日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
Print ISSN : 1349-7758
ISSN-L : 1349-7758
最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論文
  • 井上(増田) 容子, 熊切 正信, 横山 知明
    2022 年 39 巻 3 号 p. 394-397
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/23
    ジャーナル フリー
    筋周皮腫は成人の四肢に好発する良性皮下腫瘍であり,まれに血管内に発生する.症例は 46歳男.3年前より右大腿内側に15 mmの皮下腫瘤を自覚し,徐々に増大し圧痛を伴うようになった.外傷歴はないが,1日8時間以上の立ち仕事をしていた.病理組織では,皮下脂肪組織に複数の腫瘍胞巣が散在し,異型を伴わない卵形〜紡錘細胞が内皮細胞の周囲に同心円状に配列していた.免疫染色では腫瘍細胞はsmooth muscle actin(αSMA)陽性,desmin,CD31,CD34,および第Ⅷ因子に対して陰性であり,CD34は内皮細胞で陽性であった.これは腫瘍が血管内に存在することを示唆した.これより血管内筋周皮腫と診断した.成因を明らかにするために,過去に報告された15例と年齢,性別,期間,部位および形態において比較し,本症例では,長時間の立位による静脈鬱滞・逆流が下肢の血管内筋周皮腫の誘因であると考察した.
  • 山村 一美, 高野 藍子, 堀内 義仁
    2022 年 39 巻 3 号 p. 398-405
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/23
    ジャーナル フリー
    日本紅斑熱は1984年に徳島県で初めて報告されて以降,近年では年間300例前後が報告されている.当科では2020年4月から10月までの間にマダニによる日本紅斑熱の6症例を経験したので,それらの臨床像,検査値異常を中心に報告する.全例polymerase chain reaction(PCR)検査による確診例であり,三徴とされている発熱,特徴的な発疹は全例で,刺し口については3例で認められた.特徴的な刺し口が見つからない場合,発熱を伴う中毒疹,薬疹などの臨床像に類似するため本症が鑑別に挙がらず,播種性血管内凝固症候群(Disseminated intravascular coagulation, DIC)から多臓器不全となり,死亡に至ることもある.近年では病原体リケッチア伝搬マダニの分布域の拡大に伴い,西日本のみならず東日本においても症例数が増えてきており,本症を遅れなく診断するためには上記の三徴に加え,血液検査所見,生活歴,日本紅斑熱の流行地であるか否かにも留意することが必要である.
  • 岩間 理沙, 池田 英里, 梅垣 知子, 二宮 淳也, 石崎 純子, 田中 勝, 原田 敬之, 溝上 雅恵, 平林 将明, 亀井 克彦
    2022 年 39 巻 3 号 p. 406-411
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/23
    ジャーナル フリー
    在胎22週6日,326 gで帝王切開にて出生した新生児.新生児集中治療室にて保育器内人工呼吸器管理下にあった.日齢3より右胸部から腹部にかけて水疱を伴う皮疹が出現,右大腿に拡大した.皮膚科初診時,右腋窩,側胸部,腹部から大腿に帯状に分布する紅斑,小水疱がみられた.血液検査でβ-D-グルカン5330 pg/mlと著明に上昇していた.胸部レントゲンで肺アスペルギルス症を疑わせる所見はなかった.真菌学的には,水疱底からの直接鏡検で豊富な菌糸がみられ,サブローデキストロース寒天培地にて緑色調絨毛状のコロニーの発育が確認された.スライドカルチャー所見はAspergillus fumigatusに合致し,後日遺伝子配列の解析から同菌と同定した.出生時より予防投与していたトリアゾール系のフルコナゾールを日齢6より治療量に増量し,ミコナゾールゲル外用を開始した.日齢7よりポリエン系のアムホテリシンB (amphotericin B, AMPH-B)に変更したが,水疱拡大と壊死が進行,日齢16に永眠した.後日施行した感受性検査ではキャンディン系抗真菌薬であるミカファンギンに対する感受性が最も良好であった.新生児に生じた原発性皮膚アスペルギルス症は1980年以降,低出生体重児例の報告が散見される.その多くはAMPH-B単剤で治療されているが,本邦の最新のガイドラインではキャンディン系抗真菌薬が第一選択として推奨されている.キャンディン系抗真菌薬は皮膚科医が投与する機会が極めて少なく,また臨床において真菌に対する感受性検査はルーチンには行われていない.自験例ではAMPH-B投与にて症状の改善が得られず,キャンディン系抗真菌薬投与を考慮すべきであったと考えられた.今後さらなる医学の進歩に伴い同様の症例の増加が予測され,治療方針を含めた本疾患の周知および,皮膚科と新生児科の連携が重要である.
