日本臨床皮膚科医会雑誌
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37 巻 , 3 号
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論文
  • 森 愛里, 重野 和彦, 原 みずき, 川瀬 正昭, 江藤 隆史
    2020 年 37 巻 3 号 p. 412-416
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
    55歳,男性.初診5か月前から臍部に黒褐色の乳頭腫状結節が出現し徐々に増大した.他院で脂漏性角化症の診断で治療を開始されるも改善を認めず,当科を受診した.臍部に直径10 mmの黒褐色で乳頭腫状の結節があり,病理組織学的に表皮の角化細胞の核周囲に空隙のあるコイロサイトーシスの所見である.抗 human papillomavirusモノクローナル抗体免疫染色はK1H8,4C4ともに陰性であったが,in situ hybridizationでHPV6/11型プローブが陽性となったため尖圭コンジローマと診断した.結節に対して電気焼灼,液体窒素凍結療法を施行した.活性型ビタミンD3軟膏やイミキモドの外用も併用し,3か月で消褪した.尖圭コンジローマは性感染症であり,陰部や肛門周囲に好発する.それ以外の部位での発生例は少なく,我々が調べ得た限りでは臍部の尖圭コンジローマの報告はなかった.臍部の皮膚腫瘍としては,脂漏性角化症や基底細胞癌,転移性皮膚癌などが鑑別に挙がるが,尖圭コンジローマを鑑別に挙げることはない.しかし,自験例のようなケースもあり,診断,治療,感染予防の啓発のために報告する.
  • 佐々木 豪
    2020 年 37 巻 3 号 p. 417-423
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
     当院を受診中の慢性特発性蕁麻疹患者で,既存の第2世代抗ヒスタミン薬効果不十分 [重症度レベル3以上かつ蕁麻疹活動性スコア(Urticaria Activity Score:UAS)3以上]であった50例について,ビラスチン(ビラノア)への切り替えによる臨床的検討を行った.UASはビラスチン切り替え後2週間で有意な低下が認められ,その低下は8週後まで継続した.さらに前治療の薬剤が,ピペリジン/ピペラジン系および三環系のいずれであっても,ビラスチンへの切り替え後2週間で有意なスコアの低下が認められた.薬剤別に解析すると,フェキソフェナジン,オロパタジン,レボセチリジン,ベポタスチン,ロラタジンからビラスチンへ切り替えた場合のUASの低下は2週以降も継続したが,エピナスチンからの切り替えによるUASの低下は2週以降継続しなかった.以上の後方視的検討から,ビラスチンはほとんどの第2世代抗ヒスタミン薬からの切り替えで有効であることが示唆されたが,薬剤別のさらなる検討が求められる.
  • 林 伸和 
    2020 年 37 巻 3 号 p. 424-433
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
     近年,抗菌薬の継続使用による耐性菌出現が問題となっており,尋常性痤瘡治療においても抗菌薬の適正使用を推進する必要性が高まっている.本研究では,痤瘡治療に精通している皮膚科医師18名の協力のもと,顔面の尋常性痤瘡治療における抗菌薬の使用に関するアンケート調査及び外用・内服抗菌薬の処方に関するカルテ調査を行った.アンケート調査の結果,外用抗菌薬の使用期間の目安として,1~3ヵ月程度と回答した医師が計15名,内服抗菌薬の使用期間の目安として,2週間以内あるいは1ヵ月程度と回答した医師が計8名,2~3ヵ月程度と回答した医師が計8名であった.一方,尋常性痤瘡の治療のために3ヵ月を超えて抗菌薬を処方している患者がいると回答した医師は,外用抗菌薬で16名,内服抗菌薬で11名であった.3ヵ月を超えて抗菌薬を処方する理由として,外用抗菌薬は「患者の強い希望があるため」,内服抗菌薬は 「重症で改善が不十分なため」との回答が最も多かった.カルテ調査の結果,初診時に抗菌薬が処方された症例のうち,外用抗菌薬の継続期間が90日以内の症例は集計対象の81症例中61例(75.3%),内服抗菌薬の継続が90日以内であった症例は82症例中78例(95.1%)であった.初診から最終観察日までの期間に維持療法に移行できていた症例は,外用抗菌薬の継続期間が90日以内の61症例中35例(57.4%),内服抗菌薬の継続が90日以内の78症例中44例(56.4%)であった.本研究の結果より,痤瘡治療に精通した医師においては,抗菌薬の継続使用が避けられない患者が一部存在するも,抗菌薬を中止可能であった症例の過半数が維持療法に移行できており,抗菌薬の適正使用を意識した痤瘡治療が行われていることが示された.
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