日本臨床皮膚科医会雑誌
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35 巻 , 5 号
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論文
  • 大田 美智, 北見 由季, 末木 博彦
    2018 年 35 巻 5 号 p. 742-747
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
     原発性皮膚アスペルギルス症の2例を報告する.症例1は87歳女性.4年前に生じた帯状疱疹の瘢痕部に疼痛,紅斑を認め受診した.左背部の帯状疱疹の瘢痕(皮膚の萎縮と脱色素斑)部に鱗屑を付す不規則形な紅斑と小びらんを認めた.びらんに対し抗潰瘍剤の外用で治療を開始したが紅斑は拡大し,小膿疱も出現してきた.膿疱の一般細菌培養でAspergillus nigerを検出,本症を考え生検した.組織は真皮上層に炎症細胞浸潤を認め,Grocott染色では角層のみに菌糸を認めた.イトラコナゾールの内服と創部の洗浄,抗真菌薬の外用を行い治癒した.症例2は53歳女性.Cushing症候群,尋常性乾癬で加療中に急性骨髄性白血病を発症し救急搬送された.血液内科転科時に腹部の皮疹に気付いた.下腹部に小児頭大の熱感を伴う紅斑を認め,厚く硬い黄褐色の痂皮に覆われた不規則形な潰瘍を混じていた.一般細菌培養検査でAspergillusを検出したため本症を考えて生検した.組織は真皮全体の炎症細胞浸潤と,Grocott染色では真皮に多数の菌糸を認めた.組織の真菌培養でAspergillus fumigatusを検出した.原疾患に対するミカファンギンナトリウム,イトラコナゾールの内服に加え,創部の洗浄,デブリードメント,抗潰瘍剤の外用を行い治癒した.症例1は免疫不全状態ではなかったが,4年前に発症した帯状疱疹の患部に触れることを怖がっていた.ナジフロキサシン軟膏の大量塗布を続けていたうえ患部を覆って入浴していたため,きちんと洗浄出来ておらず高温・多湿の環境であったことが発症誘因と考えた.症例2は極度の肥満があり,立位時皮膚が重なる部分があった.急性骨髄性白血病発症時は体調不良のため数カ月間ベッド上で過ごし,清拭もできない状態であったことも発症誘因と考えた.白血病などの免疫不全状態にある者や高齢者において,皮膚を不潔環境におくことはアスペルギルスの寄生,増殖を促し,原発性皮膚アスペルギルス症を発症させる要因であると考えた.
  • 井波 真矢子 , 五十嵐 敦之
    2018 年 35 巻 5 号 p. 748-752
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
     爪白癬の治療は,爪白癬に適応のある外用薬が発売されるまでは,内服薬と爪白癬に適応を有さない外用薬のみであった.2014年9月に日本で初めて爪白癬に適応を持つ外用薬であるエフィナコナゾール爪外用液(クレナフィン爪外用液10%)が発売されたが,治療を1年以上継続した場合の臨床成績の報告はまだない.今回,当科で爪白癬に対しエフィナコナゾールを処方した484例を検討した.そのうち効果判定ができたのは363例であった.治癒症例のうち3割以上が治癒に1年以上を要しており,実臨床での治癒率は17.9%であった.改善が認められる症例は治癒も含めて81.3%であった.安全面では,接触皮膚炎が484例中13例に認められたが,全身性の副作用は認められなかった.副作用の少ないエフィナコナゾールの発売により,これまでの治療法では対応できなかった患者も治療できるようになり,特に高齢者,多剤服用患者に対しては第一選択となりうる薬剤であるが,治療の成功には,患者のアドヒアランス向上が必須であり,治療開始時に根気強い治療が必要であることと,治癒までの見通しを丁寧に説明する必要がある.
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