  • 安部 正敏, 岡﨑 布佐子, 菅井 順一, 東山 眞里, 日野 亮介, 南 由紀恵, 根本 治
    2022 年 39 巻 3 号 p. 412-422
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/23
    ジャーナル フリー
    尋常性乾癬治療の基本は外用療法である.その指導は薬剤の説明,塗布方法,塗布量など考慮すべき事項は多岐にわたるが,本邦では外用療法の指針はない.さらに,外用剤のアドヒアランスは内服剤と比して低いことに留意する必要がある.今回,医師および尋常性乾癬患者に対し外用療法に関するWEBアンケート調査を実施し,尋常性乾癬に対する医師の外用指導および患者の外用実態を明らかにすることで,適切な外用指導について検討した.その結果,医師の指導内容と患者の外用方法に差異があることが推察された.以上のことから,医師は個々の患者の理解度や治療経過,疾患の状態に合わせて,外用指導を繰り返し行うこと,さらに患者が外用指導をより理解するためには疾患教育も併せて行うことが必要である.また個々の患者に寄り添い,長期にわたる乾癬治療に対して,治療ゴールの確認を行うことも重要である.
  • 林 伸和, 森 直子
    2022 年 39 巻 3 号 p. 423-430
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/23
    ジャーナル フリー
    オゼノキサシンローション(ゼビアックス®ローション 2 %,以下,本剤)は,2015年9月に化膿性炎症を伴う痤瘡および表在性皮膚感染症を効能として承認されたキノロン系の外用抗菌薬である.2016年4月より本剤の日常診療下における痤瘡(化膿性炎症を伴うもの)に対する使用成績調査を実施し,観察期間12週間での安全性および有効性について検討した. 安全性解析対象症例1014例中14例(1.38%)に17件の副作用が認められたが,いずれも非重篤であった.12週後の全顔の皮疹数の減少率(中央値)は,炎症性皮疹が77.3%,非炎症性皮疹が60.0%,総皮疹が66.7%であった.また,最終評価時の全般改善度が「著明改善」または「改善」と判定された症例は,顔面で73.0%(737/1010例),顔面以外で62.1%(59/95例)であった.治療開始時のアダパレンまたは過酸化ベンゾイルの併用有無による有効性への影響は認められなかった.これは,重症度や皮疹の炎症の程度等の状態に応じ,各担当医師が必要な併用療法を適切に選択したため,いずれの症例でも高い治療効果が認められたと考える.安全性に関しては,アダパレンまたは過酸化ベンゾイルの併用による本剤の副作用発現への影響は認められなかった. 以上より,本剤は実臨床においても,炎症性皮疹を伴う痤瘡の急性炎症期治療に有用な薬剤であることが示された.
  • 藤本 智子, 大勝 寛通, 深山 浩, 大嶋 雄一郎
    2022 年 39 巻 3 号 p. 431-439
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/23
    ジャーナル フリー
    背景: 原発性腋窩多汗症は,患者においてはQOLを著しく損なうこと,疾患が生産性低下を引き起こし経済的損失も極めて大きいことが明らかとなってきたが,その患者の多くは医療機関を受診していない実態が想定される. 目的: 原発性腋窩多汗症に関して,患者の疾患の認知度や受診意欲,日常生活への影響を把握する. 方法: インターネットアンケート調査会社が有する調査パネルに登録された全国の男女707,358人の中から,腋窩の多汗症状のhyperhidrosis disease severity scaleが3以上かつHornbergerの診断基準に2項目以上該当する調査対象者,すなわち日常生活に頻繁または常に支障がある重症の腋窩多汗症患者に該当し得る調査対象者608人を抽出し,インターネットアンケート調査を行った. 結果: 多汗症という疾患名を「聞いたことがある」のは92.3%であった.腋窩の多汗症状により,「学業・仕事へ影響があった」と回答したのは17.1%で,その内訳は「希望の職種・職業を諦めた経験がある」が6.6%で最も多かった.腋窩多汗症に対する対処法として「医療機関を受診した」と回答したのは9.5%で,医療機関を受診したことのない調査対象者のうち,「医療機関で腋窩多汗症の治療が可能であることを知っている」と回答したのは58.9%,「医療機関で腋窩多汗症の治療をしたい」と回答したのは64.0%であった.半数以上が治療できることを知っている,または潜在的に治療したいと考えている一方,受診率は低い腋窩多汗症の治療実態が示された. 結論: 患者の人生にも深刻な影響を及ぼしうる腋窩多汗症の積極的な治療介入が必要にも関わらず,患者の受診機会は十分といえない状況である.多汗症の治療選択肢を提供できる医療機関の普及と患者への疾患啓発が必要と考えられる.
feedback
Top