原子力バックエンド研究
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Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
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研究論文
  • 尾上 博則, 小坂 寛, 松岡 稔幸, 小松 哲也, 竹内 竜史, 岩月 輝希, 安江 健一
    2019 年 26 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/07/08
    ジャーナル フリー

     高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価は,処分施設閉鎖後,数万年以上に及ぶ時間スケールを対象として実施される.そのため,長期的な自然現象による影響を考慮した地下水の流速や移行時間といった地下水流動状態の長期変動性の評価技術の整備は重要な技術開発課題である.本研究では,長期的な自然現象のうち隆起・侵食による地形変化や気候変動に着目し,それらに対する地下水流動状態の変動性を,複数の定常解析結果に基づく変動係数で評価可能な手法を構築した.岐阜県東濃地域を事例とした評価手法の適用性検討の結果,過去100万年間の地形変化や涵養量の変化による影響を受けにくい地下水の滞留域を三次元的な空間分布として推定した.本評価手法を適用することで,地層処分事業の評価対象領域において,地形変化や気候変動に対する地下水流動状態の変動性が小さい領域を定量的かつ空間的に明示することができる.さらに,岐阜県東濃地域における事例検討結果を踏まえて,外挿法を用いた地下水流動状態の変動性の将来予測の基本的な考え方を整理するとともに,将来予測手法の適用方法について考察した.

  • 三原 守弘, 原澤 修一, 鳥居 和之
    2019 年 26 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/07/08
    ジャーナル フリー

     鉱物質混和材(フライアッシュ:FA,高炉スラグ微粉末:BFS,シリカフューム:SF)を用いた水セメント比50 %および30 %の材齢28日のセメントペースト硬化体を作製し,CsおよびIの見掛けの拡散係数(Da)を,電子線プローブマイクロアナライザーを用いた方法により算定した.CsのDaの低減には,水セメント比50 %ではBFS,水セメント比30 %ではSFの使用が寄与した.IのDaの低減には,水セメント比50 %ではBFSの寄与が大きく,水セメント比30 %についてはその大きな変化が確認できなかった.SFを用いることによりCsの収着性の向上が見られ,BFSを用いることによりIの収着性が向上する傾向が確認された.これらのセメントペースト硬化体の間隙構造は,微細な間隙によって連結したものであることも確認され,SFおよびBFSの使用がDaの低減に寄与したものと考えられた.

  • 田中 幸久, 渡邊 保貴
    2019 年 26 巻 1 号 p. 24-35
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/07/08
    ジャーナル フリー

     本論文では,放射性廃棄物処分において放射性核種の移行を抑止するためなどの理由により用いられる締め固められたベントナイトの膨潤圧と透水係数を室内試験により測定する際,また数値解析に用いるためにモデル化する際の留意点を述べた.締め固めたベントナイトの膨潤圧に関しては,既提案の吸水膨潤時の応力・ひずみモデルにより,膨潤圧試験装置の軸方向剛性,供試体高さ,初期飽和度の影響を表すことが可能であること,拡散二重層理論に基づく平衡膨潤圧モデルを用いる場合には,層間距離の設定に留意する必要があることを述べた.透水試験に関しては,土粒子密度の変動が大きい試料の飽和度計算には,土粒子密度の設定精度が影響することを示すとともに,土粒子密度の設定が不要なB値の剛壁透水試験装置における測定方法を示した.また,乱さない試料に対して柔壁透水試験装置を用いる場合において,供試体密度とセル圧が過大とならないための装置上の新しい工夫の例を示した.

  • 舘村 誠, 遠藤 智尋, 板垣 昌利, 黒澤 良樹, 山井 英樹, 米谷 豊, 増田 稔
    2019 年 26 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/07/08
    ジャーナル フリー

     使用済み制御棒は中深度処分の対象として埋設処分を計画している.制御棒は長さ約4 mに対し,中深度処分容器は1辺1.6 m立方体の大きさであるため,使用済み制御棒の減容には切断処理が必要となる.一方,使用済み制御棒を短冊に切断するとその内包物であるB4C粉体が水中へ拡散し,汚染の拡大とその2次処理負担の増加が生じる.さらにその対策に有効な切断技術が確立されていない.そこで内包物の拡散防止を目的にプレスと水中プラズマ溶断を組み合わせた切断技術を提案し検討してきた.本研究では実際の制御棒と同じ垂直姿勢で水中切断実験を行い,水中に拡散したB4C粉体量の分析を行い,その拡散防止の効果を評価した.その結果,短冊片に浸入する水分量は,制御棒1体当たり52.8 mgと乾燥処理に影響しない大きさであった.短冊片に切断したときに水中へ拡散したB4C粉体量は,制御棒1体当たり3.6 gで,制御棒1体から水中に拡散するB4C粉体の割合は0.05 %と僅かで,本手法はB4C粉体の拡散防止に効果があることが確認できた.

資料
  • 大澤 英昭, 野上 利信, 星野 雅人, 徳永 博昭, 堀越 秀彦
    2019 年 26 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2019/07/08
    ジャーナル フリー

     日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターでは,国民のみなさまの地層処分技術に関する研究開発および地層処分の理解を深めることを目的に,ゆめ地創館および地下研究施設を活用してリスク・コミュニケーションを実施してきた.本稿では,2013~2017年度,これらの施設の見学後に実施しているアンケート調査の結果を分析した.その結果は,理解度が深まると,長期の安全性についてはより不安な要素としてクローズアップされていることを示唆している.また,地下研究施設を見学している回答者の方々が,見学していない回答者の方々と比較して,地層処分の必要性,適切性,安全性をポジティブに評価していることなどから,本施設の見学が,地層処分の理解にとって貴重な体験になっていることが示唆される.

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