【はじめに】移乗する際の立ち上がり動作の容易性は,筋活動に対する負担の軽減につながる.本研究は,座面高と座面角の組み合わせが移乗する際の立ち上がり動作(Sit to stand)にどのような影響を及ぼすか,筋活動を評価指標として検証することを目的とした.【方法】12人の健常成人男性を対象に立ち上がり動作時の下肢筋活動を表面筋電図計で測定した.座面高3パターン,座面角も3パターンとし,組み合わせた計9パターンの椅子を準備.%MVCを従属変数,座面高と座面角を実験変数とし,二元配置分散分析を行った.【結果】4つの筋群すべてにおいて,座面高の主効果を認め,座面高を5cm高くすることで%MVCが有意に小さくなった.大腿直筋において,座面角の主効果を認め,前傾は後傾より%MVCが小さかった.【考察】高座面の椅子は筋活動の軽減につながる.また,座面角において,座面を前傾させることで,離殿時までの重心の前方移動に影響をあたえる大腿直筋への負荷を軽減させることが明らかになった.
本研究では,新生児皮膚におけるスキンブロッティングによる炎症性サイトカイン検出が,皮膚トラブルの客観的評価指標となりうるのかを検討した.新生児の無疹部と皮疹部において,TEWL値やスキンブロッティングによるアルブミンあるいは炎症性サイトカイン(IL-1α,IL-6,TNF-α)検出強度を比較した結果,炎症性サイトカインのIL-6とTNF-αが,無疹部よりも皮疹部のほうで有意(p<0.05)に高く検出された.また皮膚トラブルを検出するためのカットオフ値は,IL-6が2.77μg,TNF-αは8.15μgとなった.このカットオフ値ではどちらの場合も感度と特異度は0.86と1.00であり,AUC(Area Under the Curve)は0.92あった.以上より,スキンブロッティングによるIL-6とTNF-αの検出は,新生児における皮膚トラブルの客観的評価指標となりうることが示唆された.