初期成績は,転帰良好(mRS 0~2)が28.2%,死亡率10.9%,症候性頭蓋内出血2.6%であった.90日後の転帰をもとに,これまでの報告と比較する必要があるが,mechanical thrombectomyの導入初期成績は比較的良好である.
  • -Carotid Wallstentはステント径より細径の血管に置くと長軸方向にセルが伸びる-
    坂本 繁幸, 岐浦 禎展, 岡崎 貴仁, 光原 崇文, 品川 勝弘, 栗栖 薫
    2011 年 5 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】Carotid Wallstentのステント径は3種類あるため,それぞれの径でのステント展開時のステントセルの違いを認識しておく必要がある.我々はチューブ内に径の異なる3種類のCarotid Wallstentを展開し,ステントセルの状態を検討した.【方法】 6mm径,8mm径,10mm径のCarotid Wallstentを,6mm径チューブの中に展開し,ステントセル1個の形状,編み込み角度,面積,1cm2あたりのステントセルの個数を検討した.【結果】ステントセルの形状は,ステント径が大きいほど長軸方向に伸びた.ステントセルの編み込み角度は6mm径(平均116.4°)>8mm径(平均82.8°)>10mm径(平均67.2°)の順であった.ステントセル1個の面積は6mm径(平均2.7mm2)<8mm径(平均3.2mm2)<10mm径(平均4.4mm2)の順であった.1cm2あたりのステントセルの個数は,6mm径(平均37.1個)>8mm径(平均31.1個)>10mm径(平均22.7個)の順であった.【結論】Carotid Wallstentを用いる場合,ステントセルによる高いステントメッシュ密度を期待するためには目的とする径に近い径を選択すべきである.
症例報告
  • 吉野公博 , 河内 雅章, 平松 匡文, 西田 あゆみ, 平下 浩司, 柚木 正敏, 藤本 俊一郎
    2011 年 5 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】耳鳴および舌下神経麻痺で発症したanterior condylar confluent(ACC)のdural arteriovenous fistula(AVF)を報告する.【症例】57歳男性.右側ACCのdural AVFに対して,初回治療では舌下神経管内の静脈の塞栓によって舌下神経麻痺を改善できない可能性を危惧して経動脈的塞栓術を行い右舌下神経麻痺の改善がみられた.ところが,1年後,流出路の変化により,右視力障害,眼球結膜充血などの眼症状が出現したため,経静脈的塞栓術を行い完治できた.この治療の際,患側からのアプローチではなく,反対側の下錐体静脈洞からintercavernous sinusを介して患側の海綿静脈洞から右下錐体静脈洞へ入り,塞栓術を行った.本法により,カテーテルが安定し,かつ,適切な量のコイルで塞栓を行うことができた.【結論】比較的稀な臨床経過をたどったが,状況に合わせた戦略によって最終的に根治が得られた.経静脈的塞栓術の際,対側からのはアプローチは有用であった.
  • 長谷川 仁, 伊藤 靖, 本道 洋昭, 反町 隆俊, 藤井 幸彦
    2011 年 5 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】摘出術前の直接穿刺による腫瘍塞栓術中に外頸動脈へのNBCA(nbutyl2cyanoacrylate)のmigrationを認めた頚動脈小体腫瘍の1例を報告する.【症例】42歳,女性.徐々に増大し,圧痛を伴う左頚部腫瘤を自覚.頚動脈小体腫瘍と診断し,摘出術に先行して腫瘍塞栓術を行った.経皮的に腫瘍を直接穿刺しロードマップガイド下に20%NBCAによる塞栓術を行い,完全な腫瘍濃染の消失を認めた.塞栓術終了直前にNBCAが外頚動脈の分枝に逆流し,外頚動脈分枝閉塞をきたしたが,症状は出現しなかった.塞栓術翌日に腫瘍摘出術が施行され,約200mlと少ない出血量で全摘出が行われた.【結論】NBCAを用いた直接穿刺による塞栓術は頚動脈小体腫瘍の術前塞栓術として有用であると思われる.しかし,周辺血管への塞栓物質迷入に充分な注意が必要である.
  • 広田 暢夫, 徳植 一樹, 加藤 晶人, 保格 宏務, 櫻井 孝, 三代 貴康, 露無 松平
    2011 年 5 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】急速増大し,コイル瘤内塞栓を施行したblood blisterlike aneurysmの2症例を報告する.【症例1】44歳女性,くも膜下出血 grade 2.3 dimensional computed tomographic angiography にてblood blisterlike aneurysm と診断.慢性関節リュウマチにて抗TNFαモノクロナール抗体の投与を受けており急性期手術は行えず待機治療としたが,瘤の急速増大を認めコイル塞栓術を施行した.mRS 0で退院,2年経過後瘤の増大は認めていない.【症例2】39歳男性,くも膜下出血 garde 2.Digital subtraction angiographyにて僅かな膨隆を示すblood blisterlike aneurysmを認め,9日目には約5mmに増大しコイル塞栓術を施行した.瘤のneck remnantの状態は変わらず1年後も経過良好である.【結語】Blood blisterlike aneurysmのコイル塞栓術はsaccular shapeの場合治療optionのひとつと考えるが治療前後の急速な瘤の増大に注意する必要があり,頻回の画像所見の追跡が重要である.
  • 松本 順太郎, 竹本 光一郎, 東 登志夫, 岩 朝光利, 大川 将和, 保田 宗紀, 安部 洋, 井上 亨, 中原 一郎
    2011 年 5 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】外転神経麻痺で発症したprimitive trigeminal artery variant(PTAv)aneurysmを経験したので報告する.【症例】7日前からの左外転神経麻痺を呈した61歳の女性.左内頚動脈撮影にてPTAv本幹部動脈瘤を認めた.これに対しinternal trappingを施行し,左外転神経麻痺は完全に消失した.【結語】PTAv関連動脈瘤の報告例は6例と稀であり2例に外転神経麻痺を認めた.2例とも血管内治療にて外転神経麻痺の改善を認めており有効な治療法と思われる.
テクニカルノート
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