Journal of Neuroendovascular Therapy
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6 巻, 1 号
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原著
  • 竹本 光一郎, 石井 暁, 菊池 隆幸, 後藤 正憲, 宗光 俊博, 安藤 充重, 山尾 幸広, 宮本 享
    2012 年 6 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    背景】2010年1月よりEnterprise VRD(Johnson & Johnson Codman, Miami, FL, USA)が薬事承認,7月より健康保険償還治療となったことから,これまで治療困難であったワイドネック瘤に対する瘤内塞栓術が試みられるようになった.当院での初期治療成績について報告する.【対象】2010年7月から2011年12月までに当院にてワイドネック瘤31例33病変に対しEnterprise VRDを用いたstent assisted coilingを行った.全例,未破裂瘤であり,コイル塞栓術後の再発がうち6例であった.動脈瘤の局在は内頚動脈 15例,中大脳動脈 2例,前交通動脈 3例,脳底動脈 12例,後大脳動脈 1例であった.動脈瘤の最大径は平均11.6mm(7-25mm),ネック径は平均6.5 mm(4-13.8mm)であった.全例アスピリン100mg+クロピドグレル75mgのdual antiplatelet therapyを術前7日前より開始した.【結果】ステント留置の手技成功率は100%であった.5例(15.2%)でProwler Select Plus(Johnson & Johnson Codman, Miami, FL, USA)の直接誘導が困難であり,カテーテル交換を必要とした.1例でステント留置時のカテーテル滑落により再誘導を要した.全例塞栓術が施行でき,治療直後に完全閉塞がえられたのは25例(75.8%)であった.全例でjailing techniqueで塞栓開始したが,8例(24.2%)で塞栓途中にtrans-cell techniqueへ切り替えた.術中の有害事象としては母血管の血栓性閉塞を2例,くも膜下出血を1例経験したが,いずれも無症候性に留まった.術後12時間後に1例で穿刺部血腫を契機とした低血圧を起因とした穿通枝梗塞を経験し,morbidity & mortality rateはそれぞれ3.0%と0%であった.フォローアップ期間の有症候性合併症は認めていない.フォローアップの血管撮影は術後1年目で10例に施行でき1例で無症候性のステント閉塞を認めた.【結論】Enterprise VRDを用いたstent assisted embolizationの初期成績は良好であった.Enterprise VRD導入により,治療困難であったワイドネック瘤が,より安全に治療可能となった.
  • 早川 幹人, 滝川 知司, 神谷 雄己, 鶴田 和太郎, 松丸 祐司
    2012 年 6 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】経橈骨動脈アプローチ(transradial approach)による頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting; CAS)(TR-CAS)の有効性・安全性を明らかにする.【対象・方法】2005年4月~2011年9月のCAS 157例180病変のうちTR-CAS連続6例を対象に,手技成功率/合併症/問題点を後方視的に検討した.TR-CASは4Frシースを右橈骨動脈に留置し攣縮予防薬を動注,6Frガイディングシース(guiding sheath;GS)に交換,患側総頚動脈に誘導し施行した.【結果】TR-CAS選択の要因は,bovine arch(BA)が2例,大動脈/両側大腿動脈病変が4例であった.GS留置はBA例では容易であったが他4例は硬いガイドワイヤーを要した.5例(83%)で手技成功したが,1例で経大腿動脈アプローチへの変更を必要とした.本例は術中脳梗塞を生じ,一時的な症状悪化を来したがその後回復した.周術期合併症はこの1例であった.穿刺部合併症はなかった.【結論】経大腿動脈アプローチ困難例ではTR-CASが代替となり得る.
症例報告
  • Hisaya HIRAMATSU, Yasushi SUGIURA, Shuhei YAMASHITA, Mika KAMIYA, Hiro ...
    2012 年 6 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    Objective: We report a case of hearing disturbance occurring as a rare complication of transvenous embolization of a dural arteriovenous fistula (AVF) involving the anterior condylar confluence (ACC).
    Case presentation: A 61-year-old man presented with hearing disturbance after transvenous embolization of a dural AVF involving the ACC. The manifestations of the dural AVF were left ocular symptoms such as conjunctival injection, chemosis, and diplopia. An angiogram located the fistula in the left ACC. And the ACC dural AVF was supplied mainly by the left ascending pharyngeal artery and drained from the ACC into the left inferior petrosal sinus, cavernous sinus, and superior ophthalmic vein retrogradely. It had no other drainage pathway angiographically. We attempted but failed to advance a microcatheter into the fistula at the ACC by the transvenous approach. Therefore we inserted the microcatheter into the left inferior petrosal sinus (IPS) and occluded the left IPS (the only available drainage route from the ACC) with platinum detachable coils. The final angiogram revealed almost no AVF remained. Soon thereafter left ocular symptoms improved, however, a left neurosensory hearing disturbance appeared 3 days later. The hearing disturbance was treated with steroid therapy and systemic heparinization immediately but was unresponsive to this treatment.
    Conclusion: The hearing disturbance may be due to venous circulatory failure of the inner ear after occlusion of the IPS. The fistula, and not the IPS, should be occluded in the treatment of ACC dural AVF to avoid hearing complications.
