化学物質の皮膚感作性の評価法として
in vitro試験法の導入を検討し,感作リンパ球と表皮細胞との培養液中に不溶性の感作性物質を添加することによって
in vitro誘発を試みた. Maximization法に準じてDNCB (1-chloro-2,4-dinitrobenzene)で感作したモルモットからリンパ球を採取し, 3×10
6, 5×10
6, 8×10
6/mlの細胞濃度に調整した.各々の100μl細胞浮遊液をmicroplateのwellに入れ,それらの各wellにDNCB, DNBS (2,4-dinitrobenzene sulfonic sodium salt)単独, DNCB, DNBSと表皮細胞(2×10
4/well)と同時に(DNCB+EC, DNBS+EC)およびジニトロフェニル化表皮細胞(DNP-EC)を加え, 5%CO
2 37℃で96時間培養した.
in vitro誘発反応によるリンパ球幼若化を評価するために,
3H-thymidineを添加し,さらに24時間培養した.その結果, DNCBに感作されたモルモットのリンパ球はDNCB, DNBS, DNCB+EC, DNBS+ECおよびDNP-ECにより有意なリンパ球幼若化反応を示し,
in vitroにおける誘発が確認された.しかし, DNCB単独による誘発において,リンパ球の低い細胞濃度では誘発が惹起されなかったことから,誘発反応はリンパ球の数に依存していることが示唆された.また
in vitro誘発におけるDNBSの濃度とリンパ球幼若化反応(SI)の間に有意な相関が認められ,この方法は,感作物質の誘発段階の量-反応関係の検討に応用しうることが示唆された.一方,
in vivoおよび
in vitroのいずれにおいてもDNCBとDNBSの間の交差感作反応が確認されたことから,この方法により交差反応の検討がより多種の化学物質間で同時に実施しうることが示唆された.
抄録全体を表示