Journal of Neuroendovascular Therapy
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7 巻, 4 号
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原著
  • 三木 俊一郎, 加藤 徳之, 山崎 友郷, 池田 剛, 粕谷 泰道, 園部 眞, 中居 康展, 松村 明
    2013 年 7 巻 4 号 p. 237-242
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】塞栓性合併症の低減を目的とし,ステント留置後に後拡張を省略する頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)後の病変の経時的変化を,ステント形状の変化を指標に経時的に追跡し,本法における有効性と問題点に関し検討を行った.【対象と方法】2012年4月より2013年3月までの1年間に,当院で頚動脈狭窄症に対してCASが施行された連続11患者11血管のうちの10血管を対象とした.CASは,前拡張からステント留置までは型通り行うが,後拡張は省略した.全例にdistal protectionを行い,Carotid Wallstent(Wallstent)を留置した.フォローアップは,単純レントゲンによるステントの経時的形状変化を追跡した.【結果】全ての症例でWallstentの自己拡張力によってWallstentが留置直後よりも拡張している所見が確認された.ステント最狭窄部と近位端の径の比は,平均で44%から57%に増加した.【結語】Wallstentを用いたCASで後拡張を省略することにより,ステントの圧着は弱くなるが,最狭窄部はWallstent の自己拡張により経時的に拡張することが示された.
  • ―人体ファントムを用いた下腹部被曝量測定からの考察―
    田中 鉄兵, 定藤 章代, 早川 基治, 安達 一英, 石原 興平, 大枝 基樹, 山城 慧, 立山 慎一郎, 伊藤 勝祥, 稲桝 丈司, ...
    2013 年 7 巻 4 号 p. 243-251
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】妊婦に対する脳血管内治療には,放射線被曝や造影剤,抗血栓療法など,さまざまな問題が存在する.今回,人体ファントム(ランドファントム®)を用いて下腹部被曝線量を測定し,胎児に与えうる放射線被曝の影響につき検討したので,自験例2例とともに報告する.【方法】ランドファントム®と熱蛍光線量計素子を用いて,頭部血管造影(右上腕穿刺)・脳血管内治療に準じた透視・撮影を行い,生殖腺に相当する部位における被曝線量を計測した.【結果】頭部(外後頭隆起周辺)で最大約800 mGy程度の被曝線量に対し,生殖腺相当部位の下腹部における被曝線量は平均0.05 mGy程度であり,妊娠中であっても胎児に与える影響は極めて低いことが予想される結果であった.【結論】妊婦に対する脳血管内治療に対して胎児に生じる被曝の影響は極めて低いと考えられた.妊娠中の脳血管内治療には,被曝以外にもさまざまな問題はあるものの,諸注意点に留意すれば安全かつ有効に治療を行うことが可能と考えられる.
症例報告
  • 鈴木 一郎, 松本 康史, 菊池 登志雄, 近藤 竜史, 矢澤 由加子, 板橋 亮, 古井 英介, 清水 宏明, 藤原 悟, 高橋 明, 冨 ...
    2013 年 7 巻 4 号 p. 252-258
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】急性期ステント留置を施行した虚血発症特発性頚部内頚動脈解離の1例を報告する.【症例】48歳,男性.右片麻痺,失語,右半側空間無視で発症した.MRI拡散強調画像で左前頭葉皮質の一部,島等に高信号域,灌流画像との対比で左中大脳動脈領域に広範なmismatchが存在し,DSAで著明な血流遅延を伴う左頚部内頚動脈解離による高度狭窄の所見が認められた.発症から5時間でCarotid Wallstent 2本を用いた血行再建術を行い,血流遅延は消失し症状は速やかに改善した.【結論】比較的稀な特発性頚部内頚動脈解離に対してステント留置術を用いた急性期血管内治療が有用であった1例を報告した.
  • 佐藤 公俊, 鈴木 祥生, 倉田 彰, 阿部 克智, 岡 秀宏, 藤井 清孝
    2013 年 7 巻 4 号 p. 259-265
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)後の過灌流状態において,くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage;SAH)を来した1例を報告する.【症例】71歳,男性.症候性の左内頚動脈狭窄(NASCET 95%)に対してCASを施行した.ステント留置後の最小血管径は31 mmで,残存狭窄(NASCET 45%)を認めたが,術後過灌流が懸念された症例であることから,後拡張は行わなかった.治療6時間後に,病変側の局所酸素飽和度の上昇と,頭痛,嘔吐を認めた.その後の頭部単純CTで,左前頭葉および頭頂葉の脳溝に沿って高吸収域を認めた.Single-photon emission computed tomographyで,左前大脳動脈および中大脳動脈領域の血流増加を認めた.治療72時間後の頭部MRI FLAIR画像で,CTと同部位に高信号域を認め,SAHと診断した.CAS 9日後にステント閉塞による脳梗塞を来した.【結論】CAS後にSAHを発症する頻度や機序を明らかにし,その診断・治療方法さらにその予防方法を確立するためにも,今後の症例の蓄積が必要である.
