日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
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31 巻, 3 号
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論文
  • 栗原 佑一, 渡邊 絵美子, 宮川 俊一
    2014 年 31 巻 3 号 p. 369-372
    発行日: 2014年
    公開日: 2022/05/18
    ジャーナル フリー
     76歳女.遺伝性脊髄小脳変性症と肝のう胞で内科に通院中.初診2か月前より右臀部に圧痛を伴う腫瘤を自覚した.疼痛が持続するために切除を希望し皮膚科を受診した.右臀裂,仙骨右縁に鶏卵大の皮下腫瘍を認めた.超音波検査では表皮嚢腫に類似した境界明瞭な嚢胞性病変であった.局所麻酔下に切除術を予定したが,腫瘍は後腹膜腔まで及んでいたため,可及的に部分切除し結紮を行った.内容物は白色粥状物であった.病理所見は表皮嚢腫に類似した表皮構造からなる嚢胞壁であった.過去に撮影されたCT像で直腸・仙骨間に存在する嚢胞性病変が確認され,病理所見と合わせて仙骨前類表皮嚢腫と診断した.本症は後腹膜に存在する腫瘍であり,自験例では臀部にヘルニアを来したため臨床的に皮下腫瘍の像を呈した.切除には全身麻酔や侵襲的な手術が必要になる疾患であり,悪性化や感染を合併する例の報告もある.臀部に生じる嚢胞性腫瘍の重要な鑑別であると考え報告する.
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