看護理工学会誌
Online ISSN : 2432-6283
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6 巻, 1 号
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会告
巻頭言
原著
  • 佐藤 栄治
    原稿種別: 原著
    2019 年 6 巻 1 号 p. 2-11
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
     【はじめに】移乗する際の立ち上がり動作の容易性は,筋活動に対する負担の軽減につながる.本研究は,座面高と座面角の組み合わせが移乗する際の立ち上がり動作(Sit to stand)にどのような影響を及ぼすか,筋活動を評価指標として検証することを目的とした.【方法】12人の健常成人男性を対象に立ち上がり動作時の下肢筋活動を表面筋電図計で測定した.座面高3パターン,座面角も3パターンとし,組み合わせた計9パターンの椅子を準備.%MVCを従属変数,座面高と座面角を実験変数とし,二元配置分散分析を行った.【結果】4つの筋群すべてにおいて,座面高の主効果を認め,座面高を5cm高くすることで%MVCが有意に小さくなった.大腿直筋において,座面角の主効果を認め,前傾は後傾より%MVCが小さかった.【考察】高座面の椅子は筋活動の軽減につながる.また,座面角において,座面を前傾させることで,離殿時までの重心の前方移動に影響をあたえる大腿直筋への負荷を軽減させることが明らかになった.
  • 織田 茜, 鏡(関塚) 真美, 北島 友香, 島田 啓子
    原稿種別: 原著
    2019 年 6 巻 1 号 p. 12-21
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究は妊娠後期の乳腺組織の厚みの変化を明らかにし,分娩前の乳腺組織の厚みと産後3~5日目の乳汁分泌量との関係を明らかにすることを目的とした.対象は妊娠34~35週の妊婦で,携帯型超音波診断装置(Vscan Dual Probe)を用いて妊娠34~35週より分娩前1~7日まで妊婦健康診査の時期において乳腺組織の厚みを継続的に測定した.分析対象は産褥婦14名であった.分娩直前の乳腺組織の厚み29.0mmを基準として2群に分類し,群分けしたグループと産後日数および両者の交互作用を固定効果,対象者を変量効果とした線形混合モデルで分析した結果,乳汁分泌量に関連していた固定効果は乳腺組織の厚みと産後日数であり,有意な固定効果がみられた(p=.030,.001).すなわち29.0mm以上の群ではそうではない群にくらべ乳汁分泌量が有意に多かった.以上のことより,分娩前における最終妊婦健康診査時の乳腺組織の厚みと産後乳汁分泌量との関連が示唆された.
  • 松本 勝, 藪中 幸一, 吉田 美香子, 仲上 豪二朗, 真田 弘美
    原稿種別: 原著
    2019 年 6 巻 1 号 p. 22-32
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,携帯型超音波検査装置(HHU)を用いて,特に少ない排尿量に対する2つの膀胱内尿量推定法の妥当性を評価することである.排尿前に5機種のHHUによるスキャンを行い,その直後に排尿量を計測した.Diameter法またはArea法のいずれかを使用し,膀胱内尿量推定値を算出した.Diameter法を用いたHHU-A,HHU-B,およびHHU-Cの3機種では,膀胱の3点の直径を手動で計測し,計算式により膀胱内尿量推定値を算出した.Area法を用いたHHU-DおよびHHU-Eの2機種では,膀胱の自動測定により膀胱内尿量推定値が算出された.排尿量が150ml未満のデータを分析対象として,排尿量を真値とし,回帰係数を算出した.回帰係数は,Diameter法の3機種でそれぞれHHU-A(β=0.95),HHU-B(β=0.87),HHU-D(β=1.17),Area法の2機種でそれぞれHHU-C(β=1.20),HHU-E(β=0.67)であった.手動によるDiameter法を用いたHHUによる膀胱内尿量推定法はArea法よりも高い妥当性を示し,正確な膀胱内尿量を推定できる可能性が明らかになった.
  • 樋口 幸, 吉田 成一, 峰松 健夫, 市瀬 孝道
    原稿種別: 原著
    2019 年 6 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究では,新生児皮膚におけるスキンブロッティングによる炎症性サイトカイン検出が,皮膚トラブルの客観的評価指標となりうるのかを検討した.新生児の無疹部と皮疹部において,TEWL値やスキンブロッティングによるアルブミンあるいは炎症性サイトカイン(IL-1α,IL-6,TNF-α)検出強度を比較した結果,炎症性サイトカインのIL-6とTNF-αが,無疹部よりも皮疹部のほうで有意(p<0.05)に高く検出された.また皮膚トラブルを検出するためのカットオフ値は,IL-6が2.77μg,TNF-αは8.15μgとなった.このカットオフ値ではどちらの場合も感度と特異度は0.86と1.00であり,AUC(Area Under the Curve)は0.92あった.以上より,スキンブロッティングによるIL-6とTNF-αの検出は,新生児における皮膚トラブルの客観的評価指標となりうることが示唆された.
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