我々は, エナメル芽細胞の基質形成期における同細胞の無機質 (Caを主体として) に対する役割を知る目的で,
45Caをtracerとして電子顕微鏡的autoradiographyを作成し観察を行った。使用動物は, rat 4匹を用い, 10μc/gを腹腔内に投与し, 15分, 30分, 1時間, 2時間後に各々解体し, 切歯及び臼歯歯胚を摘出し試料とした。電子顕微鏡的autoradiographyは水平の方法に従った。
観察結果は, 細胞内の局在性は, mitochondoria内に多数のS.G. が見られ, その他粗面小胞体, Golgi野, 核内, 小vesicleに認めた。経時的変化としては, 投与後15分より2時間までには, 一旦とり込まれた
45Caは主としてmitochondoria内に入り, 漸時Tomes突起部に移動する状態が観られ, その通路は, 細胞内通過経路をとり, 細胞間隙は通過しないものと考えられた。以上の所見から, 同細胞には, 無機質に対しても重要な役割を持つと考えられる。
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