図書館における個人情報の取り扱いをめぐる問題については,利用者の「プライバシー保護」の問題や「個人情報の漏えい」などへの懸念が問題視されることが多い。しかし,2005年4月1日に全面施行される個人情報保護関連五法は,プライバシーの権利の保障を目的として制定された法律ではなく,また,個人情報の漏えいや不正利用などの行為を直接処罰する法律でもない。
本稿は,個人情報保護法の制定が図書館および図書館サービスに与える影響を検討するにあたり,「プライバシー保護」と「個人情報保護」をめぐる問題の峻別の必要性を提示した上で,各図書館への個人情報保護関係法令の適用関係の明確化,法令の義務規定の適用除外の内容,および個人情報の取扱義務規定の内容について考察する。
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