  • 淺野 剛, 飛騨 一利, 長内 俊也, 青山 剛, 宝金 清博
    2012 年 6 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】多発頚髄硬膜動静脈瘻を伴った頚部巨大傍椎体動静脈シャントに対し,塞栓術を行い良好な症状コントロールを得た症例を経験したので報告する.【症例呈示】47歳男性,進行性の脊髄症状にて発症.左頚椎前方の巨大傍椎体動静脈シャント,左後頚肩部のsoft tissue arteriovenous malformation(AVM)を認めspinal arteriovenous metameric syndrome(SAMS)と考えられた.傍椎体動静脈シャントに対し経動脈および経静脈的塞栓術を行ったが症状は改善せず,経過中に二次性の頭蓋頚椎移行部からC2レベルの多発硬膜動静脈瘻の存在が明らかとなり,これが脊髄症状の主因と考えられた.多発硬膜動静脈瘻に対する経動脈的塞栓術の結果,症状改善が得られた.【結論】SAMSに代表される複雑かつ高流量の脊髄・脊椎動静脈シャントの治療においては,主訴に対する責任病変を正確に認識し,その形態を十分に評価した上で計画的に治療を行うことが重要である.
  • 池田 典生, 阿美古 将, 坂倉 孝紀, 中野 茂樹, 西崎 隆文
    2012 年 6 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】頚部内頚動脈の線維筋性形成異常症(FMD)に起因した左中大脳動脈塞栓症の1例を報告する.【症例】47歳,女性.失語症,右片麻痺を発症し,MRI拡散強調画像で左前頭葉・島皮質に高信号域を認め,頚部MRAで左頚部内頚動脈の壁不整,頭部MRAで左中大脳動脈閉塞を認めた.rt-PA静注療法は適応外で,脳血管内手術による血行再建を計画し,左総頚動脈撮影にてFMDと診断した.閉塞部位が左M1遠位からM2に及んでおり血栓回収療法は行わずバルーンによる機械的血栓破砕療法を行い再開通を認め,良好な転帰が得られた.【結論】左中大脳動脈急性閉塞はFMDからの動脈原性塞栓が示唆され,バルーンによる機械的血栓破砕療法を行った稀な1例であった.
  • 菅原 丈志, 中島 康也, 長谷川 秀, 原 靖幸, 和田 邦泰, 田原 仁, 西川 重幸, 松本 淳, 工藤 真励奈, 伊藤 加奈子, 東 ...
    2012 年 6 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】右内頚動脈狭窄に対しproximal およびdistal protection併用下に頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)を施行し,右網膜中心動脈閉塞を発症した1例を報告する.【症例】74歳男性.意識消失発作を主訴に来院し,明らかな梗塞は見られなかったが,第2頚椎下縁よりも高位におよぶ右内頚動脈狭窄と脳血流負荷シンチにて右大脳半球の脳血流予備能低下を認めたため,同部に対しCASを施行した.総頚動脈に留置したバルーン付きガイディングカテーテルを用いたflow reversal法と内頚動脈遠位部に留置したFilterWire EZを併用し,CASを問題なく施行できたが,CAS直後より右視力低下を訴え,翌日の眼底検査にて右網膜中心動脈閉塞を認め,その後も改善は見られなかった.【結論】CASに伴う網膜中心動脈閉塞は稀だが,入念なプロテクションを行っても起こり得る重篤な合併症として常に認識しておくべきと考えられた.
  • 竹上 徹郎, 今井 啓輔, 梅澤 邦彦, 木村 聡志, 荻田 庄吾, 濱中 正嗣, 池田 栄人
    2012 年 6 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻に対して,fistulous pointに対するコイルを用いたselective transarterial embolizationが有効であった1例を経験したので報告する.【症例】30歳女性,眼球突出と眼球結膜充血を主訴に受診した.脳血管造影にて左海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻を認め,左accessory meningeal arteryが主な流入血管で,海綿静脈洞下壁外側に限局したシャント部位を形成していた.経動脈アプローチにてfistulous pointまでマイクロカテーテルを誘導して造影し,シャント部位がこの部分に限局していることを確認した後に,コイルを用いたselective embolizationを行い,シャントは消失した.新たな神経症状などは出現しなかった.【結論】海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻においてシャント部位が限局しており,同部位までマイクロカテーテルを誘導できれば,本法は有効な治療法の一つであると考えられた.
テクニカルノート
  • 見崎 孝一, 内山 尚之, 毛利 正直, 福井 一生, 南部 育, 林 裕, 濱田 潤一郎
    2012 年 6 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】左総頚動脈(CCA)狭窄症に対するステント留置術の際にガイディングシースの保持を右上腕動脈経由のGooseNeck Snareで行った症例を報告する.【症例】70歳,男性.一過性の右片麻痺で発見された症候性左CCA狭窄症に対してステント留置術を行った.狭窄病変とCCA起始部の距離が短いためガイディングシースを十分遠位まで挿入できなかった.そのため右上腕動脈経由のGooseNeck Snareでガイディングシースを保持してステント留置術を施行し得た.【結論】上腕動脈経由のGooseNeck Snareによる左CCAのガイディングシースの保持は有用であった.
  • 小嶋 篤浩, 小野塚 聡, 石川 眞実, 秋山 武和, 木村 浩晃
    2012 年 6 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】EDコイルアンフィニ®は,コイル2次径が大きく柔軟性が高い.今回我々は,EDコイルアンフィニ®を用いて塞栓術を施行した内頚動脈海綿静脈洞瘻の2症例を報告する.【症例1】83歳女性,右耳鳴にて発症した.EDコイルアンフィニ®を用いて経静脈的塞栓術を施行したところ,瘻孔部にコイルが充填され,シャント血流は消失した.【症例2】72歳女性,右耳鳴にて発症した.経動脈的および経静脈的に塞栓術を施行した.EDコイルアンフィニ®を主体に用いて海綿静脈洞を塞栓したところ,シャント血流は著明に減少した.【結論】内頚動脈海綿静脈洞瘻に対する塞栓術においてEDコイルアンフィニ®は有用であった.
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