  • 原 健司, 川本 行彦, 迫田 英一郎, 村上 太郎, 岡村 朗健, 岐浦 禎展, 坂本 繁幸, 栗栖 薫
    2013 年 7 巻 4 号 p. 266-274
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage;SAH)で発症した脳底動脈分岐部破裂脳動脈瘤に対し,Yステントテクニックで瘤内コイル塞栓術を行った2例を報告する.【症例】症例はいずれも突然の意識障害で発症したSAH(Hunt & Kosnik grade 5)で,脳底動脈分岐部にwide-neck破裂脳動脈瘤が確認された.保存的加療でgradeの改善が得られ,血管内手術を施行.手技は片側後大脳動脈から脳底動脈にステントを留置した後,ステントのcellを通して対側後大脳動脈から脳底動脈に2本目のステントを留置してY字形状とし,母血管温存下にコイル塞栓を行った.2例とも瘤内塞栓が可能で,術後明らかな虚血性合併症はみられず,リハビリテーション病院へ転院した.【結論】Yステントテクニックはwide-neck分岐部動脈瘤に対する治療法として有用であった.
  • 岡村 朗健, 川本 行彦, 迫田 英一郎, 村上 太郎, 原 健司, 坂本 繁幸, 岐浦 禎展, 栗栖 薫
    2013 年 7 巻 4 号 p. 275-280
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】未破裂で発見された頭蓋内椎骨動脈の窓形成に伴う脳動脈瘤に対して,破裂予防を目的としたコイル塞栓術を行った症例を経験したので報告する.【症例】症例は70歳女性.近医脳神経外科で偶然に左椎骨動脈V4の未破裂脳動脈瘤を指摘された.3年間フォローアップされたが,増大傾向であったために当科に紹介された.3D-DSAでは椎骨動脈にfenestrationを認め,その近位端に動脈瘤のネックが位置していた.椎骨動脈窓形成部脳動脈瘤と診断した.これに対してバルーンアシスト下にコイル塞栓術を行った(volume embolization ratio 23.8%).【結語】椎骨動脈の窓形成を伴う脳動脈瘤は,原因となる窓形成部の同定が困難で,高空間分解能のモダリティーが必要である.また,自然歴が不明で,治療を慎重に検討すべきである.
  • 溝上 達也, 木矢 克造, 籬 拓郎, 迫口 哲彦, 近藤 浩, 三好 浩之
    2013 年 7 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】鞍結節部に接して存在した破裂前交通動脈瘤に対してコイル塞栓術を行った1例を報告する.【症例】63歳,男性.頭部CTでくも膜下出血が認められ,同時に施行した3D-CTAで約3 mmの前交通動脈瘤が認められた.動脈瘤は小さく開頭クリッピング術を考慮したが,前交通動脈瘤は鞍結節部に存在し,頭蓋底骨により動脈瘤全体を露出するのは困難であると判断された.そのため根治術としてコイル塞栓術を選択した.【結論】鞍結節部に接する前交通動脈瘤の診断および治療選択において3D-CTAは有用であり,治療としてコイル塞栓術が適していると考えられた.
  • 片山 重則, 木戸口 慶司, 武田 直也
    2013 年 7 巻 4 号 p. 286-293
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】充実性小脳血管芽腫に対し,術前にn-butyl-cyanoacrylate(NBCA)を用いて腫瘍栄養血管塞栓術を行った2症例を報告する.【症例】術前のMRIでは,2例とも腫瘍に強い造影効果がみられ,小脳血管芽腫と考えられた.腫瘍は主に後下小脳動脈の分枝により栄養されていた.術前塞栓術は,フローガイドカテーテルを栄養血管に挿入し,希釈したNBCAを用いて可能な限りすべての栄養血管を閉塞した.塞栓術前に認められた強い腫瘍陰影は塞栓術後に消失し,後日摘出術を行った.腫瘍からの出血は少量で,合併症なく腫瘍摘出術が行われた.【結論】NBCAを用いた術前塞栓術は,腫瘍近傍での栄養血管の塞栓が可能で静脈閉塞の危険性が少なく,有用であった.
テクニカルノート
  • 竹内 昌孝, 小西 善史, 後藤 忠輝, 吉山 道貫, 富永 二郎
    2013 年 7 巻 4 号 p. 294-299
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】Penumbra System(PS)は血栓吸引型デバイスである.PSを閉塞部位より遠位から引き戻りながら吸引するpull-back methodにより再開通が得られた症例を報告する.【症例】74歳,男性.左不全片麻痺にて当院搬送された.頭部MRI,MRAにて右中大脳動脈完全閉塞による急性脳梗塞と診断した.rt-PA静注療法後,National Institute of Health Stroke Scaleの悪化を認め,血管内治療を施行した.PSを近位部から血栓回収を試みたが再開通が得られないため,血栓遠位へPSを誘導し,吸引しながら引き戻ることにより迅速な再開通が得られた.【結語】Pull-back methodは近位部から血栓回収困難例に有効な場合がある.
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