Journal of Neuroendovascular Therapy
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5 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 林 健太郎, 堀江 信貴, 森川 実, 宗 剛平, 竹下 朝規, 陶山 一彦, 永田 泉
    2011 年 5 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    目的】頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)は主にフィルターデバイスを用いて行われる.我々は術後にフィルターをHematoxylinEosin(HE)染色し,回収されたデブリスを観察している.本研究では頚動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy;CEA)病理標本とデブリスを比較し,デブリスの性状の同定を試みた.【対象と方法】当科にてCASを施行した27例(28病変)とCEAを施行した49例(49病変)を対象とした.デブリスの観察はフィルターをHE染色し,filter membraneをstrutより離断し,プレパラートを作成後に観察した.CEAで摘出されたプラークは固定後に包埋し,切片を作成した.HE染色および特殊染色し,観察した.【結果】CEA標本にはプラーク内出血,血栓,石灰化,コレステリン結晶,線維性被膜,炎症細胞浸潤,平滑筋増殖などが観察された.CASで回収されたデブリスは血栓性デブリス,石灰化デブリス,脂質性デブリス,線維性デブリス,細胞性デブリスなどと同定された.【結論】CASで回収されたデブリスはCEA病理標本と比較することで,その性状を同定できた.
    〈第26回日本脳神経血管内治療学会学術総会優秀演題推薦論文〉
  • 黒田 淳子, 藤中 俊之, 中村 元, 西田 武生, 梶川 隆一郎, 芝野 克彦, 吉峰 俊樹
    2011 年 5 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    目的】bare platinum coilを用いた脳動脈瘤塞栓術(BC群)とbioacitive coilを用いた脳動脈瘤塞栓術(BAC群)の治療成績を比較し,bioactive coilの安全性および再開通予防効果について検討した.【方法】当院にて2007年1月~2009年12月までに動脈瘤瘤内塞栓術を行い,術後1年以内にfollow upの血管造影検査を行った破裂/未破裂脳動脈瘤を対象とし,治療直後およびfollow upでの塞栓状況,動脈瘤頚部での内皮新生を示唆するwhite collar signの有無,術後MRI DWIでの微小脳梗塞の有無について比較検討を行った.【結果】follow upの血管造影検査施行時に,治療直後と比べ塞栓状況が改善されたものはBC群で9.38%,BAC群で15.8%であり,有意差は認められないものの(p=0.58),BAC群で多い傾向にあった.また,動脈瘤ネック部分の内膜新生を示唆すると考えられているwhite collar signの有無に関しては,BC群の6.3%,BAC群の26.3%にみられ,有意差は認められないもののBAC群で多い傾向にあった(p=0.13).しかし,術後の微小梗塞はBA群よりも多い傾向にあり,血栓性合併症に対しては十分な注意が必要である.
    〈第26回日本脳神経血管内治療学会学術総会優秀演題推薦論文〉
症例報告
  • 森本 将史, 服部 伊太郎, 菅原 道仁, 根本 哲宏, 百瀬 義雄, 木村 俊靖, 久保 俊朗, 北原 茂実
    2011 年 5 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】急激な症状増悪を認めた重症脳静脈洞血栓症に対して,超急性期にバルーンを用いた機械的血栓破砕が有効であった1例を経験したので報告する.【症例】患者は21歳男性.短時間に急激な意識障害の進行を来たし,脳血管造影検査で,上矢状洞から両側横静脈洞に及ぶ広範囲な静脈灌流障害を認めた.時間的余裕がなく,マイクロバルーンを拡張したまま静脈洞内をslidingさせる機械的破砕を先行した後にウロキナーゼを用いた局所線溶療法を施行したところ,短時間で静脈洞の血行再建が可能となり,予後が良好であった.【結論】広範囲にわたる重症脳静脈洞血栓症に対しては迅速な血行再建が必要であり,バルーンによる機械的血栓破砕は有効な治療選択肢のひとつになり得ると思われる.
  • 尾原 信行, 豊田 真吾, 中村 元, 井間 博之, 小林 真紀, 浅井 克則, 早川 航一, 岩本 文徳, 若山 暁
    2011 年 5 巻 2 号 p. 118-125
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】内頚動脈閉塞による急性期脳梗塞に対し頚動脈ステントとretrieval systemを併用して良好な転帰を得た一例を報告する.【症例】70歳男性.睡眠時発症の左片麻痺と半側空間無視を主訴に当院に搬送された.頚動脈エコー検査と脳血管撮影の所見から,右内頚動脈起始部高度狭窄に由来する動脈原性塞栓により内頚動脈閉塞に至った脳梗塞と診断し,まず内頚動脈にステントを留置し,続いて遠位の血栓をMerciで回収することにより再開通を得た.症状は著明に改善しmRS 0で退院した.【結論】急性内頚動脈閉塞に対する血行再建術において,迅速で的確な病態診断と,病態に応じたデバイス選択を検討する必要性が示唆された.
  • 吉村 良, 田中 優子, 岡田 秀雄, 南都 昌孝, 藤本 剛士, 新谷 亜紀, 寺田 友昭
    2011 年 5 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】RenduOslerWeber病(Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia;HHT)は難治性鼻出血の一因であり血管内治療の対象となり得る.今回HHTによる難治性鼻出血に対する血管内治療を報告する.【症例】51歳男性.HHTの既往があり頻回の難治性鼻出血により受診.外頚動脈撮影で動静脈シャントを認め,超選択的にカテーテルを誘導した.nbutyl 2cyanoacrylate(NBCA)を注入し濃染部の完全塞栓に成功,術後再出血はなくなった.【結論】血管撮影を詳細に読影して出血源を同定し,超選択的に塞栓することによって遺伝性の難治性鼻出血に対する再出血予防の一手段となり得る.
  • 小嶋 篤浩, 奥井 俊一, 真柳 圭太, 渡部 佳弘
    2011 年 5 巻 2 号 p. 130-133
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】特発性鼻出血に対し直視下に出血点を確認しながら塞栓術を施行し良好な結果が得られた1例を報告する.【症例】54歳男性.左中鼻甲介後端からの難治性出血が持続したため,血管内治療を施行した.まず直視下にて出血点に鑷子の先端をあて,外頚動脈撮影を行った.出血点が蝶口蓋動脈の外側後鼻枝であることが確認され,蝶口蓋動脈末梢部に離脱式コイルを留置した.出血部位の血流が消失した時点で手技を終了した.術後,症状は軽快し,退院となった.【結論】特発性鼻出血に対し血管内治療を施行する場合,直視下で出血部位を正確に確認した上で塞栓術を行うことは安全で確実であると考えられた.
テクニカルノート
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