日本神経回路学会誌
Online ISSN : 1883-0455
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26 巻 , 3 号
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巻頭言
イントロダクション
解説
  • 熊田 孝恒
    2019 年 26 巻 3 号 p. 51-61
    発行日: 2019/09/05
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,時間的に連続して提示される2つの刺激の間で生じる2つの心理学的な現象である視覚マスキングとプライミングを取り上げ,その時間ダイナミクスやメカニズムについて論じる.また,それらと視覚的注意の関係についても議論をする.特に,脳の初期の領域(つまり,感覚野に近い領域)から高次の領域(前頭葉の連合野など)へのボトムアップ,あるいはフィードフォワードの情報の流れと,逆方向の高次から初期の脳領域へのトップダウン,あるいはフィードバックの情報の流れが,これらの現象をどのように説明しうるのかについて議論する.

  • 小川 正
    2019 年 26 巻 3 号 p. 62-71
    発行日: 2019/09/05
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,視覚探索を行うときに機能する注意の神経機構とその情報処理について述べる.現実世界の視覚環境は複雑であるため,外界を理解するためには眼球運動によって視線をスキャンさせ,詳細を知りたい物体に視線を向ける視覚探索が必要となる.注意には,外界から入力された感覚情報などにもとづいて起動される「外因性のボトムアップ型注意」と,知識・意図などの脳内情報にもとづいて起動される「内因性のトップダウン型注意」があり,これらの注意機能は生体にとって重要と思われる視覚情報を選択することによって合目的な視覚探索行動を可能にしている.大脳皮質において眼球運動系の上位中枢であるLIP野(the lateral intrparietal area)やFEF野(the frontal eye field)はトップダウン型注意の上位中枢であり,注意と眼球運動の神経機構は密接にかかわっている.視覚探索では時間経過とともに必要な神経情報処理が「注意による目標選択」から「目標に向かうサッカード眼球運動の生起」へと変化すると考えられるが,実際に視覚野であるV4野(visual area V4)において前者を反映したニューロン活動から後者を反映したニューロン活動へと神経情報がダイナミックに変化していることを示す研究知見を紹介する.さらに,ニューロン活動においてそのような時間ダイナミクスを生み出すと考えられる視覚運動野(LIP野,FEF野など)から視覚野(V4野など)への神経フィードバック経路について考察する.

  • 島崎 秀昭
    2019 年 26 巻 3 号 p. 72-98
    発行日: 2019/09/05
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    本稿は生物の学習と認識をベイズ統計学と熱力学の立場から解説する.脳は学習により獲得した外界のモデルをもとに推論を行う器官であると考えるのが脳のベイズ的な見方である.本稿の前半はこの見方が自発活動と刺激誘起活動をめぐる実験事実からいかにして形成されてきたかを解説し,ベイズ推論に基づく外界の認識が実現されていることを示唆する神経活動として図地分離・注意等の実験例を紹介する.後者の実験では順方向結合による初期刺激応答に対してリカレント回路による入力が時間遅れで統合されていることが示唆され,初期刺激応答後の神経活動に気づき・注意・報酬価値が表されると報告している.後半では神経細胞集団の刺激応答のダイナミクスを生成モデルを用いて再現した上で,学習と認識を神経活動のエントロピーに関する法則を用いて記述する熱力学的手法について解説する.特に時間遅れを伴う動的な情報統合によってベイズ推論を実現する神経ダイナミクスが情報論的なエンジンを構成することを紹介する(ニューラルエンジン).これにより内発的な刺激変調を定量化し,その効率を計算できることを解説する.

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