表面錯体モデルのBasic Stern Modelから誘導した近似方程式を用いて核種の収着分配係数を簡易に推定する方法・手順を示した.そして,Cs,I,Puの砂岩に対する分配係数を解析し,JAEA収着データベースの実測値を概略再現可能であること,地球化学反応解析コードMICROQL IIと同等の結果を与えることを確認した.次に,実験条件がほぼ同じでありながら,報告された分配係数の最大と最小に7倍の違いがある事例に対して,簡易式を用いてパラメータの感度解析ならびに不確実性解析を実施した.その結果,表面錯体反応に関する平衡定数の対数値が10%程度変化すると,分配係数に数倍の変動を生み出す可能性があることを示した.
本研究では,断層帯を構成する領域としてガウジ帯,破砕帯,割れ目帯を想定し,それぞれの特性を考慮した現実的な核種移行モデルを構築した.このモデルを用いて数値解析を行い,得られた結果を教師データとして,ニューラルネットワークによる機械学習を活用し,処分場全体を対象とした断層影響評価が可能な予測式を作成した.さらに,断層シナリオに関する主要な不確実性因子として,断層の規模,発生時刻および発生位置に着目し,これらの不確実性を考慮した多様な組み合わせと予測式を用いて1,000ケースの不確実性解析を実施した.その結果,マグニチュードが最大総線量への影響が最も大きいこと,さらには条件に応じて最大総線量への寄与が高い領域が変化することが明らかとなった.このことから,最大総線量を適切に評価するためには,各断層帯領域に位置する廃棄体数を考慮することが重要であることが示唆された.
東京電力福島第一原子力発電所事故により環境中に放射性Cs(r-Cs)が放出され,コンクリート構造物も汚染された.太平洋沿岸に位置する旧福島県水産種苗研究所のコンクリート柱の表面線量率を計測したところ,2015年12月から2024年1月の間に半減した.コンクリートコアを採取し,純水と人工海水に4か月間浸漬し,表面の放射能分布をイメージングプレートにより評価した.プラスティック袋内保管試料と純水浸漬では浸漬期間前後で変化はなかったが,人工海水浸漬では平均21%減少した.2011年3月にコンクリートに到達したr-Csは雨水とコンクリートの間でイオン交換し,コンクリートに吸着したと考えられる.その後,塩濃度の低い雨水にさらされてもr-Csはコンクリートから溶出するとは考えにくいが,評価対象のコンクリート構造物は太平洋に面し,海塩の影響を受けて溶出した可能性が考えられる.