日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
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36 巻 , 4 号
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総説
  • 大山 学
    2019 年 36 巻 4 号 p. 505-510
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
     円形脱毛症は境界明瞭な脱毛斑を呈し,病理組織学的には成長期毛包の毛球部周囲のリンパ球主体の炎症性細胞浸潤を特徴とする自己免疫性疾患である.しかし,この記載は円形脱毛症急性期の病態の一部を捉えているに過ぎない.急性期から慢性期に移行するにつれ,自己免疫応答に引き続いて生じる毛周期の変調により毛包は成長期毛から休止期毛へとその形態を変え,その変化により毛包を標的とする免疫応答も収束していく.したがって円形脱毛症の病期後半ではむしろ毛周期の障害という要素が大きい.つまり,円形脱毛症では臨床経過の移り変わりとともに1)自己免疫応答による毛包の傷害による脱毛(毛球部が萎縮性の変化を示す脱毛,急性期・急性増悪期)2)毛周期の変調による脱毛(毛球部が萎縮性ではないが変調に伴う棍毛主体の脱毛)または再発毛障害による脱毛(慢性期・症状固定期)が生じている.実際には,罹患部の全ての毛包が同期して同じ状態にあるのではなく,個々の毛包により状態は異なる.罹患部に最も多い毛包の状態が脱毛斑の病態を規定する.日本皮膚科学会診療ガイドラインで本症に推奨されている治療法のうち,副腎皮質ステロイド局所注射,外用,点滴静注パルス療法(パルス療法)などは自己免疫応答の直接的抑制が主たる機序と考えられるのに対して局所免疫療法は緩徐な免疫変調により効能を発揮すると思われる.こうした機序を考慮すればパルス療法は急速進行期に,局所免疫療法は慢性期に実施することが理にかなっていることがわかる.また,その他の治療法にも,遷延する毛周期の遅延を解除しうるなど個々に想定される作用機序があり,理論的に適した病期があることが理解できよう.以上から,円形脱毛症の治療効果を最大に得るためには疾患の病態,特に脱毛症状の背後にある毛周期の変調という現象を理解し,症例ごとにそれを考慮しながら治療法を選択していくことが必要である.
論文
  • 安部 正敏, 伊藤 寿啓, 島田 辰彦, 菅井 順一, 東山 眞里, 根本 治
    2019 年 36 巻 4 号 p. 513-525
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
    目的:尋常性乾癬の頭部病変に対する外用療法に新たな選択肢が増えた中,その治療実態および治療効果や患者満足度を明らかにする. 方法:尋常性乾癬頭部病変の治療において,調査開始時より前3カ月の間に外用薬を切り替えもしくは新しく外用薬を使い始めた調査対象患者と担当医師に,前向き観察研究として多施設共同アンケート調査を実施した.頭部病変に対して外用療法を3カ月実施し,医師調査票では治療効果(PSSIなど)や処方内容など,患者アンケート調査では治療満足度(TSQM-9)などを1カ月毎に調査し,3カ月後には切り替え前の外用薬と比較した選好性(PPQ)を調査した. 結果:頭部病変を有する尋常性乾癬患者766例が登録され,治療実態を737例で検討した.外用療法と全身療法(内服療法,光線療法,生物学的製剤)の併用は297例(40.3%)であり,有効性解析対象である外用療法単独は440例(59.7%)であった.いずれにおいてもゲルが約7割と最多で,次いでステロイドローションとシャンプーが多かった.本調査期間を通じて,登録された尋常性乾癬の頭部病変の重症度は経時的に改善が認められた.外用薬単独の治療効果をみると,ゲルおよびシャンプー治療においてPSSIおよびIGAの統計学的有意な改善が認められた.また,いずれの外用薬からゲルへ切り替えても,PSSIは改善を示し,TSQM-9も向上し,約8割の患者が切り替え前の外用薬よりゲルに選好性を示した. 結論:尋常性乾癬頭部病変の治療において,実臨床では,被髪頭部の塗布に適したゲルなどの剤形が主に選択され,新しい剤形であるゲルやシャンプーの医師評価・患者評価はともに高かった.唯一前外用薬別の統計解析が可能であったゲルでは,いずれの外用薬からゲルに切り替えても治療効果や治療満足度が向上した.
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