日本臨床皮膚科医会雑誌
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35 巻 , 4 号
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総説
  • 神部 芳則, 大塚 好, 杉村 安美, 若林 宣江, 出光 俊郎
    2018 年 35 巻 4 号 p. 622-627
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/20
    ジャーナル フリー
    自己免疫性水疱症は口腔内にも症状を呈することが多い.特に尋常性天疱瘡では,口腔粘膜に広範囲にびらんを生じ,接触痛や出血のため,口腔内が極めて不潔になりやすい.また,治療に際しても進行した歯周病や,う蝕,不適合の義歯などがあると治療の妨げになる.ステロイド療法を開始した後も口腔カンジダ症や知覚過敏様の歯痛,さらにビスフォスフォネート製剤を併用した場合にはビスフォスフォネート関連顎骨壊死の発生リスクがあるため,専門的な口腔内の衛生管理が重要である. 症例:70歳の男性.口腔内のびらんを主訴に当院を受診した.尋常性天疱瘡の診断の下にステロイド療法が予定された.しかしながら,口腔衛生状態が不良で,進行した歯周病を認めたため,口腔衛生指導と5本の抜歯を行った.治療中も専門的口腔ケアを継続し,早期に義歯を作成し咀嚼機能を改善した.自己免疫性水疱症の治療に際して,患者のQOLに配慮したより質の高い治療を行うためには皮膚科医と歯科医の緊密な連携が必要であり,皮膚科医は歯科独特の技術的なサポートや口腔ケアのシステムを大いに活用すべきである.
論文
  • 林 伸和, 木村 淳子, 渡邉 智幸
    2018 年 35 巻 4 号 p. 601-609
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/11
    ジャーナル フリー
    目的:日本の医師における化膿性汗腺炎の疾患認知度と,治療実態を把握する.
    方法:化膿性汗腺炎の治療に関係すると予想される診療科の医師にオンラインアンケートを実施し,回答について集計・分析した.
    結果及び考察:517名の医師より回答が得られた.皮膚科医では,化膿性汗腺炎という疾患名は広く認知されていた.腋窩の病変には化膿性汗腺炎という病名がつけられることが多く,臀部の症例では慢性膿皮症とされることが多かった.腋窩の病変でも,より重症の場合には,慢性膿皮症という診断名がつく傾向が認められた.一方,一般内科開業医などでは化膿性汗腺炎を知らない医師が多く,患者が最初に皮膚科以外の診療科に受診した場合には,正しく診断されない可能性が高いと考えられた.
    近年, 化膿性汗腺炎の主因は細菌の感染ではなく,毛包における自然免疫の異常に基づく自己免疫異常と考えられるようになっているが,皮膚科医であっても,免疫系の異常が化膿性汗腺炎の病因であると回答したのは半数以下であり,一般的な感染症としての抗菌薬投与が広く行われていることが示唆された.今後,皮膚科医のみならず化膿性汗腺炎を治療する可能性のある医師に対して化膿性汗腺炎の疾患概念や適切な治療に関する啓発が望まれる.
  • 大田 美智, 江原 佳恵, 西本 周平, 畑 康樹
    2018 年 35 巻 4 号 p. 610-614
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/11
    ジャーナル フリー
    66歳女.初診5カ月前より臍部左側に搔痒を伴う皮疹が出現した.翌月に近医を受診し抗菌薬内服をするも軽快せず,当科を紹介受診した.臍左側に小豆大の緊満性水疱を1つ認め搔痒を伴っていた.既往なく頓用薬やサプリメント,DPP-4阻害薬を含めた内服歴はなかったが,臨床所見から固定薬疹を疑ったものの,水疱を繰り返す経過から水疱性類天疱瘡も疑い精査した.血液検査で好酸球の増多と抗BP180抗体陽性を認め,組織学的所見では表皮下に水疱を形成し水疱内と真皮内に好酸球が浸潤,蛍光抗体直接法では表皮基底膜部にIgG,C3が線状に沈着していた.以上の結果より臍部に限局した限局性類天疱瘡と診断した.ステロイド軟膏外用,テトラサイクリンとニコチン酸アミドの内服で軽快傾向である.手掌・足底に限局する汗疱状類天疱瘡は全身へ拡大する例が多くある.その他の部位に発症した限局性類天疱瘡は局所にとどまる報告がほとんどであるが,注意深く経過観察している.
  • 佐藤 俊次
    2018 年 35 巻 4 号 p. 615-621
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/11
    ジャーナル フリー
     ルリコナゾール(以下,ルコナック®爪外用液5%)による足の第1趾の爪白癬治療を,17か月間に187症例経験した.そのうち48症例は脱落し,48週を超えて観察できたのは26症例であった.その26症例の治療効果判定の結果,著効11.5%,有効23.1%,中等度改善23.1%,不変26.9%,悪化15.4%であり第Ⅲ相試験の結果とほぼ同様であった.不変・悪化が約42%あり,これを改善するためには治療対象の爪白癬の病型・重症度を事前に考慮することが必要であることが示唆された.
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