日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
54 巻, 5 号
日本臨床生理学会雑誌
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総説
  • 丸山 徹, 近藤 誠司, 野村 秀幸, 原 寛
    2024 年54 巻5 号 p. 143-151
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2025/04/12
    ジャーナル オープンアクセス

     BRASH 症候群とは,徐脈(Bradycardia),腎不全(Renal failure),房室伝導抑制薬の投与(AV nodal blocking agents),ショック(Shock),高カリウム血症(Hyperkalemia)の頭文字をとった症候群である.房室伝導を抑制する薬剤は血清カリウム濃度と密接な関係があり,高カリウム血症と相乗効果がある.これによる徐脈は腎血流量を低下させ,腎不全を引き起こすと高カリウム血症が遷延して房室伝導抑制薬の腎排泄も遅延する.これらはさらなる徐脈や循環不全を来すという負のスパイラルが形成される. 近年,心不全の薬物治療は目覚ましく進歩しており,心不全患者の生命予後は大きく改善した.しかしアンジオテンシン受容体やミネラルコルチコイド受容体を遮断する薬剤は血清カリウム濃度を上昇させる傾向にあり,β受容体遮断薬は房室伝導を抑制する.したがってこれらの心不全治療薬を長期投与中の心不全患者が脱水を来したり,房室伝導抑制薬を増量した際にはBRASH 症候群に留意する必要がある.自験例も含めて文献的に報告されているBRASH 症候群は高齢者に多く,房室伝導抑制薬としてカルシウム拮抗薬ではベラパミル,β遮断薬では近年カルベジロールが多かった.また発症時の血清カリウム濃度は軽度の上昇にとどまる例が多かった.保存的治療で奏効しない場合には緊急透析やペースメーカー治療を行った例もみられた.心不全治療薬のなかで利尿薬は脱水をもたらす傾向がある.また高齢者は腎臓の予備能が低く,感染や発熱, 下痢, 食思不振などから容易に脱水になりやすい.BRASH 症候群は早急な診断と適切な治療が必要であり,高齢者の循環器診療で念頭に置くべき病態であると考えられる.

  • 西川 侑成, 髙岡 浩之, 野口 靖允, 松本 萌, 與子田 一輝, 青木 秀平, 浅田 一成, 鈴木 克也, 八島 聡美, 木下 真己子, ...
    2024 年54 巻5 号 p. 153-156
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2025/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
  • 青木 秀平, 髙岡 浩之, 野口 靖允, 與子田 一輝, 松本 萌, 鈴木 克也, 八島 聡美, 西川 侑成, 木下 真己子, 鈴木 紀子, ...
    2024 年54 巻5 号 p. 157-161
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2025/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
  • ―スポーツ領域への展開―
    塩谷 隆信, 大倉 和貴, 川越 厚良, 照井 佳乃, 加賀屋 勇気, 佐竹 將宏, 菅原 慶勇
    2024 年54 巻5 号 p. 163-175
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2025/04/12
    ジャーナル オープンアクセス

     吸気筋トレーニング(Inspiratory Muscle Training: IMT)は,呼吸筋力と呼吸筋持久力を増加させ,運動耐容能,呼吸困難,健康関連QOL を改善させる.IMT は,呼吸リハ・プログラムの重要な種目であり,COPD,間質性肺炎などの多く呼吸器疾患において実施され,その効果に関しては多くのエビデンスが確立されている.IMT は主として吸気抵抗負荷法が行われ,機器としてはスレショルド型(固定負荷方式)に加えて,最近,テーパー型(漸減負荷方式)という新しい機器も登場している.

     近年,IMT はスポーツ領域に展開している.スポーツマンの運動に伴って生じる呼吸器障害では,運動に伴って出現する呼吸器症状の原因としては,心臓血管系疾患の合併,身体的限界(運動能力と肥満),喘息/運動誘発性気道収縮,呼吸パターン障害(Breathing Pattern Disorder: BPD),運動誘発性喉頭閉塞(Exercise Induced Laryngeal Obstruction: EILO)など非常に多彩である.IMT は,スポーツパフォーマンスの向上において注目されており,その効果について,持久力の向上,呼吸効率の改善,乳酸蓄積の減少,筋力パワーの向上,リカバリーの改善,精神的影響など多く報告されている.今後は,スポーツ領域のIMT トレーニングプロトコル(負荷程度,頻度,時間,種類,個別化)に関するエビデンスの構築が待たれる.

  • 鈴木 規雄
    2024 年54 巻5 号 p. 177-185
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2025/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
原著
  • ―要支援認定者2 年間の観察―
    濱澤 順也, 松崎 美早, 水野 智志, 水野 郁子, 三谷 征司, 菅 俊光, 岩坂 壽二
    2024 年54 巻5 号 p. 187-194
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2025/04/12
    ジャーナル オープンアクセス

     目的:短時間機能訓練特化型デイサービスを利用する高齢者が2 年間の加齢を経て,機能訓練特化型リハビリテーションが体成分指標および身体機能に与えた影響を介護度の面から考察した.

     方法:施設を利用する要支援認定1(44 人)と2(19 人)の計63 人を対象とした.2 年間の介護度の変化から,要支援区分を維持したグループ(42 人)と要介護区分へ移行したグループ(21 人)に分類し要因を検討した.評価には筋肉量,骨格筋量指数,5 m歩行速度,Timed Up and Go test(TUG)を用いた.

     結果:要支援の区分を維持した者は,要支援1 で30 人(68%),要支援2 は12 人(63%)であった.要介護区分へはそれぞれ14 人と7人が移行した.要支援を維持したグループ(42 人)はTUG が有意に短縮し,要介護へ移行したグループ(21 人)は延長ないし不変であった.

     結論:要支援段階での機能訓練特化型リハビリテーションは転倒リスクの指標とされるTUG を短縮させ,介護度と日常生活機能を維持すると考える.

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