【目的】アルギン酸カルシウム含有の止血パッドを使用した脳血管内治療時の穿刺部止血効果について検討した.
【対象と方法】アルギン酸カルシウムを含有した止血パッド(トライセル
TM(アライアンス・メディカル・グループ株式会社,東京))をシース抜去部の止血に使用した12例に関して,穿刺部の止血時間をシース径,抗血小板薬・抗凝固薬使用の有無,シース抜去直前のactivated clotting time(ACT)の項目別に比較検討した.
【結果】年齢は63~83歳(平均68.8歳).男性4例,女性8例.シースサイズは,9Fr が3例,8Fr が1例,7Fr が4例,6Fr が3例,5Fr が1例,穿刺部位は全例で大腿動脈であった.対象疾患は,脳動脈瘤が7例,頚動脈狭窄症が2例,急性期脳梗塞が2例,脳腫瘍が1例であった.止血時間は4分50秒から43分であった.抗血小板薬・抗凝固薬投与は,投与なしが6例,1剤内服が1例,2剤内服が2例,3剤内服が2例,tPA使用例が1例であった.シース抜去直前のACTは,107~286秒であった.トライセル
TMを用いた穿刺部の止血時間は,シース径は8Fr まで,術前からの抗血小板薬,抗凝固薬は2剤使用まで,シース抜去直前のACTは250秒以内であれば10分以内であった.痛みを伴う皮下血腫の形成はなかった.
【結論】アルギン酸カルシウム含有の止血パッドを使用した脳血管内治療後の穿刺部止血効果は良好であった.
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