Journal of Neuroendovascular Therapy
Online ISSN : 2186-2494
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8 巻, 5 号
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原著
  • 榎本 由貴子, 吉村 紳一, 高木 俊範, 辻本 真範, 石澤 錠二, 岩間 亨
    2014 年 8 巻 5 号 p. 251-258
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨: 【目的】緊急脳血管内治療時における抗血小板薬のローディングドーズ投与後の血小板反応性の経時的変化をVerifyNow system を用いて測定し,予定治療症例と比較検討する.【方法】2011 年6 月から2013 年12 月の間にクロピドグレル300 mg とアスピリン200 mg のローディングドーズ投与を行った急性期脳主幹動脈閉塞症;acute 群13例と,クロピドグレル300 mg のローディングドーズ投与のみを行った予定治療群;elective 群10 例.投与前,投与6・24・48〜72 時間後にVerifyNow を用いてaspirin reaction unit(ARU),P2Y12 reaction unit(PRU),% inhibition を測定し,その経時的変化を検討するとともに,24 時間後の低反応性(PRU>230,% inhibition<26%,ARU>550)に関連する因子について検討した.【結果】クロピドグレルの効果はelective 群では24 時間後に十分得られていたが,acute群では48 時間後以降も不十分であった.一方,アスピリンの効果は内服6 時間後には十分発現されていた.クロピドグレル低反応性(15/23 例:65.2%)はacute 群(p=0.0018)とbody mass index(p=0.005)に関連が認められた.アスピリン低反応性はacute 群の13 例中3 例(23.1%)に認め,年齢(79±1.73 vs 68.5±14.5,p=0.049)のみ関連が認められた.【結論】ローディングドーズ投与法は早期に効果が発現される投与法であるが,急性期脳梗塞においてはクロピドグレルの効果が発現されにくい可能性が示唆された.
  • 福田 健治, 東 登志夫, 大川 将和, 岩朝 光利, 安部 洋, 野中 将, 勝田 俊郎, 井上 亨
    2014 年 8 巻 5 号 p. 259-265
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨: 【目的】髄膜腫に対する低濃度n-butyl 2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた腫瘍内血管への塞栓術の有用性を報告する.【方法】摘出術前に髄膜腫が疑われNBCA による塞栓術が行われた12 例を対象とした.12 例22 腫瘍栄養血管に対して10〜20% NBCA を用いて塞栓術を行った.NBCA による腫瘍内血管への塞栓の程度と摘出術における塞栓の効果について検討を行った.【結果】塞栓は全例で行うことができ,17 血管(77.3%)で腫瘍内血管まで塞栓できた.特に,加温された10〜12.5% NBCA が腫瘍内血管への塞栓に有用であった.7 例(58.3%)で全体もしくは硬膜付着部を中心とした腫瘍壊死,軟化を認め,摘出を行うにあたり塞栓術は特に有効であった.【結論】超低濃度NBCA を用いた塞栓術は,腫瘍内血管への到達が期待でき有用であった.効果的な塞栓術のためには,NBCA の性質,特に濃度と接着性,粘稠度との関係に対する理解が重要である.
症例報告
  • 入江 是明, 柳澤 毅, 長谷川 譲, 武石 英晃, 大橋 聡, 山本 洋平, 栃木 悟, 田中 俊英, 村山 雄一
    2014 年 8 巻 5 号 p. 266-272
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨: 【目的】脳室内出血で発症し,もやもや病に伴う脳室上衣下動脈(subependimal arteries; SEAs)の脳動脈瘤破裂と診断,n-butyl cyanoacrylate(NBCA)による塞栓術を行った症例を報告する.【症例】26 歳女性,突然の嘔気とめまいで発症,脳室内出血と診断された.CTA で右中大脳動脈起始部と右前大脳動脈起始部の描出が不明瞭で,右前脈絡叢動脈遠位部にSEA が確認でき,右側脳室内へ突出する約5 mm の動脈瘤が存在した.脳血管撮影検査より,もやもや病に伴うSEA の脳動脈瘤破裂と診断した.前脈絡叢動脈からSEA へマイクロカテーテルを超選択的に誘導し,25% NBCA で親血管塞栓した.術後の頭部MRI/MRA 検査で急性虚血性変化は認めず,神経脱落症状なく退院した.【結論】脳血管内手術はもやもや病に伴う脳動脈瘤の治療に有用であった.もやもや様血管網を有する疾患の病態を考察する貴重な症例であった.
  • 掛樋 善明, 石原 正一郎, 上宮 奈穂子, 塚越 瑛介, 新美 淳, 根木 宏明, 石原 秀章, 溝上 康治, 神山 信也, 山根 文孝
    2014 年 8 巻 5 号 p. 273-279
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨: 【目的】Angio-Seal 使用後,感染性動脈瘤を来し,外科治療を必要とした2 例を報告する.【症例】症例1 は71 歳男性.左内頚動脈狭窄に対し経皮的血管形成術施行,Angio-Seal にて止血.術後右下肢蜂窩織炎発症.第61 病日,感染性動脈瘤確認.第90 病日,人工血管バイパス術施行.症例2 は51 歳女性.クモ膜下出血にてコイル塞栓術を施行,Angio-Seal にて止血.第6 病日,右鼠径部血腫及び創部感染発症.第21 病日,感染性動脈瘤確認.第25 病日,人工血管バイパス術施行.【結論】圧迫時間を短縮できるAngio-Seal は有用なデバイスであるが,体内異物である故,感染のリスクとなる.重症化した場合,感染性動脈瘤を来し,外科治療が必要となる事もある.これを避けるためには術中術後の創部清潔環境ならびに術後安静環境の維持が重要であり,また感染リスクの高い症例では止血デバイスではなく用手圧迫止血の適応も検討すべきと考える.
テクニカルノート
Contribution by co-medical member
  • 今関 雅晴, 川﨑 康平, 長谷川 亮太, 高橋 宏之, 鈴木 宏明, 佐藤 和彦, 太田 丞二, 粟井 一夫, 小林 繁樹, 安陪 等思, ...
    2014 年 8 巻 5 号 p. 305-312
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/03
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨: 【目的】脳血管内治療における患者被曝線量の実態を多施設調査によって把握し,放射線安全管理に関する問題点を抽出することを目的とした.【対象と方法】国内の脳血管内治療施行施設を対象としたアンケートをホームページ上で募集し,参加を希望した29 施設について調査を行った.治療時間,透視時間,総面積線量,撮影コマ数の関係,脳動脈瘤塞栓術における瘤形状および撮影装置の被曝線量を検討した.さらに頭皮表面および水晶体に入射する被曝線量を,装置表示値より変換して推定した.【結果】全症例の平均治療時間,平均透視時間,平均総面積線量,平均撮影コマ数は,190.4±85.0 分,107.7±60.3 分,36.5±20.3 mGy · m2,1035.8±562.9 コマであった.未破裂瘤および破裂瘤に有意差はなく,シングルプレーンとバイプレーン装置間で治療時間に差はなかった.正側合算の平均総頭皮入射線量は3.8±2.1 Gy,バイプレーン装置におけるX 線管側の水晶体推定平均総入射線量は0.91±0.55 Gy であった.【結論】脳血管内治療においては放射線障害におけるしきい値を超える線量が照射されている症例が存在する.頭皮および水晶体被曝に特化した放射線安全管理の標準化が必要である.
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