原子力バックエンド研究
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Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
24 巻 , 1 号
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研究論文
  • 邉見 光, 山口 徹治, 武田 聖司, 木村 英雄
    2017 年 24 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー

     福島第一原子力発電所の事故起源の放射性セシウムにより汚染された森林の除染に関して,居住区域における空間線量率が効果的に低減する線源の条件や除染の範囲を解析し,検討した.線源を134Csおよび137Csを含む堆積有機物層(A0層)と表層土(A1層)とし,モンテカルロ法による3次元輸送計算コードMCNPを用いて空間線量率を算出した.森林斜面の数,汚染の分布状態,森林土壌中の放射性セシウムの量,森林土壌の傾斜角,除染範囲,林縁から評価点までの距離,評価点の高さをパラメータとした.その結果,汚染の分布状態が均一の場合,林縁から20 mまでのA0層の除染が,空間線量率の低減に効果的であることがわかった.一方,林縁から20 m以遠の汚染が20 m以内よりも高いような,汚染の分布状態が不均一の場合,A1層に比べA0層に含まれる放射性セシウムの量が多い条件においてのみ,林縁から40 mまでのA0層の除染により,空間線量率が顕著に低減した.

  • 三原 守弘, 平野 史生, 高山 裕介, 京川 裕之, 大野 進太郎
    2017 年 24 巻 1 号 p. 15-26
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー

     TRU廃棄物地層処分施設の長期力学挙動を評価するための解析コードMACBECEを開発した.解析コードには,セメント系材料からのカルシウムの溶出やベントナイト系材料のカルシウム型化およびスメクタイトの溶解などの化学的変遷に伴う力学特性変化および処分施設と周辺岩盤との力学的な相互作用を考慮した.開発した解析コードを用いてクリープ変形が生じやすいと考えられる軟岩サイトを想定し,TRU廃棄物地層処分施設の建設段階から,処分施設閉鎖後10万年までの力学挙動解析を行った.緩衝材の力学挙動モデルとして,ECモデルを用いることで応力が降伏曲面の特異点付近に陥ることを解消し,数値解析上,安定な解を得ることができた.さらに,周辺岩盤と処分施設の力学的相互作用を同時に解析することにより,周辺岩盤と処分施設の力学挙動を別々に解析した第2次TRUレポートの結果と比較して処分坑道の内径変位量が半分程度となることが示された.

  • 大江 俊昭, 若杉 圭一郎
    2017 年 24 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー

     地層処分におけるガラス固化体の溶解寿命を再評価した.我が国での地層処分の技術的可能性を論じた報告では,時間と共に処分温度が低下することや表面積が減少することなどを無視しているため,ガラス固化体の溶解寿命は約7万年と過小評価されている.しかし,これらの変化は物理的に確実に起こるものであるので,これらを無視せずに再評価を試みた.表面積の変化を考慮するために亀裂を有するガラス固化体を3つのモデル,すなわち,単一平板,単一粒径の小球群,べき乗粒径分布を持つ小球群,で表現した.すべてのモデルの全体積は円柱状のガラス固化体と同じで,製造時の割れを考慮して全表面積は円柱状のそれの10倍とした.寿命評価の結果,初期量の50%が溶解するまでの時間は,3つのモデルとも7万年を超え,溶解寿命は17~70万年となった.これから,従来の評価ではガラス固化体が核種を保持する能力が過小評価されていることが判った.

  • 大江 俊昭, 大滝 裕也, 高橋 裕太, 助川 篤彦
    2017 年 24 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー

     我が国における地層処分の技術的実現可能性を論じた報告書に記載された炭素鋼オーバーパック厚さの決定方法について,その決定要因となった遮へい性に関して,評価の条件,設定数値,評価式の検討を行った.その結果,報告書記載値よりも0.08m減肉できる可能性が示唆された.オーバーパックは廃棄体全体の重量の約90%を占め,本来の廃棄すべきものとは異なる資源である.厚さの低減によって,重量物を定置する際の困難さ,腐食膨張による体積ひずみの蓄積,などのマイナス要因を緩和できると考えられる.

  • 大江 俊昭, 大滝 裕也, 若杉 圭一郎
    2017 年 24 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー

     地層処分における緩衝材の必要厚さを評価した.我が国での地層処分の技術的可能性を論じた報告では,緩衝材の厚さを決める因子はオーバーパックの腐食膨張により発生する応力を緩衝する能力であり,オーバーパックが0.19m厚の場合に緩衝材厚さは0.7m必要であった.一方,これまでの著者らの検討でオーバーパックを0.11mに減肉できる可能性があるので,それにともない力学的健全性が確保できるか否かを再評価した.その結果,緩衝材の厚さが0.5mであっても応力緩衝性が維持され,オーバーパックの力学的健全性が確保できることがわかった.人工バリア設定値に対する一連の再評価によって,ガラス固化体の溶解寿命の延伸,オーバーパックおよび緩衝材の厚さ低減の可能性が示された.さらに,再設定した人工バリアに対して核種移行解析を行っても,人工バリアからの核種の放出速度に著しい増加は認められなかった.

  • 長井 千明, 犬飼 健二, 小林 正人, 江藤 次郎, 田中 達也, 安藤 賢一, 居村 岳広, 堀 洋一
    2017 年 24 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー

     放射性廃棄物の地層処分におけるモニタリングでは,計測機器やそのケーブルが人工バリアの工学機能に影響を与えないことが重要である.そのため,情報を無線伝送,電力をバッテリで供給することでケーブルを利用しない地中無線モニタリング技術の研究が行われてきた.しかし,バッテリの寿命のために数十年がモニタリング期間の限界となり処分場の開業から閉鎖まで,あるいは閉鎖後にわたってモニタリングを続けることは困難である.そこで,情報と電力の両方を無線で伝送する無線電力伝送をモニタリングに適用することで,長期間のモニタリングが可能なシステムを提案する.本論文では各種無線電力伝送方式の中からモニタリングに適した方式を選定し,電磁界解析を通して上記のシステムにおける適用可能性を示した.

総説
  • 飯田 芳久, 中土井 康真, 山口 徹治
    2017 年 24 巻 1 号 p. 53-64
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー

     東京電力株式会社福島第一原子力発電所において発生する汚染水処理二次廃棄物の長期的な保管のための技術的知見を蓄積することを目的として,東京電力株式会社から発表されている情報を汚染水処理二次廃棄物管理の観点でとりまとめた.そして,長期保管に際する保管容器の健全性に対する留意事項として,塩化物イオン共存および放射線下でのステンレス鋼製容器の腐食,酸性条件および活性炭共存下でのステンレス鋼製容器の腐食,およびスラリーを収納した高性能容器(HIC)の放射線劣化を抽出した.

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