Journal of Neuroendovascular Therapy
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5 巻, 3 号
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原著
  • 内田 貴範, 兵頭 明夫, 鈴木 亮太郎, 岩楯 兼尚, 木幡 一磨, 高野 一成, 滝川 知司, 田中 喜展, 鈴木 謙介
    2012 年 5 巻 3 号 p. 161-166
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】当院で施行したEnterprise VRDを併用した動脈瘤コイル塞栓術についてその初期成績を検証する.【方法】2010年7月から2011年5月の間に31例のEnterpriseを併用した未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術を行っており,その成績を検討した.【結果】平均年齢62.2歳,男女比8:23,動脈瘤部位は前方循環20例(内頚動脈18,前交通動脈2),後方循環11例(後大脳動脈1,脳底動脈6,椎骨動脈4),形状はsaccular 26例,fusiform 5例,瘤径は平均12.5±5.2mmであった.手技はjailing techniqueが8例,balloon assist techniqueの併用が23例であり,治療結果はcomplete occlusionが5(16.2%),neck remnantが25(80.6%),body fillingが1(3.2%),平均体積塞栓率は29.3±9.0%であった.術後に一過性脳虚血が2例(6.5%)で見られたが永続的なものはなかった.【結論】Enterprise VRDの使用により従来の方法では治療困難と思われた症例のいくつかに対しても塞栓術を施行でき,良い結果を得ている.今後はさらに長期成績を検証する必要がある.
  • 神山 信也, 落合 育雄, 上宮 奈穂子, 吉原 智之, 山根 文孝, 金澤 隆三郎, 根木 宏明, 嶋口 英俊, 石原 正一郎
    2012 年 5 巻 3 号 p. 167-170
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】脳血管撮影において,3.3Frサイズの細径カテーテルは,患者の身体的負担と合併症を減らすと報告されたが,その操作の難しさのために普及には至らなかった.今回,操作性改善を目的として新たに3.3Frカテーテルが開発されたため,操作性に関する要素につき実験的研究を行った.【方法】新たな材質・構造の2種類の3.3Frカテーテル(3.3Fr-A,3.3Fr-B),従来の脳血管撮影用3.3Frカテーテル(3.3Fr-C)および普及している脳血管撮影用4Frカテーテル(4Fr)を用いて,トルク伝達性,推進性,折れ曲り耐性につき実験を行った.【結果】改良型の3.3Fr-Aはトルク伝達性ではやや劣るものの,4Frと同等の推進性とより強い折れ曲がり耐性を持ち,3.3Fr-Bは推進性ではやや劣るものの,4Frと同等の折れ曲がり耐性とより強いトルク伝達性を持つことが示された.3.3Fr-Cはすべての試験で4Frに劣っていた.【結論】新たに開発された2種類の3.3Frカテーテルは,4Frカテーテルに迫る操作性が期待できる.
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症例報告
  • 泉 孝嗣, 宮地 茂, 松原 功明, 内藤 丈裕, 原口 健一, 若林 俊彦
    2012 年 5 巻 3 号 p. 173-176
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】内頚動脈瘤に対する母血管閉塞中にコイル近位端の直線化現象を呈した症例を報告する.【症例呈示】症例は69歳,女性.左内頚動脈海綿静脈洞部に最大径15mmの未破裂脳動脈瘤を認め,endovascular trappingを施行することとした.瘤遠位側の母血管閉塞施行中,3本目のコイルとして内頚動脈径より1mm大きい5mm径,10cm長のコイルを用いたところ,残り3cmの時点でコイル硬度が急激に上昇し,硬い針金のようになった.直線化した部分はカテーテルを引き戻してそのまま動脈瘤内に留置した.その後は瘤内にコイルを追加留置した後,瘤近位側を血管径以下のコイルを用いて閉塞することで,endovascular trappingが完了した.【結論】規定の形状より小さなスペースに伸長防止(SR)機構のついた長いコイルを挿入していく場合には,SR線の相対的な短縮により,コイル近位端に直線化現象が生じ得ることが実験的に証明されている.本例においては母血管径より大きなコイルを畳み込むように入れることでこの現象が生じたものと考えられた.
  • 菅原 丈志, 西川 重幸, 長谷川 秀, 中島 康也, 松元 淳, 工藤 真励奈, 和田 邦泰, 原 靖幸, 伊藤 加奈子, 東 美菜子, ...
    2012 年 5 巻 3 号 p. 177-182
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】後下小脳動脈に限局した解離性動脈瘤破裂に対するコイル塞栓術を施行し,良好な経過をたどった一例を経験したので報告する.【症例】突然の頭痛発症と意識消失を主訴に救急搬送された61歳女性.頭部CTでFisher分類グレード3,Hunt and Hess分類グレード4のくも膜下出血と診断され,血管造影にて左後下小脳動脈のlateral medullary segmentに限局した解離性動脈瘤を認めた.親動脈を含むコイル塞栓術を施行し,術後軽度の左外転神経麻痺以外に合併症なく転院となった.【結論】後下小脳動脈に限局した解離性動脈瘤破裂に対するコイル塞栓術は有用であり,症例によっては手術に代わる方法と考えられた.
