Journal of Neuroendovascular Therapy
Online ISSN : 2186-2494
Print ISSN : 1882-4072
ISSN-L : 1882-4072
9 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 梅田 靖之, 石田 藤麿, 辻 正範, 古川 和博, 佐野 貴則, 当麻 直樹, 阪井田 博司, 霜坂 辰一, 鈴木 秀謙
    2015 年 9 巻 2 号 p. 69-77
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/31
    [早期公開] 公開日: 2015/05/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】瘤内コイル塞栓術を仮想した多孔質媒体モデルを用いた数値流体力学(computational fluid dynamics: CFD)解析をおこない,術後閉塞状態の予測に有用な血行力学的パラメータを開発する.【方法】コイル塞栓術を施行した未破裂脳動脈瘤20 例を対象とした.瘤内残存血流体積(residual flow volume,RFV)という血行力学的パラメータを考案し,術後閉塞状態の予測に有用か後方視的に検討した.【結果】術後6~12 カ月の脳血管撮影で完全閉塞は11 例,不完全閉塞は9 例であった.仮想コイル塞栓術後CFD 解析では,RFV は不完全閉塞群で有意に大きかった.RFV はreceiver operating characteristic(ROC)解析において,コイル充填率よりもROC 曲線下面積が大きく,RFV の閾値血流速度を1.0 cm/sec 以上とする設定が最も診断精度が高かった.【結語】多孔質媒体モデルを用いたCFD 解析により,術前算出可能なRFV が術後塞栓状態を予測する有用な血行力学的パラメータであることが明らかとなり,治療戦略への応用が期待できる.
症例報告
  • 秋岡 直樹, 桑山 直也, 黒田 敏
    2015 年 9 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/31
    [早期公開] 公開日: 2015/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】上矢状静脈洞(SSS)穿刺により治療した静脈洞交会部硬膜動静脈瘻の1 例を報告する.【症例】34 歳男性.血管撮影にて椎骨動脈硬膜枝から正常静脈洞交会の外側壁に存在し,びまん性のシャントが比較的集簇しているsinus pouch に流入する高流量の動静脈シャントを認め,血流はSSS 方向に向かっていた.頚静脈側からは上方に開口したsinus pouch に入れず,小開頭下にSSS を穿刺して頭側からアプローチすることで選択的経静脈的塞栓術を完遂した.【結語】本例は静脈洞直接穿刺による遠隔からのアプローチであり,通常のアプローチでは困難な経静脈的塞栓術において考慮されるべき方法と考えられる.
  • 南 浩昭, 三木 貴徳, 垣田 寛人, 松本 洋明, 富永 正吾, 山浦 生也, 吉田 泰久
    2015 年 9 巻 2 号 p. 84-89
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/31
    [早期公開] 公開日: 2015/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】外傷性動静脈瘻は自然閉塞を来すことがあり時に外傷性動脈瘤を合併する.我々は外傷性中硬膜動静脈瘻が自然閉塞後に中硬膜動脈瘤が認められた稀な1 例を経験したので報告する.【症例】36 歳男性.転落にて受傷しCTにて右側頭骨骨折,MRI では左側頭葉挫傷,MRA では右外頚動脈領域に動静脈瘻を呈した.脳血管撮影では右中硬膜動脈から流入し右中硬膜静脈,右海綿静脈洞へ流出する動静脈瘻を認めた.塞栓術を予定したが治療施行時動静脈瘻は既に消失しており,右選択的中硬膜動脈造影では動脈瘤が確認され塞栓術を施行した.【結論】外傷性動静脈瘻では合併する動脈瘤が見過ごされる可能性があり画像診断による経過観察が重要である.
  • Masashi ISHII, Morito HAYASHI, Kenichiro SATO, Junya IWAMA, Nozomi HIR ...
    2015 年 9 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/31
    [早期公開] 公開日: 2015/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    Objective: The inferior petrosal sinus (IPS) provides the best access route to the cavernous sinus in transvenous embolization (TVE) of cavernous sinus dural arteriovenous fistula (CS-dAVF). However, some cases require other access routes. We describe a case of CS-dAVF successfully treated with TVE via the superficial temporal vein (STV) from the common femoral vein.
    Case presentation: The patient was an 82-year-old woman with conjunctival hyperemia and exophthalmos of the left eye due to a left CS-dAVF. A cerebral angiogram showed that the IPS had occluded and the superior ophthalmic vein, middle temporal vein (MTV), and STV had dilated as the main drainer. We had planned to reach the CS via the IPS but were forced to abandon that route because it was not possible to guide the microcatheter into the CS. We therefore attempted to use the STV for access. On the first attempt, we had difficulty in inserting the microcatheter through the tortuous section between the MTV and STV. We were able to achieve passage with manual progress by epidermal compression. Finally, we successfully guided the microcatheter to the shunted pouch and targeted embolization was performed.
    Conclusion: Accessing the CS via the STV can be an option when TVE via the IPS is not possible in a patient with CS-dAVF.
  • 川崎 敏生, 早瀬 睦, 宮腰 明典, 多喜 純也, 中村 威彦, 波多野 武人
    2015 年 9 巻 2 号 p. 96-102
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/31
    [早期公開] 公開日: 2015/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後に造影剤脳症と考えられる2 症例を経験したので報告する.【症例】症例1 は75 歳男性.右前大脳動脈に未破裂動脈瘤を認め,コイル塞栓術を施行直後から左上下肢不全麻痺を認めた.症例2は65 歳女性.未破裂左内頚動脈後交通動脈に対するコイル塞栓術直後から右上下肢不全麻痺と失語を認めた.2 症例共にCT にて患側大脳半球に高吸収域を認めたが,速やかに消失した.MRI では症状を呈するような虚血性病変は認められなかった.全身性痙攣も併発したが,完全に症状は消失し退院となった.【結論】造影剤脳症による合併症は稀ではあるが,血管内治療後の神経症状の原因として注意すべき病態である.
  • 吉田 賢作, 大石 英則, 山本 宗孝, 寺西 功輔, 原田 佳尚
    2015 年 9 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/31
    [早期公開] 公開日: 2015/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】出血性解離性椎骨動脈瘤(hemorrhagic vertebral artery dissecting aneurysm; hVADA)に対して,冠動脈用ステントを留置し再出血を回避し得た1例を経験した.本症例につき文献的考察を交え報告する.【症例】39 歳男性,頭痛後の意識障害で発症,くも膜下出血を認めた.頭部CT angiography で頭蓋内右椎骨動脈の動脈瘤様の拡張を認め,血管造影所見では右椎骨動脈解離の所見を認めた.側副血行路が乏しく右椎骨動脈温存が必要な状況であった.そこで,冠動脈用ステントを用いて解離部を覆うように留置を行った.その後は再出血なく経過し,mRS2 でリハビリテーション病院へ転院となった.治療10 ヶ月後の血管造影検査において解離性動脈瘤の消失を認め,3 年間の経過を行っているが血管造影検査において動脈瘤の再発は認めていない.【考察】本症例では,解離部にステント留置を行うことで血管内腔や分岐血管の温存をしつつ解離部に造影剤のpooling を認めたこと,発症より10 ヶ月経過した時点で動脈瘤消失を認めたことから動脈瘤の再出血予防としては一定の効果が得られたと推察した.【結論】我々はhVADA に対し,ステント単独治療が有用であった一自験例の報告を行った.
テクニカルノート
feedback
Top