日本臨床皮膚科医会雑誌
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30 巻, 6 号
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論文
  • 堀内 祐紀, 矢田 佳子, 高橋 詠姿, 林 伸和
    2013 年 30 巻 6 号 p. 636-642
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/05/18
    ジャーナル フリー
     尋常性痤瘡患者の多くは瘢痕が残ることを懸念しており,瘢痕を残さないことは重要な治療ゴールである.また,外来診療の中で思春期後痤瘡を診察する機会は多い.しかし,痤瘡瘢痕や思春期後痤瘡に関する疫学的な調査は少ない.そこで20歳代女性ボランティア104人を対象に,痤瘡瘢痕と思春期後痤瘡に関するアンケートと皮膚科医の診察による調査を行った.その結果,全体の98.1%に何らかの痤瘡の皮疹を認め,炎症性皮疹は90.4%(軽症73.1%,中等症16.3%,重症1.0%),面皰のみの患者は7.7%で,皮疹のない患者は1.9%に過ぎなかった.また,全体の65.4%に萎縮性瘢痕,1.0%に肥厚性瘢痕があった.痤瘡があると回答した75人のうち25人(33.3%)は思春期の痤瘡が継続しており,残りは思春期の痤瘡軽快後に痤瘡が再発していた.痤瘡への対処法としては,「保湿をする」(60.6%),「洗顔をしたり油取り紙で皮脂を取ったりする」(53.8%),「ファンデーションなどの化粧で隠す」(51.9%)が上位を占めたが,これらを有効とする人は少なかった.医療機関への受診をする人は 17.3%と少なかったが,有効とする人は72.2%と多かった.一方で自己対処による痤瘡の悪化や痤瘡瘢痕の形成を経験している人は73.1%にみられ,適切な治療の推進が必要であることを示唆していた.  今回の調査から,痤瘡瘢痕は20代女性に高頻度にみられていた.痤瘡を改善し,瘢痕を残さないためには,より早期から積極的な治療を行い,さらに維持療法を継続することが重要だと考えた.
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