本研究は, ラット後肢足趾皮下灌流法を用いて, 数種の侵害刺激を加えた時の足趾皮下でのkinin様物質, kinin forming enzymeの遊離の状態を観察し, 鎮痛薬のもつ鎮痛機序の末梢作用点を考察しようとしたものである。
Heating, pinching等のnoxious stimulationによるkinin様物質やkinin foming enzymeの遊離を, aspirinは一様に抑制した。一方, morphineは, それらの遊離を抑制あるいは増強して一定の作用を示さなかったが, この侵害刺激による遊離が神経系を介して起ると考えられる場合は, 抑制が認められた。これらのことより, 炎症の発現あるいは局所の疼痛において, mediatorとして働くとされるbradykininおよびその合成酵素の局所における出現は, aspirinにより著しい抑制をうけること, また, これまで中枢神経系にのみ鎮痛薬としての作用点を有するといわれてきたmorphineが, 一部末梢のkallikrein-kinin系に影響あることが示唆された。
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