歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
16 巻, 4 号
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  • 中性塩溶液可溶性分画のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分析
    高橋 徳也, 野原 広美, 原 耕二, 小林 幸男
    1974 年 16 巻 4 号 p. 375-382
    発行日: 1974/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    歯周病病理においてコラーゲン代謝の問題は重要な追求課題のひとつとしての位置を占めている。著者らは最も一般的なスライス・インキュベーション法で合成されるコラーゲン分子の大きさを知る目的で, 比較的温和な方法で抽出され, nativeであると考えられる, 5mM EDTAを含む0.5M NaClに可溶性の分画をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で分析した。その結果, このコラーゲン分画は, α, β, γ 鎖を含む, ほぼ一定の分子量の10数個のペプチドから成ることが示された。更に, 3H-プロリンの取り込みは, その大部分が, α 鎖より分子量の小さな (約2万~8万) 数個のペプチドに局限し, それらの一部は3H-ヒドロキシプロリンを含むことからコラーゲン由来であると考えられた。したがって合成され, この分画に抽出されるコラーゲンの大部分は分解されていることが明らかであった。又, この分解は歯肉コラーゲン代謝の一環として, 内在性のコラゲナーゼによって行なわれる可能性が推論された。緒論された。
  • 2.下顎骨の比較解剖
    岡野 恒一
    1974 年 16 巻 4 号 p. 383-389
    発行日: 1974/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ホンドタヌキNyctereutes procyonoides viverrinus Temminckの下顎骨諸部の計測結果については, 第1報で報告したが, 各部の角度や形態についての先人の報告がみられないので, 25例の下顎骨をもちいて, その研究をおこなった。
    計測項目は15で, その値は統計学的に処理した。
    形態については, 筋突起, 関節突起, 角突起を中心におこなったが, それらについて他の小動物と比較を試みた。
  • 酒井 琢朗
    1974 年 16 巻 4 号 p. 390-394
    発行日: 1974/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ハワイのBishop博物館所蔵の, ポリネシアおよびミクロネシアから蒐集された人骨中から, ハワイ人女性の下顎骨に頬舌的に強く圧縮された両側下顎第2小臼歯を見出したので, 観察と計測を行った。この症例の下顎第2小臼歯近遠心径は両側とも, ハワイ人の標準値と比べて著しく大きいが, 頬舌径はほぼ標準値に近い。しかし, 本来の咬合面の頬舌径は著しく小さく, 頬舌的に圧縮された外観が特に強い。AustralopithecusやSinanthropusの下顎小臼歯の咬合面は頬舌的にかなり圧縮されており本症によく類似する。一方, 現代人の乳臼歯はその代生歯に比較して頬舌的の圧縮が強く原始形下顎小臼歯に類似する。これらの事実は, 現代人下顎第2小臼歯の頬舌的圧縮は先祖返りによるものであることを暗示している。なお, この症例の下顎第2小臼歯に中心結節, 上顎大臼歯にカラベリ結節, 下顎大臼歯に第6咬頭が観察された。他の小臼歯の近遠心径も標準値よりかなり大きい。
  • 福田 富男
    1974 年 16 巻 4 号 p. 395-406
    発行日: 1974/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ヒトの耳下腺局所において唾液IgA抗体が産生されるかどうかを追求するために, 耳下腺唾液IgAの口腔内細菌に対する一定重量あたりの凝集活性を, 血清や初乳のIgAのそれと比較検討した。またこの目的のために免疫吸着剤を利用してIgAを特異的に精製する方法を考案した。得られた結果は次の通りである。
    1) 従来の非特異的精製法に比べ, 精製した抗IgA抗体をSepharoseゲルに結合させた免疫吸着剤を用いることにより純度の高いIgAを, よい収率で分離することができた。
    2) 耳下腺唾液IgAはActinomyces viscosus (ATCC 15987株), Streptococcus mutans (GS 5株) に対し血清IgAよりも強い凝集活性を有する事を認めた。活性の差は, 単に分泌IgAと血清IgAの結合価の差やIgA会合物の含量の差によるのではなく, 特異抗体の含量の差に基くことを証明した。このことは, 上記細菌に対する抗体が耳下腺局所で産生, 分泌されることを強く示唆する所見と考えられる。
  • 小野 毅
    1974 年 16 巻 4 号 p. 407-464
    発行日: 1974/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    歯の形成機構を究明するための比較解剖学的研究の一端として, 硬骨魚のイシダイを材料とし, エナメル質形成時における初期状態から最終段階にいたるまで, 内エナメル上皮およびエナメル芽細胞の形態と構造に関する時期的な推移変化について, 電子顕微鏡を用いて観察をおこなった。エナメル質基質はcollagen線維で構成され, 中胚葉領域に形成されるが, エナメル芽細胞は基質形成期に高円柱形となり, 細胞長が最大となるとともに, トームスの突起が形成され, 各細胞小器官は発達する。さらに石灰化期でエナメル質基質表層のbasement membraneは消失し, 以後成熟期後期にいたるまで時期により形態変化がみられるとともに, 種々な顆粒状構造物の形成が多く, 物質の合成ならびに分泌が非常に盛んである。イシダイのエナメル質は中胚葉由来であるが, 基質形成期から成熟期にかけてエナメル芽細胞の積極的な関与によって形成される。
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