有機農業研究
Online ISSN : 2434-6217
Print ISSN : 1884-5665
15 巻, 1 号
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【巻頭言】
【論文】
  • 中村 南美子, 大島 一郎, 中西 良孝, 髙山 耕二
    2023 年15 巻1 号 p. 4-9
    発行日: 2023/06/30
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,放飼条件下での薩摩黒鴨に対する自給飼料(カツオ節だし残渣,屑米および生米ヌカ)の給与が産肉性と産卵性,さらには肉と卵黄中のDHA含量に及ぼす影響を調査した.

    1週齢の薩摩黒鴨12羽(♂4:♀8)を市販採卵鶏用配合飼料(ME 2,800kcal/kg, CP 15.2%:以下,市販飼料)のみを給与した対照区とカツオ節だし残渣,屑米および生米ヌカを40:40:20の割合で配合した飼料(CP 26.9%)を給与した試験区に2区分した.試験期間中(1~15週齢)の飼料要求率は対照区で5.4,試験区で4.9を示した.15週齢における体重と解体成績には,両区間で差がみられなかった.対照区のムネ肉ではDHAが検出されなかったのに対し,試験区では100g当たり294mgのDHAが検出された.

    26週齢の薩摩黒鴨26羽(♂6:♀20)を上記と同じ市販飼料のみを給与した対照区とカツオ節だし残渣,屑米,生米ヌカおよびカキ殻を50:30:10:10の割合で配合した飼料(CP 29.7%)を給与した試験区に2区分した.試験期間中(26~51週齢)の飼料要求率は対照区で3.4,試験区で3.1を示し,卵重は試験区で有意に大きかった(P<0.01).産卵率は対照区で80.3%,試験区で83.6%を示し,両区間で有意差が認められた(P<0.01).孵化率については,両区間で差がみられなかった.卵黄中のDHA含量は対照区に比べ,試験区で有意に高い値を示した(P<0.01).

    以上より,カツオ節だし残渣に屑米と生米ヌカを配合した自給飼料の給与は薩摩黒鴨の生産性を低下させることなく,その生産物の品質を向上させる可能性が示された.

【調査論文】
  • 生駒 忠大
    2023 年15 巻1 号 p. 10-25
    発行日: 2023/06/30
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー

    本稿は,1970年代から行政主導型の有機農業振興が展開されてきた宮崎県綾町に着目し,2000年代以降の農業者サイドによる有機農業に対する組織的な取り組みを検討した.綾町では,2000年代以降には行政サイドからの施策の実施はほぼ見られなくなっている.一方,農業者の間では販路確保や拡大を目的とする有機農業生産者グループが出現している.とりわけ注目されるR会は,有機JAS認証の有無を越えた農業者によって結成され,共同出荷を実現してきた.さらに,行政と在来農業者の呼びかけによって設立された有機農業研究会は,行政と農業者を連結させながら,農業者の組織化による有機農業推進を実践する母体として活動を開始している.このように,綾町の近年の有機農業推進の主体は,公的セクターから,有機農業生産者グループを枢軸とする農業者サイドに移行しており,そこに新規参入者も加わって新たな地域有機農業の連携の輪が構築されていることが明らかとなった.

    しかし,綾町では,在来農業者が取り組んできた経済的合理性を重視する有機農業と,新規参入者らが求める多様な価値の実現を目指す有機農業のあり方が混在している.そして,R会と一般有機農業生産者の間には必ずしも協調的で一体的な関係性が形成されているわけではないことも明らかとなった.

【書評】
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