日本臨床皮膚科医会雑誌
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24 巻 , 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
第23回総会・臨床学術大会
特別講演1
  • 石橋 康正
    2007 年 24 巻 4 号 p. 292-297
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    アミロイドは交差βと呼ばれる特殊な“conformational change”を示す蛋白で、正常人は殆ど生産しない。既存の約20種の蛋白から形成されるが、その機転は細胞内の質的制御において、正しくfoldingされない蛋白を処理する過程で発生する。問題は宿主がこの物質を容易に排除できないことや、特に近年増加の傾向にあるアルツハイマー病、パーキンソン病等の所謂神経変性性疾患において、その発症に当該物質の形成が深く関わっていることである。細胞内蛋白の質的制御とその分解処理機転には、分子シャペロン・システム (MCs) とユビキティン・プロテアソーム・パスウェイ (UPP(S)) が重要な働きをなす。現在、MCsを遺伝子導入したモデル動物を使った、アミロイド沈着の阻害実験等が行われている。原発性限局性皮膚アミロイド症は、表皮ケラチノサイトの細胞内外にアミロイド様物質、及びアミロイドが沈着する病態で、特にその家族発生型は遺伝性の存在と共に、その発症に上記神経変性性疾患と同列の機転が働いていると推測され、将来上記難病発症機転解明のモデルの一つになるのではあるまいか。(オンラインのみ掲載)
一般演題1 皮膚潰瘍・腫瘍など
  • 藤広 満智子
    2007 年 24 巻 4 号 p. 298-302
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    主として仙骨部褥瘡に対し、台所用穴あきポリ袋を用いたOpen Wet-dressing Therapy (OWT) を行ったところ、褥瘡の急速な改善を認めた。方法は、褥瘡を微温湯で洗浄し、適当な大きさに切った穴あきポリ袋を貼った紙オムツをするという簡単なものである。状態に応じて、デブリートメント、抗生剤軟膏ガーゼ処置の後に行った。その特長は1) 傷が治るのに不可欠な湿潤環境を保つ、2) 穴があるので適度にドレイナージができる、3) ずれによる皮膚障害を防ぐ、4) 皮膚にテープを貼らないためテープかぶれを起こさない、5) ガーゼのような厚みがないので圧迫がない、6) 短時間に実施できる、7) 痛みが少ない、8) 感染をおこさない、9) 安価で入手が容易、ということである。すでに200例以上をこの方法で処置し、その手軽さと治癒の早さから患者、看護師の評価は高く、現在は褥瘡患者の9割をこのOWTで治療している。
    褥瘡報告書の転帰を集計した結果、OWT導入前78例と導入後の118例の転帰は、治癒の割合が30.8%から51.7%と有意に上昇した。当科ではこの経験から下腿潰瘍などの褥瘡以外の難治性潰瘍にもOWTを用いているが、その有用性は医療用ドレッシング材に劣らないと評価している。(オンラインのみ掲載)
  • 栃木 美寿紀, 羽尾 貴子, 鎌田 英明
    2007 年 24 巻 4 号 p. 303-306
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    26歳女。約10年前より体幹上肢にやや隆起を伴う皮疹が出現した。3年前に某大学病院を受診し、精査を受け、漢方薬等による加療するも改善なく放置していた。皮疹は徐々に拡大、増加したために当院を受診した。現症、背部、臀部、両上腕に自覚症状を伴わない、鳩卵大から鵞卵大までの円形から楕円形の表面萎縮性で扁平台状に隆起する、やや紅色調のやわらかい局面が点在多発していた。皮疹出現時に紅斑や蕁麻疹、水疱が生じたことはなかった。病理組織学的所見、表皮は萎縮し、表皮突起の消失が見られた。真皮上層から中層では弾性線維が断裂、萎縮、減少し、消失している部分も認められた。真皮上層の血管周囲に好中球、リンパ球を中心とする細胞浸潤がみられた。付属器周囲や残存する弾性線維の周辺に細胞浸潤は乏しかった。臨床症状、臨床経過ならびに病理組織学的検査、血液学的検査等から各種斑状皮膚萎縮症について検討を行った。(オンラインのみ掲載)
一般演題4 感染症など
  • 竹之下 秀雄, 小松 貴紀, 圓谷 隆, 山内 隆治
    2007 年 24 巻 4 号 p. 310-313
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    (1) 11歳、男児。初診時、37℃台の発熱、躯幹に散在する小指頭大までの淡い紅斑と左膝窩の刺し口のため、ツツガムシ病を疑い、ミノサイクリンの全身投与 (120mg/day) を開始したところ、頭痛を含め全身症状がすみやかに改善した。ツツガムシ病抗体価は、初診の11日後にはIgMがGilliam法で有意に上昇し、本例をツツガムシ病と診断した。
    (2) 30歳、女性。妊娠11週5日。初診時 (第8病日)、発熱、顔面と躯幹の淡い紅斑、左側腹部の刺し口などの臨床症状、肝機能障害、CRP上昇などの検査所見からツツガムシ病を強く疑った。妊娠初期であれば塩酸ミノサイクリンを投与しても胎児に流産や奇形などの障害はほとんどない旨を文献的に確認し、初診日より同剤200mg/日の全身投与 (2週間) を開始したところ、すみやかに軽快し、妊娠40週1日目に無事女児を出産した。ツツガムシ病抗体価は、初診時のIgM (Gilliam法) が320倍と高値で診断が確定した。出産時のIgM抗体価は、母体血で消失し臍帯血で存在しないため、Orientia tsutsugamushiの胎盤感染の有無は不明であった。小児と妊婦のツツガムシ病が少ないのは、ツツガムシに吸着される機会が少ないからと考えられている。(オンラインのみ掲載)
  • 笹川 征雄
    2007 年 24 巻 4 号 p. 314-318
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    生後10カ月女児の頭部に発症したTrichophyton tonsurans によるblack dot ringworm難治例を経験した。女児の感染源は、結婚3年前まで柔道をしていた母親であった。今回の症例から、生後10カ月乳児への抗真菌剤内服投与が制限されたこと、副作用による訴訟リスクの懸念から内服治療に躊躇したこと、感染源の母親が3年間の無症候性キャリアーであったこと、父親にも感染し家族3名全員発症したこと、臨床検査所の真菌同定能力の信頼度が低いこと、などが問題になった。格闘技者によるTrichophyton tonsurans 感染症は、格闘技者間だけでなく、家族などへの垂直感染の広がりを見せている。Trichophyton tonsurans 感染症やMicrosporum canis 感染症の重要性は、感染源を追求して新たな集団発症を予防できることである。皮膚科専門医の真菌同定能力を向上する教育プログラムが早急に必要であり、予防医学的な対外活動を通して皮膚科専門医の存在を社会に示すことが重要である。頭部の脱毛症ではblack dot ringwormを常に考え、格闘技者は男性のみならず女性もいることを念頭においた診察が必要である。(オンラインのみ掲載)
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