意識障害や重度の運動麻痺がみられるものの,手術を希望しない慢性硬膜下血腫(CSDH)に対するステロイド注射薬と柴苓湯の併用治療の効果を検討した。症例は7例で男性3例,67歳~99歳(6例が85歳超)である。いずれも重度の運動麻痺があり,4例は意識障害も認めた。これらに対し,デキサメタゾン注16.5~26.4 mg/日を7~10日間,柴苓湯6 g/日を投与した。
全例でCSDHが縮小し,神経学的所見が改善した。いずれも治療開始から1~2週間でCT所見の改善を認め,柴苓湯は4~10週の投与期間で終了した。1例で間質性肺炎が出現したが,早期に対応したため軽症で回復した。
重度のCSDHであるが手術を希望しない症例の治療としてデキサメタゾン注射薬の短期間投与と柴苓湯の併用治療は考慮すべき治療である。
抄録全体を表示