看護理工学会誌
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5 巻 , 1 号
看護理工学会誌
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巻頭言
原著
  • 高橋 聡明, 村山 陵子, 田邊 秀憲, 玉井 奈緒, 藪中 幸一, 真田 弘美
    2018 年 5 巻 1 号 p. 2-11
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     末梢静脈留置カテーテルの複数回穿刺後の良くない留置状況と留置継続困難時の浮腫を伴う血栓を質的スケッチ技法と超音波検査を用いて記述した.結果,7カテゴリー,2つのストーリーラインが見出された.1つ目のストーリーラインは,複数回穿刺の状況下で<刺入血管の目視>が困難ななか,尺側等の<刺入部位>を選び<刺入時の姿勢>が【穿刺のためのねじれた肢位を伴う姿勢】であった.矢状面に平行な<カテーテルの向き>が実現できず【血管走行と一致しないカテーテル方向】が超音波検査上で確認された.2つ目のストーリーラインは,橈側等の留置は【良肢位で刺入した姿勢】ではあるが,<ドレッシングによる固定>でメッシュ部がコネクター部にかかり<固定に付随するハブコネクター周辺の状態>で皮膚にめり込むような【コネクター部の圧迫による皮膚のくぼみ】があり,超音波検査画像で【血管上方向に位置するカテーテル先端】であった.複数回穿刺時には,留置時の肢位と固定方法により機械的刺激が加わり血栓・浮腫が形成される可能性が示唆された.
  • 加藤 陽, 松本 侑也, 小林 洋, 藤江 正克, 菅野 重樹
    2018 年 5 巻 1 号 p. 12-21
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究では,上肢切断者が関節角度を意図どおりに操作可能な電動義手を開発するために,筋収縮時の筋肉の機械的な変形を捉える皮膚表面上の筋隆起位置を用い,精確かつ簡単に関節角度を推定可能な手法を提案している.本論文では,手関節角度推定における筋隆起位置の有用性検証として,非切断者5名において手関節屈伸動作時の関節角度に対する筋隆起位置の信号特性を明らかにし,手関節角度の推定を行った.その結果,筋隆起位置は手関節角度に対する1次近似により0.94と高い決定係数を示したことから,両者の関係は直線による近似が可能であることが分かった.さらに1次近似により得た関数を用いて手関節角度を推定した結果,全体の手関節角度推定誤差は平均8.05[°]となり,表面筋電位を用いる手法と同程度の推定誤差を得た.この結果を用いて,今後は,上肢切断者において筋隆起位置に基づく手関節角度推定手法を用いた電動義手制御手法を検討する.
  • 松本 勝, 大貝 和裕, 大橋 璃子, 田中 環那, 青木 未来, 小林 正和, 須釜 淳子
    2018 年 5 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     皮膚汚れ除去に最も効果的な拭き取りによる洗浄剤除去方法を明らかにすることを目的とし,健康成人女性の前腕部を対象に準実験研究を実施した.洗浄剤により皮膚表面の汚れを浮かせたあと,3種類の異なる拭き取り方法により皮膚汚れおよび皮膚洗浄剤を除去した(WIPE A:末梢から中枢方向,WIPE B:中枢から抹消方向,WIPE C:中枢から外側へ円を描く).皮膚汚れとして油性口紅を使用し,汚れ塗布部位とその周囲合計5ヵ所において,拭き取り前後の皮膚色の差を算出することで,皮膚汚れ除去効果の指標とした.拭き取り方法間で統計学的有意差を認めた場合にその回数を数え,評価部位5ヵ所の統計学的有意差の合計数(Total score)が最も高いものを最も皮膚汚れ除去効果の高い方法とした.結果としてWIPE CはWIPE AおよびWIPE Bにくらべて高い5ヵ所のTotal scoreを示した.本研究における3種類のなかでは,中枢から外側へ円を描く拭き取り方法が最も皮膚汚れ除去効果が高いことが明らかになった.
