【目的】塞栓性合併症の低減を目的とし,ステント留置後に後拡張を省略する頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)後の病変の経時的変化を,ステント形状の変化を指標に経時的に追跡し,本法における有効性と問題点に関し検討を行った.
【対象と方法】2012年4月より2013年3月までの1年間に,当院で頚動脈狭窄症に対してCASが施行された連続11患者11血管のうちの10血管を対象とした.CASは,前拡張からステント留置までは型通り行うが,後拡張は省略した.全例にdistal protectionを行い,Carotid Wallstent(Wallstent)を留置した.フォローアップは,単純レントゲンによるステントの経時的形状変化を追跡した.
【結果】全ての症例でWallstentの自己拡張力によってWallstentが留置直後よりも拡張している所見が確認された.ステント最狭窄部と近位端の径の比は,平均で44%から57%に増加した.
【結語】Wallstentを用いたCASで後拡張を省略することにより,ステントの圧着は弱くなるが,最狭窄部はWallstent の自己拡張により経時的に拡張することが示された.
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