地上波放送の完全デジタル化が終了して5年を超え,テレビ,放送を取り巻く環境は様変わりした。端末のマルチデバイス化,伝送路のブロードバンド化,サービスのプラットフォーム化が進み,インターネット上には放送事業者以外による多種多様な動画配信サービスが乱立してきた。視聴者のテレビ離れの傾向はもはや若者だけのものではなくなっている。総務省では2015年11月に「放送を巡る諸課題に関する検討会」を設け,2016年9月から個々のテーマ別に議論が開始された。本稿ではまず,テレビを取り巻く昨今の変化と放送政策との関係について確認したうえで,4K・8K放送と動画配信(特に同時配信)の2点に絞って課題を論じたい。
TRC MARCは日本の8割強の公共図書館で利用されている書誌データベースである。1982年に提供を開始して以来,図書館業務の効率化に役立ち,図書館利用者の多様な検索ニーズに応えるツールとなることを目指して,内容の拡充と提供スピードの迅速化を図ってきた。本稿では,TRC MARC独自の入力項目を中心に,その内容および特色について述べる。併せて新刊図書MARCの作成工程についても紹介する。
本稿は,携帯電話や位置に基づくサービス等で取得される動体データを用いて,その解析に基づく観光動態把握と活用に関して,分析事例なども交えて概説する。まず,観光分析の観点を整理したうえで,携帯電話基地局における動体データ,スマートフォンアプリケーションを用いた動体データ,および,SNSデータ等の性質などを紹介する。次に,観光庁の訪日外客の動態調査で行われた分析事例を紹介する。加えて,分析における問題も指摘する。さらに,目的地性指標を用いた動体データの分析結果を示し,人間の行動モデルの一つであるLevy Flightモデルと一致することを紹介する。
本稿では,ドローン産業が高揚期に入ってきたことを述べた後,現状の技術的課題に触れ,量産型国産ドローンであるミニサーベイヤーの最新モデルを紹介する。また同機に登載された非GPS環境下での自律飛行が可能なSLAM技術について紹介していく。そして,完全自律制御飛行のコアとなる3技術(GNC:ガイダンス・ナビゲーション・制御)を説明し,ガイダンスのないナビゲーションと制御のみで飛行している問題点も指摘する。さらに農業,インフラ点検,測量,警備,災害対応の5つの分野で先行してドローンが利活用され,物流分野から始まる空の産業革命など,ビジネスの最前線について述べる。最後に,既存の千葉市ドローン宅配プロジェクトの現状と課題について言及する。
インターネットの利便性をこれまでになく享受し,ネット上に拡散する情報の力が革新的な発想を後押しすることも多い21世紀初頭は,同時に情報漏えいや権利侵害,依存といった弊害や危うさを露呈し始めた時代でもある。不可視だが確実に存在する脅威,ネットにつながっているゆえの不自由さをも見極める必要がある。現代の環境を冷静に認識し,今起きていることに対してどうふるまうべきか。現代思想・法曹・警察行政・迎撃技術・情報工学・サイバーインテリジェンス等のスペシャリストが,6回に分けて考える。
第4回はトレンドマイクロ・平原伸昭氏が,コンピューターウイルスの特徴の変遷,セキュリティーソフトの歴史をふりかえり,大量のサンプル情報を利用した正・不正の検出など迎撃技術開発の最新事情までを解説する。
インターネットの利便性をこれまでになく享受し,ネット上に拡散する情報の力が革新的な発想を後押しすることも多い21世紀初頭は,同時に情報漏えいや権利侵害,依存といった弊害や危うさを露呈し始めた時代でもある。不可視だが確実に存在する脅威,ネットにつながっているゆえの不自由さをも見極める必要がある。現代の環境を冷静に認識し,今起きていることに対してどうふるまうべきか。現代思想・法曹・警察行政・迎撃技術・情報工学・サイバーインテリジェンス等のスペシャリストが,6回に分けて考える。
第5回は情報理工学者で歌人の坂井修一氏が,「ソフトウェアに手足(アクチュエーター)と目鼻(センサー)がついたもの」という現在の世界を解析し,そこにおける人間のありよう,備えるべき教養,そして幸福を考える。