目的:COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の流行による行動制限は,独居者のメンタルヘルスに大きく影響した.本研究は独居者のメンタルヘルス改善を目指し,独居の健常成人に対しhumanoidとanimaloidのsocially assistive robots(SARs)によるストレス軽減効果を調査した.方法:被験者はhumanoidとanimaloidを9日間使用し,1~2日目と8~9日目のストレス指標を比較した.客観的なストレス指標には高周波成分(HF)と低周波成分(LF/HF)を,主観的な指標には総合的気分状態(TMD)を用い,paired
t検定で
p<0.1を有意傾向ありとした.結果:animaloid介入のHFは20時から0時において1~2日目より8~9日目のほうが有意に高い傾向であった(
p=0.07).TMDはhumanoidとamimaloidのどちらにおいても有意差はみられなかった.考察:9日間のanimaloid使用後にHFが高まる時間帯があったことから,animaloidは客観的なストレス軽減効果があったと考えられる.SARsは日常生活に取り入れやすく,独居者のメンタルヘルス改善に役立つ可能性がある.
【キーメッセージ】1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?→在宅時間増加による独居学生のメンタルヘルスが問題となっており,SARsによる改善を期待したことが動機である.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?→ SARsとの共生は独居者のメンタルヘルス改善に貢献できる.将来的にはSARsが家族のように癒しを提供できると期待する.
3.今後どのような技術が必要になるのか?→将来は癒しとともに健康異常に気づくSARsが必要.うつ状態などを検知する技術が求められる.
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