  • 松井 優子, 村山 陵子, 田邊 秀憲, 大江 真琴, 元雄 良治, 我妻 孝則, 道渕 路子, 木下 幸子, 坂井 恵子, 紺家 千津子, ...
    2018 年 5 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     抗がん剤の血管外漏出後の重症皮膚障害の発生要因の抽出を目的とした.2014年4~9月に抗がん剤の点滴静脈内注射を受けた256件のうち漏出した25名を対象とした.滴下中にサーモグラフィーによる皮膚温度の測定と肉眼的観察を行った.重症群を再来時に硬結もしくは水疱があると定義し,重症群(12件)と軽症群(13名)に分け両群の要因を比較した.金沢医科大学倫理委員会の承認を得た.重症皮膚障害が発生した対象の特徴は,サーモグラフィーで血管外漏出を示唆する低温領域出現後の壊死性薬剤もしくは炎症性薬剤の投与時間が長い(重症群28分,軽症群6分,P=0.017),投与時の腫脹なし(重症群92%,軽症群46%,P=0.03),年齢が低い(重症群59.4歳,軽症群71.2歳,P=0.037),であった.抗がん剤の血管外漏出後の重症皮膚障害の発生要因として,肉眼で腫脹が認識されないことによる長時間の漏出が示唆された.
  • 髙田 美雪, 桑田 弘美, 森川 茂廣
    2018 年 5 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     手術支援ロボットによる腹腔鏡下前立腺摘出術(Robot Assisted Laparoscopic Radical Prostatectomy:RALP)を受けた患者の体験を分析し,先進医療に対し,どのような期待や不安を感じ,受け止めているのかを明らかにするために前立腺癌でRALPを受けた患者8名に半構成的面接を実施した.患者とその家族は,体験談やネットの検索など,積極的に情報収集を行い,先進医療を受け入れていた.RALPの低侵襲性,正確性,根治性に期待をもっており,その術後早期回復を実感することで,想像以上の満足感を得ていた.短い入院期間のなか,患者との信頼関係を確立し,質の高い看護の提供するために,患者の視点に立った情報提供,患者の背景に目を向けたかかわりが求められていることが示唆された.
  • 駒形 和典, 藪中 幸一, 仲上 豪二朗, 池田 真理, 竹原 君江, 武村 雪絵, 真田 弘美
    2018 年 5 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     背景:経鼻胃管を使用する際の問題の一つに気道への誤挿入があげられる.経鼻胃管の位置の確認方法として,聴診法などの簡便な方法が用いられているが,それらの方法は正確性に欠ける.また胸部レントゲンは最も正確な方法であるが,簡便性に欠ける.そこで本研究では,簡便かつ正確に経鼻胃管の位置を確認する方法として携帯型超音波装置を用いて経鼻胃管の描出が可能か検討を行った.方法:携帯型超音波装置を用いて,10名の患者の経鼻胃管の位置の確認を頸部および上腹部で行った.超音波画像の視認性を向上させる目的で,必要に応じて胃内容物の吸引および左側臥位への体位変換を実施した.結果:10名すべてで頸部もしくは上腹部で経鼻胃管が確認された.頸部および上腹部のそれぞれの描出率はともに80%であった.また8Frから12Frの小径な経鼻胃管も確認することができた.結論:携帯型超音波装置が経鼻胃管の位置の確認方法として有用であることが示された.
  • 峰松 健夫, 仲上 豪二朗, 麦田 裕子, 玉井 奈緒, 真田 弘美
    2018 年 5 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     細胞外基質分解酵素(MMPs)は,創傷治癒の進行と阻害にかかわる酵素であり,その活性は創部炎症状態を反映するバイオマーカーとして期待される.しかし,状態の異なる部位が混在する慢性創傷において,MMP活性の分布を可視化する技術は開発されていない.そこで,本研究では創面ブロッティング技術とザイモグラフィ技術を組み合わせて,MMP活性分布解析法の開発を試みた.マウス全層欠損創において,創作成後3,7,10日目に創面ブロッティングを実施し,ゼラチンゲルと反応させた.ゲルのタンパク質染色イメージは画像解析により,従来の電気泳動ザイモグラフィにくらべて感度は低いものの,MMP活性の分布イメージが得られた.MMP活性は創作製後3日目には創縁に分布し,その後創底シグナルに変化するパターンと創縁シグナルが継続するパターンがみられ,シグナル分布パターンが創部炎症状態を反映している可能性が示唆された.
