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60 巻, 8 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
記事
  • 福島 俊一, 藤巻 遼平, 岡野原 大輔, 杉山 将
    2017 年 60 巻 8 号 p. 543-554
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
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    機械学習技術を用いることで,過去の事例・観測データからの学習に基づく,モノやコトの判別・分類,予測,異常検知等の知的な判断をコンピューターで実現可能になる。ビッグデータの活用と相まって,さまざまな問題解決に機械学習技術の適用が広がっている。本稿では,問題解決への適用という視点から重要と考える技術的チャレンジの方向性として,(1)学習結果の解釈性の確保,(2)機械学習から意思決定まで通した解法の実現,(3)深層学習の高速化・高効率化,(4)機械学習型システム開発方法論の確立,という4点について述べる。

  • 木村 宏, 佐藤 優子
    2017 年 60 巻 8 号 p. 555-563
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
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    生物の遺伝情報はゲノムDNAに刻まれている。ゲノムDNAからいかにして必要な情報を必要に応じて取り出すことができるのか,という問題を解明できれば,生命現象の理解に大きく近づくことができる。遺伝子の発現制御には,DNAに直接結合する転写因子が必須であるが,ヒストンの翻訳後修飾を介したエピジェネティクス制御や細胞核内でのゲノム高次構造なども重要な役割を果たすことがわかってきた。そこで,最近,細胞核を包括的かつ時空間的に理解する「ヌクレオーム(Nucleome)」研究が注目を集めている。ヌクレオーム研究という視点に立ち,顕微鏡解析,ゲノム解析,情報・数理解析を融合させることで,ゲノムの発現制御機構を理解できると考えられている。ヌクレオーム研究は米国ですでに予算措置されている他,ヨーロッパでの動きや国際コンソーシアム発足に向けた活動も進んでいる。わが国でもヌクレオーム研究を推進することが生命科学の発展に重要であると考えられる。

  • 鈴木 武志
    2017 年 60 巻 8 号 p. 564-573
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
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    生体認証技術は個人認証方式としてさまざまなシーンで導入されている。その技術の一つである顔認証でNECは米国国立標準技術研究所(NIST)が主催する評価プログラムで4回連続世界No.1の評価を得ている。顔認証には「積極的認証」「非積極的認証」という2つの視点があるが,これから特に注目されるのが後者で,それは認証対象者本人が意識しない,対象者の協力を得ることができないケースでの認証である。この非積極的認証で使われる技術が「動画顔認証技術」である。同認証は画像中から顔を検出,次に特徴的な点を見つけ,顔特徴量を抽出しデータベースと比較,閾値よりも類似度が高い人物を見つけた場合に本人と判定する。動画顔認証では低解像度画像で照合できることが重要で,NECはNISTの評価試験で最高評価を獲得した。顔認証は対象となる顔の提示が必須であったが,時空間データ横断プロファイリング技術のようなその課題を解決する技術も生まれており,いっそうの活用が見込まれる。

  • 岸本 泰士郎, リョウ, コクケイ, 工藤 弘毅, 吉村 道孝, 田澤 雄基, 吉田 和生
    2017 年 60 巻 8 号 p. 574-582
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
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    すべての医学領域において,疾患の重症度の評価は重要である。しかし,精神科領域では疾患の重症度を反映するようなバイオマーカーが不足しており,診断,治療,さらに新薬の開発などで問題が生じている。近年,情報通信技術(ICT)の発展が目覚ましく,こういった問題の解決にICTを活用する試みが行われている。その一つにテレビ電話を用いた中央評価があり,評価者によるバイアスを取り除くには有効な手段である。しかし,評価尺度そのものにも妥当性,信頼性などの問題が含まれている。一歩先のアプローチとして,ウエアラブルデバイス等を用いた診断支援技術の開発が複数報告されている。PROMPT(Project for Objective Measures Using Computational Psychiatry Technology)は日本医療研究開発機構(AMED)の委託研究として始まった。慶應義塾大学を中心に7社が参画し,それぞれの会社の技術を持ち寄り,複数のデバイスから得られる情報を基に精神症状を定量することを目指している。また,UNDERPIN(Understanding Psychiatric Illness through Natural Language Processing)では科学技術振興機構(JST)CRESTの援助の下,静岡大学とのコラボレーションによって自然言語処理を利用した言葉(話し言葉や書き言葉)に現れる精神症状の特徴量の抽出を行い,精神疾患の予防・早期介入が可能になるような技術開発を目指している。

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