  • 大島 幸亮, 寺田 友昭, 檜山 孝美, 大久保 信治, 池田 律子, 工藤 忠, 小林 博雄
    2012 年 5 巻 3 号 p. 183-187
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】内頚動脈狭窄に対し,Carotid Wallstent留置後,短期間で著しいステント短縮と総頚動脈への滑落を認め,追加治療を行った症例を報告する.【症例】72歳,男性.NASCET 74%の無症候性右頚部内頚動脈狭窄症に対して,Carotid Wallstentを用いて頚動脈ステント留置術を施行.しかし,狭窄遠位の屈曲で,フィルターが遠位まで入らず,企図した位置より近位でのステント留置となった.術後3日目に著しいステント短縮と総頚動脈へのステント滑落を認め,前回のステント遠位にPreciseを重ねて追加留置した.【結論】内頚動脈,総頚動脈の径にギャップのある場合や,屈曲を伴い十分末梢までステントを留置しにくい症例にCarotid Wallstentを留置する場合,留置時の配慮が必要である.
  • 石原 秀章, 石原 正一郎, 加藤 裕, 山田 日出雄
    2012 年 5 巻 3 号 p. 188-194
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)において,治療後のステント内血栓症は非常に重篤で,時に致命的となりうる合併症である.今回我々は治療後短期間にステント内血栓症を繰り返し,その治療に難渋した症例を経験したので報告する.【症例】68歳の男性,両側頚動脈狭窄症に対して両側ともCASによる治療を行うこととした.右側病変に対するCASは問題なく終了したため,2ヵ月間の間隔をおいて左内頚動脈病変に対するCASを施行したが,術後第5,第10,第14病日にステント内血栓症によるステント内閉塞を合併した.ステント内血栓症は可能な限りの薬物治療や新たなステントの追加留置にも関わらず繰り返され,第17病日に脳内出血を来し重篤な状態に陥った.【結論】CAS後に繰り返すステント内血栓症に対して長期間の強力な抗血栓療法を行うことは頭蓋内出血の危険を増加させることも念頭に置き,頚動脈血栓内膜剥離術による外科的摘出を含めた治療方針の検討が必要である.
  • 森谷 匡雄, 糸川 博, 藤本 道生, 菊地 奈穂子, 富田 禎之, 柴田 憲男, 阿波根 朝光
    2012 年 5 巻 3 号 p. 195-201
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】FilterWire EZ(FWEZ)を用いた頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)中にno flowとなり,脳梗塞を来した1例を報告する.【症例】78歳,男性.右大脳半球に陳旧性脳梗塞を伴う進行性右内頚動脈狭窄に対してCASを施行した後,無症候性ながら進行する左内頚動脈狭窄に対してCASを追加した.FWEZを用いたdistal protectionを行い,ステント留置後に後拡張を行ったところno flowを来した.直後より,意識レベルの低下,失語,右片麻痺を呈し,術後のMRIでは左大脳半球に散在する脳梗塞を認めた.【結論】FWEZは効果的な遠位塞栓予防デバイスであり,従来のフィルタータイプのデバイスより優れていることが報告されているが,本デバイスを用いた場合にも本例のようにno flowを来し,症候性脳梗塞が起こり得ることを認識する必要がある.
テクニカルノート
  • 田中 鉄兵, 定藤 章代, 早川 基治, 大村 眞弘, 前田 晋吾, 安達 一英, 渡部 剛也, 平松 久弥, 井水 秀栄, 根来 眞, 廣 ...
    2012 年 5 巻 3 号 p. 202-207
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】遺残三叉神経動脈(persistent trigeminal artery;PTA)に合併した未破裂脳動脈瘤に対し,tandem balloonによるballoon test occlusion(BTO)で親動脈閉塞に対する耐性を評価した上で,血管内治療を施行した一例を経験したのでその有用性を報告する.【症例】37歳,女性.複視,左眼瞼下垂を主訴に当院受診.血管造影上左PTAと内頚動脈の分岐部に大径の未破裂脳動脈瘤を認めた.脳動脈瘤のtrappingに伴う耐性を評価するには,PTAを介する逆行性血流も遮断する必要性があり,動脈瘤の遠位と近位にそれぞれballoonをtandemに用いてBTOを施行した.治療は浅側頭動脈中大脳動脈吻合術を行った上で,動脈瘤および母血管閉塞術を合併症なく施行した.【結論】本症例はPTAの遺残に伴い複雑な血行動態を呈していたが,tandem BTOで側副血行を評価することが可能であり,本法の有用性が示唆された.
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