Journal of Neuroendovascular Therapy
Online ISSN : 2186-2494
Print ISSN : 1882-4072
ISSN-L : 1882-4072
7 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
症例報告
  • 豊嶋 敦彦, 杉生 憲志, 徳永 浩司, 清水 智久, 春間 純, 平松 匡文, 伊丹 尚多, 菱川 朋人, 伊達 勲
    2013 年 7 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【緒言】脳動脈瘤塞栓術において,血管分岐が急峻でバルーンカテーテルの挿入が困難な場合,他のカテーテルを先行させバルーンカテーテルを追随させる“sheep technique”が知られている.【症例1】70歳,男性.未破裂中大脳動脈瘤で,右M2の分岐が急峻でバルーンカテーテル挿入が困難であり,sheep techniqueを用いてバルーン併用塞栓術を行い完全閉塞を得た.【症例2】71歳男性.破裂左内頚動脈分岐部瘤で,同様にsheep techniqueを用いてACAにバルーンカテーテルを誘導し良好な塞栓を得た.【結論】脳動脈瘤塞栓術において“sheep technique”が有用であった2例を報告した.
  • 片山 重則, 木戸口 慶司, 武田 直也
    2013 年 7 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】眼動脈塞栓術を先行させ,後日high flow bypassを併用して内頚動脈の近位閉塞を行った傍前床突起部未破裂大型動脈瘤の1例を報告する.【症例】72歳,女性.CT血管撮影で海綿静脈洞に進展する大型の前床突起部動脈瘤が認められた.まず眼動脈の一時遮断試験を行った後に,眼動脈起始部を離脱式コイルで閉塞した.4日後に,バイパス設置後内頚動脈を頚部で結紮した.術中および術後の血管撮影では動脈瘤は描出されず,術後経過は良好であった.【結論】眼動脈塞栓術を先行させることにより内頚動脈の近位閉塞が可能であった.頭蓋内内頚動脈および視神経の操作を必要しないために視機能障害を回避でき,この部の動脈瘤に対する一治療法となりうると考えられた.
  • 山本 宗孝, 吉田 賢作, 野中 宣秀, 大石 英則, 新井 一
    2013 年 7 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻に対するコイルを使用した経動脈的塞栓術後に発症した,後部虚血性視神経症の一例を経験したので報告する.【症例】74歳,女性.左眼窩部痛と複視の精査で左海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻と診断され,経動脈的塞栓術を施行した.術後,左眼窩部痛の軽減が得られたが,左眼上方の視野欠損が確認された.術後第13病日に左眼の視力消失を来し,失明と診断された.眼圧亢進なく,眼底所見は正常であった.眼窩MRI拡散強調画像にて,左視神経に限局性の高輝度病変が確認され,虚血性視神経症との診断に至った.【結論】コイルのみで行った経動脈的塞栓術によって,重篤な脳神経障害を来した一例を経験した.
  • 藤本 道生, 糸川 博, 森谷 匡雄, 岡本 紀善, 富田 禎之, 菊地 奈穂子, 柴田 憲男, 阿波根 朝光
    2013 年 7 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】特発性頚部内頚動脈血管攣縮に対して頚動脈ステント留置術による治療を行ったので報告する.【症例】〈症例1〉47歳,女性.構音障害を主訴に来院した.3DCTAで一過性の頚部内頚動脈狭窄が認められ,抗血小板療法を開始したが,その後も虚血症状を繰り返した.経過および画像所見から頚部内頚動脈血管攣縮と診断し,頚動脈ステント留置術を行った.〈症例2〉46歳,女性.失語,右麻痺を主訴に来院した.数年前より一過性の頚動脈狭窄による虚血症状を繰り返すため,頚部内頚動脈血管攣縮と診断し,頚動脈ステント留置術を行った.【結論】再発性の特発性頚部内頚動脈血管攣縮に対して,頚動脈ステント留置術は有用な治療法と考えられた.
