日本神経回路学会誌
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24 巻 , 4 号
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巻頭言
解説
  • 安藤 規泰, 神崎 亮平
    2017 年 24 巻 4 号 p. 153-161
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
    適応行動の神経基盤を明らかにすることは,神経科学の主要な目標の一つである.その中で移動ロボットは,神経科学の知見を検証するためのツールとして用いられてきた.また,神経系のモデルをロボットに実装することは,生物機能を模倣して工学的応用を目指すバイオミメティクスによるロボット開発に向けたステップとしても重要である.一方で,脳や神経系の解析は現在進行中であり,これらの完全なモデルでロボットを動かすには至っていない.我々は,生物とロボットを直接接続すれば,この最終目標を一足先に見ることができ,研究の推進に貢献できると考え,昆虫がロボットを直接操縦する「昆虫操縦型ロボット」を開発した.この昆虫操縦型ロボットを,将来実現する完全な神経回路モデルを実装したロボットと見なすことで,神経回路のメティクスによって実現する移動ロボットの性能を,「今」把握することができる.さらに,同一のロボットを,生物と神経回路モデル双方で動かすことで,両者の完全な比較検証が実現する.生物がロボットを動かすハイブリッドロボットは,従来の「神経系を調べてからロボットを動かす」移動ロボットの利用に対して,「ロボットを動かしながら神経系を理解する」ための研究手法を提供するもので,神経回路の完全理解と応用に向けたその意義は大きいと考える.
  • 大脇 大
    2017 年 24 巻 4 号 p. 162-171
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
    1996年12月に発表された本田技研工業(株)の「P2」は,ロボット研究者のみならず一般の人々にも大きな衝撃を与え,人とともに生活するヒューマノイドロボットの実現という未来が近いことを実感させた.この登場から20年以上が経ち,さまざまなロボットが開発されてきたが,生物のように実世界をきびきびとしなやかに動き回るロボットは著者の知る限りいまだ存在しない.本稿では,生物のように実世界環境下を適応的に移動(ロコモーション)する脚式ロボットの実現を最終目標とし,著者が実施してきた研究について紹介する.
  • 山﨑 匡, 五十嵐 潤
    2017 年 24 巻 4 号 p. 172-181
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
    本稿では,神経回路モデルによるロボット制御を行う上で必須である,数値シミュレーションの高速化について解説する.実時間のロボット制御においては,神経回路モデルの数値シミュレーションも実時間で行う必要があるが,モデルの規模や精度によっては,普通に計算機を用いるだけでは膨大な計算時間がかかってしまう.高性能計算という分野の手法を適用することで,数値シミュレーションを並列に高速に実施することが可能となる.そのような手法をいくつか解説し,実際の事例を紹介する.
  • 平田 豊
    2017 年 24 巻 4 号 p. 182-194
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
    人工小脳(小脳神経回路数理モデル)と金魚のリアル小脳を用いたブレイン・マシンインタフェース(小脳・マシンインタフェース:CMI)により,実機ロボットを適応制御する方法と結果を解説する.また,そうした実機制御実験ならびに人工小脳のシミュレーション解析により明らかにされた,適応運動制御における小脳内情報処理機構に関する知見を紹介する.人工小脳やCMI構築に必要な小脳皮質神経回路の構成要素と接続様式に関する解剖学的知見についてもまとめる.
  • 内部 英治, 王 潔心
    2017 年 24 巻 4 号 p. 195-203
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
    強化学習で用いられる確率的方策は各時刻で行動を確率的に決定するため,生成される軌道が滑らかでなく実ロボットの行動学習には適さない.また,方策の改善に用いる方策勾配の推定値が大きな分散を持ち,学習過程を安定化させるためには一つの確率的方策を複数回評価する必要がある.このため,ロボット制御に適した決定論的方策をPolicy Gradients with Parameter-based Exploration(PGPE)は状態行動空間で探査するのではなく,方策パラメータ空間で探査するように強化学習の目的を再構成することで,決定論的方策を学習することを可能にした.しかしPGPEは勾配法に基づく方法であり,学習率の調整を必要とした.本解説では学習率の調節の必要のない,EMアルゴリズムを用いた決定論的方策を学習するための手法を説明する.スマートフォンをベースにした倒立二輪型移動ロボットを用いた複数の実験において,決定論的方策を用いることの利点や提案手法が実ロボットの学習に有効であることを述べる.
  • 白石 僚一郎, 河本 浩明, 山海 嘉之
    2017 年 24 巻 4 号 p. 204-212
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
    下肢機能障害者にとって立ち座り動作を日常的に行うことは,運動・生理機能の維持・改善だけでなく,自立した生活を送るための第一歩として非常に重要な役割を有する.しかし,日常的に自立した生活の中で立ち座り動作の学習を促進し運動機能改善を可能とする支援技術の研究開発は未開拓領域であった.我々は,立ち座り動作の自立的な再獲得および脳神経科学に基づいた下肢機能障害者の立ち座り動作の改善を実現するために,装着の手間が少ない方法で人-機械間の情報的・物理的なインタラクションが可能な立ち座り型サイバニックシステムを新たに提案・研究開発してきた.本解説では,立ち座り型サイバニックシステムの特色と本システムを用いた立ち座り動作の学習による脳神経系と末梢系の神経情報伝達ループの再構成へ向けた取り組みに関して述べる.
  • 田向 権
    2017 年 24 巻 4 号 p. 213-225
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
    RoboCup@ホームは,生活支援ロボット(@ホームロボット)の性能を競う世界最大の競技会である.@ホームロボットには,画像・音声認識,自然言語理解,ヒューマンロボットインタラクション,意思決定,行動計画,制御をはじめとする多種多様な機能が求めらる.深層学習の発展と普及に伴い,画像・音声認識のロボット応用が実用レベルで進んでいる.一方で,全ての機能を有する@ホームロボットの頭脳を創るという点では未だに課題発掘の段階にあり,ロボティクスや人工知能分野のみならず,脳科学や神経科学からもヒントを得た探索的研究の必要性が示唆される.本稿では,RoboCup@ホームの競技と著者らが研究開発を進める@ホームロボットについて概説し,@ホームロボット向けの脳型人工知能の事例として,競技会向けの運用を考慮した深層学習に基づく物体把持システムと,神経科学からヒントを得た扁桃体型ニューラルネットワークの@ホームロボットへの応用を紹介する.
報告
受賞概要
会報
編集後記
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