  • 大貝 和裕, 松本 勝, 青木 未来, 臺 美佐子, 前馬 宏子, 打出 喜義, 須釜 淳子
    2018 年 5 巻 1 号 p. 65-73
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     背景:高周波超音波診断装置(エコー)は皮膚の非侵襲的イメージングに用いられているが,実組織との関係を検討した知見は少ない.本研究の目的は,エコー画像と実際の皮膚組織に着目し,手術の際に除去される帝王切開痕を用いて比較することである.方法:本研究では,書面によるインフォームドコンセントを得られた12名の妊婦を対象とした.出産前に瘢痕部と周囲皮膚をエコーで撮影した.反復帝王切開時,産科医によって瘢痕組織が採取され,コラーゲン・エラスチン染色に供された.染色画像を用いてコラーゲン量とエラスチン量の定量を行った.結果:瘢痕部は密な構造であったが,低エコーであった.エコー輝度とエラスチン陽性面積に有意な相関が認められたが,コラーゲン陽性面積とは有意な相関は認められなかった.結論:エコー輝度はコラーゲンの量や密度よりはむしろ,エラスチンの量とより相関することが明らかとなった.
  • 石山 さゆり, 岩永 浩明, 田原 孝, 清岡 佳子, 大橋 一友
    2018 年 5 巻 1 号 p. 74-79
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     はじめに:ヒトの生体が決定論的カオスであることが多くの研究によって示されているが,ヒトの胎児と母では明らかになっていない.方法:4人の母とその胎児を対象に妊娠11週から36週まで,超音波ドップラー法で母児の心音を同時測定し,カオス解析を行った.Random shuffle,Fourier shuffle Period-shuffleのサロゲートを行い,母児のデータのランダム性を検証した.最大リアプノフ指数(λ1)の計算,アトラクターの抽出を行った.結果:相関次元は5次元であった.3種のサロゲート法すべてにおいて母児データのランダム性が棄却された.母児のλ1は正であり,両者のアトラクターが抽出できた.これらのことから胎児と母は決定論的カオスであることが示された.考察:本結果は妊娠初期から後期にわたって胎児と母が決定論的カオスであり,非線形相互作用する自己組織化能力を備えていることを明らかにした.
実践報告
  • 池川 充洋, 大島 暁, 須藤 久美子, 倉智 恵美子
    2018 年 5 巻 1 号 p. 80-85
    発行日: 2018/01/25
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
     製造における生産方式であるセル生産方式にヒントを得て,看護提供方式に展開し業務改善を具体化した事例を取り上げる.セル生産方式はベルトコンベアで多数の工員が細分化した単純作業を行うライン生産方式と異なり,1人,もしくは小集団にて製品組み立てから検査までの工程すべてを受け持つ.セル看護提供方式では日単位に勤務看護師に対し担当病室を割り振り,担当病室における患者に対するすべての業務を受け持つ.加えてスタッフステーションを起点とした情報収集・共有,カンファレンスなどの従来型の業務運用ではなく,病室・病室前の廊下を起点とした業務運用を基本としている.結果,患者の気配を察し,先取りケア実践が実現され,ナースコール呼出回数の減少を,さらに看護師のスタッフステーションに情報収集,物品を取りに戻るなどの業務動線の短縮を狙っている.当調査では位置検知システムの利用により把握可能な看護師従事場所情報を利用しセル方式導入効果を整理した.
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