  • 秋山 武紀, 柴尾 俊輔, 冨尾 亮介, 小野塚 聡, 莇生田 整冶, 吉田 一成
    2013 年 7 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】繰り返す口腔内出血を生じる上顎動静脈奇形に対し,n-butyl 2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた直接穿刺による塞栓術が有効であった1例を経験したので報告する.【症例】47歳,女性.視交叉近傍および上顎の複数の動静脈奇形をフォローされていた.口蓋表面に動静脈奇形の一部と思われる血管が露出,繰り返し口腔内出血が起き,圧迫止血が困難になってきたため,治療を行った.経動脈的な治療では効果不十分と判断され,出血点となっている部位にNBCAを直接穿刺によって注入した.塞栓により出血点は完全に閉塞し,以後再出血を生じなかった.【結論】経動脈的にアプローチ困難な上顎の動静脈奇形で口蓋側に突出している病変に対しては,直接穿刺の治療効果は十分である.
  • 吉原 智之, 山根 文孝, 金澤 隆三郎, 神山 信也, 落合 育雄, 上宮 奈穂子, 石原 正一郎
    2013 年 7 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術後に特発性食道粘膜下血腫を発症した一例を報告する.【症例】70歳,女性.左内頚動脈にwide neckで径7mmの未破裂脳動脈瘤を認めた.balloon remodeling techniqueによりコイル塞栓術を行った.術後に心窩部痛・背部痛を訴え,特発性食道粘膜下血腫を発症した.保存的加療により良好な経過をたどった.【結論】特発性食道粘膜下血腫はまれな疾患である.本症例では術前の抗血小板療法に加え,術中の抗凝固療法の強化・抜管後の繰り返す嘔吐が誘因と考えられた.脳血管内治療において出血性合併症を起こさない適切な抗血栓療法が重要であると考える.
テクニカルノート
  • 加藤 依子, 伊藤 靖, 北澤 圭子, 森田 健一, 反町 隆俊, 藤井 幸彦, 川原 信隆
    2013 年 7 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】今回我々が新たに開発した6FrセルリアンカテーテルDD6の有用性について報告する.【方法】未破裂前交通動脈瘤に対するコイル塞栓術,および破裂左中大脳動脈瘤のコイル塞栓術において,8Frガイディングカテーテルのintermediate catheterとして6FrセルリアンカテーテルDD6を使用した.【結果】親血管のアクセス困難を解決し,ガイディングカテーテルのサポートを向上させると同時に,balloonあるいはstent assist techniqueを併用したコイル塞栓術が可能であった.【結論】4Frセルリアンカテーテルを用いたtriple coaxial systemではsimple techniqueによる塞栓術のみが可能であるが,新たに開発した6FrセルリアンカテーテルDD6を用いたtriple coaxial systemであればバルーン併用あるいはEnterprise VRD併用によるコイル塞栓術が可能である.
  • 金中 直輔, 佐藤 博明, 阿部 肇, 根城 尭英, 福井 敦, 寺西 裕, 鳥橋 考一, 宮腰 明典, 楚良 繁雄, 河野 道宏
    2013 年 7 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】脳動脈瘤のコイル塞栓術を安全かつ正確に行うためにbiplane flat panel detectorを用いることの有効性および高拡大透視下での治療の安全性を検討した.【方法】治療した未破裂脳動脈瘤2症例と破裂脳動脈瘤1症例において具体的に透視画像にて供覧した.【結果】高拡大透視を用いることでマイクロカテーテルの視認性が高く,2方向同時透視下でのコイル塞栓術はコイルの瘤外逸脱の早期発見となった.また一方のパネルを弱拡大としマイクロカテーテルにかかるtensionとガイディングカテーテルのキックバックの有無を把握することは重要であった.【結論】biplane flat panel detectorを用いた多角的および高拡大透視はコイル塞栓術を安全に行う一助となった.
feedback
Top